「砥部ミュージアム通り」解体新書_砥部焼伝統産業会館
焼き物の町、愛媛県砥部町。半径100mに大小さまざまなミュージアムが点在する大南地区では、町の伝統工芸・美術・文化・文学などを知ることができます。また、砥部町には公立で日本唯一のデザイン科単科高校、愛媛県立松山南高等学校砥部分校があります。特色あるこれらの施設の館長さんや関わっているみなさんに、この場所の魅力を聞きました。
砥部焼をより深く知ると
“今”がもっと面白くなる
砥部焼伝統産業会館
館長 門田 巧さん
砥部町庁舎が国道33号線沿い移転した際に、跡地に砥部焼振興の拠点として1989年(平成元年)4月1日にオープンしました。砥部焼の歴史資料館として意義が深い施設で、1階の常設展では現代に至るまでの貴重な資料が並んでいます。6~7世紀の須恵器の窯跡が町内の大下田古墳から発見されたことや、奈良・平安時代には「伊予砥」と呼ばれる砥石が広く知られ、東大寺の「正倉院文書」に記載があるなど、古代から砥石の生産が盛んな土地でした。砥石くずが焼き物の原料となり、近隣の山にある燃料資源が豊富なこと、そして杉野丈助が1777年に磁器焼成に成功したことから砥部焼が誕生しました。当時の窯道具から原材料、歴史的価値のある作品も並び、さらに現代作家の作品まで見られます。
2階の展示フロアでは、砥部焼新作展や伝統工芸士会展など、年に5回ほど企画展を行っています。また1階のショップではおよそ100軒の窯元のうち約70軒の窯元の作品を展示販売しており、気になる作品があれば、窯元や炎の里などをご案内しています。砥部焼のルーツ、磁器創業からもうすぐ250年を迎えようとしています。その歴史と、現代作家たちの作品の魅力、両方を見に来てください。
[DATE]
愛媛県伊予郡砥部町大南335
089-962-6600
開館時間:9時〜17時
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)
料金:大人300円(65歳以上200円)、高校生・大学生200円、小学生・中学生100円
【インタビュアー】ひめラー:首藤喬一、山口聡子