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水星の魔女0話を見て
本当に久しぶりに現行アニメを見てみようかな~
と、アナザーガンダムの新作「水星の魔女」を見てみたのですが
やっぱり”オタクがオタクだけに向けた作品”は辛かった。
しかし、続けて見た「サイバーパンク2077」のアニメの1話はとてもよかった。
じゃあこの二作の違いはなんなのか。
どちらもオタクがオタクに向けて作っていながら、この決定的な違いは。
「サイバーパンク」は複雑で専門用語や情報量の多い世界観を舞台に、誰にでも共感できる親への葛藤や生まれ育ちの環境と復讐という原初的な”王道”を1話で見せることで、作品に入り込みやすくなっている
それに加え原作ゲームをプレイした人に向けてのサービスや、この世界に行ってみたい。と思わせる日常と非日常の両面をしっかり描いているし
下手に話を複雑にしすぎず、主人公の動機から周囲のキャラクターの良い書き割り加減で、焦点は絞られている
一方「水星の魔女」も同じく複雑で専門用語や情報量の多い世界観を舞台にしているが、とにかくキャラクターの言動に違和感が凄まじく
仲間との通信が切れ、危険を察知した父親が娘の姿は見当たらないことにポカンとしている切迫もない緊張感を欠く演出や
さんざん専門用語や宇宙進出、義体どうこうと解像度を上げている中で
元軍人キャラ?とはいえ、一定の役職についている人間が公の放送で「兵器とは人を殺す為だけに存在するべき」と熱弁しているのは明らかに異常で
ここに一般人や記者が戸惑うようなリアクションも入らないため、この世界観のリアリティラインがどこまでのものなのかがブレて、真剣に見る気は大きく削がれる
そして主人公となる4歳児がMSに乗って”無邪気に”人を殺し、父の死に際には”無邪気に”歌う。
もうこれでもか。ってほどの「こいつヤベーんすわw」演出のくどさに胃もたれが….
もちろん父親の「うちの製品を好き勝手言ってくれるなー」から始まる、どんな層でも理解できるようにしなくてはいけない台詞回しも
世界観やテーマ”風”なことは複雑で大人向けなことをやりたい反面、それ以外の演出が全て幼児向けで、読み幅やキャラクターの演技付けもないので酔う
もちろんこのご時世、脚本から監督からPに至るまで「これぐらいわかりやすくやらないといけない」という共通認識があるだろうが
そこを本当に子どもにも分かるようにしよう。という大人としての矜持ではなく「はいはい、全部言語化すればいいんでしょ?」という、作り手が受け手をバカにした広告代理店的な感覚も、真剣に見る姿勢にさせてくれない
富野由悠季が切り開いた「アニメなのに人間臭いリアリティ」はどうでもよくて、なにか複雑”げ”な世界観を舞台にロボットが戦う。という表面的なものだけが残った
THE・形骸
「サイバーパンク」はオタクがオタクのためだけに作った間口を広げるシンプルな作品になっている一方
「水星の魔女」は舞台と中身が伴わないのにオタクがオタクのためだけに作った"複雑装ってみた"作品でした
こういうのがあるからアニメは見るまでが腰重いんだよ