自己研鑽は必須ではないと言う前提で,診療レベルを確保するためには,職場の力が必要だけれども,それってとても難しい。
管理者やチームのリーダーなどを行う人間にとって、その部署やチームの能力をどのように高めていくかと言うのは常に大きな課題としてたちはだかります。
そもそも,チームの能力とは何か?個人の能力とは何か?と言うのは,それを定義することから始まるわけですが,一旦それは置いておいて,昨今の個人自己研鑽は必須ではないと言うごく当たり前の考え方が市民権を得た中で,それでも診療の質,部門の質を定義して,それを高める努力は必須であると考えるべきです。
そしてそれは自己研鑽ではなく組織の責任として実質されるものであり,あくまでも業務時間内に実施されなければなりません。しかしながら,座学での知識の習得からOJTまでを時間内に実施し,それを一度ではなく定義したある程度のレベルに到達するまで実施する必要があります。
そしてそして,その教育課程をプログラム化し改訂し洗練させながら体系化するまで進める必要があります。
そしてそしてそして,それらを資料にし,文書化にまで落とし込む作業をして終わりになります。
これを毎年更新をし続けることも大変ですが,診療単位を削って多くのスタッフ教育をすることや,もしくはスタッフ数が少ない病院だと指導するスタッフの診療を削ってこの作業をしなければなりません。
と言う教育に関わる背景を考えた時に,いわゆる「質の高い教員」を提供できる施設自体が少ないと考えられる中で,「自己研鑽は組織の責任として実質されるもの」と言うことがどれだけ難易度が高く,そして,それが当たり前ではないのではないか?と言う疑問や考えを持ち,実は組織による職員教育も自己研鑽も,当たり前にある時代ではなくなったと考えるのが普通になりつつあるように思います。
自身の身をどこにおくか。
これは新卒が職場を選ぶ時にとても重要な視点であり,養成校の教員はそれをしっかりと伝えていかなければならないことと同時に,患者として病院を選ぶ立場になった時にも大切な視点にもなります。
医者だって,理学療法士だって,クソみたいな人や場所は腐るほどあって,まともなものを探す方が大変ですからね。
個人的には制度を厳格に作り,報酬体系で差別化を図るべきだと思っています。