跡取り娘スピリチャル
結婚、したくなかったんだよね。
と、母は呟いた。
私があなたの娘になって、いっぱい幸せにしてあげるよ☺️
と、空から私は叫んだのだろうか。
小さい頃は、あまり覚えていない。
子どもは3歳まで恩返しをするというが、いっぱい幸せにしていただろうか?
3歳から、幼稚園、スイミングに通っていたらしい。
体力があってっていってたよね。
邪魔だったのかな。
妹が生まれたタイミングで、忙しかっただけだよね⁉️
小学生は、なかなか友達が出来なくて、心配かけたよね。一人で空想する時間が幸せだったんだよ。
本の中に入り込んで、自由に動き回るのが、大好きだったんだ。
中学生や高校生は、勉強してばかりだったね。
あなたに褒めて貰いたかったかったのか、やることがなかったのか。
夜中まで起きていてくれたけど、気持ち的には負担だったんだ。
テレビが付きっぱなしで、うたた寝していた姿を今でも思い出す。
気にしないで、寝てほしかった。
大学は実家を出た。
解放感で、いっぱいだった。
親の愛は大人になるにつれて、重荷になるんだよ。
せめて、見ていないふりをしてほしかった。
凝視して、口も手も出してくるのは、小学生低学年までにして。
……、て言えば良かったね。
独り暮らしは、親のありがたさを知ると聞くけど、私は、親も一人の人間なんだって感じた。
干渉してくると思っていたけど、私が依存していたのかな?
卒業後は、また実家に帰ったよね。
お父さんが早期退職して、妹はまだ、中学生と高校生で、経済的に実家を支えなきゃって思っていたんだ。
安定した地元の会社で働き、安心してくれていたのかな。どうだったんだろう。
ただあの時は、何も分かっていなかった。
今の夫と出会い、私は自分の家庭を作ることを意識し始める。
休日は家にいることがすくなくなる。
構って欲しそうにしている、けど…。
ごめんなさい。
そんな中で、あなたは大きな病気にかかり緊急手術をした。
私と父は飛行機の距離にいて、妹たちも連絡とれなくて。
一人で病院に駆け込み、その場で倒れた。
この時のことは、今はこれ以上思い出したくない。
また、別の機会に。
手術は成功して、家に帰って来た。
頼りきっていた食事や洗濯、掃除など、妹と分担してた。父も、まあ、頑張ってたよね。
この時が、夫婦としては一番幸せそうだった。
弱ってる母を父が気遣い支える。
いや、お母さんが幸せそうだった。
私の知る限り、一番幸せそうだった。
仕事をしながら、家事や母のメンタルケアが続く。
限界だった。
強行突破に出た私は、お腹に子を宿した。
ごめんね、もう私の家庭を作ることにした。
自分で心の安定を手に入れようしなければ、いつまでも変われないよ。
私は、母を捨てたのだろうか?
下の妹も、もうすぐ帰ってくる。
先に自分の家庭を作って、妹とバトンタッチしよう。
その時は、本当にそう思っていた。
私は、三人の子どもに恵まれ、無事に基盤をつくった。
母も順調に回復し、里帰りや復職ではお世話になった。
妹たちも、結婚・出産が続く。
手術から、10年ほどたった。
思いがけず、父が先に旅だった。
寂しさから、煩いほどの連絡。
スルーした後の、イジケっぷりに辟易した。
私だけではない。妹たちもだ。
関わったり、避けたりを繰り返す。
2年後、後を追うように旅立った。
直前に行った旅行は、夫からの提案だった。
今は言葉にできない。
行けて、良かった。悔いはない。
今度は、お空から、あなたが叫ぶ番だ。
心の底から人生楽しむまで、こっちに来るな‼️
と。