「砥部ミュージアム通り」解体新書_砥部むかしのくらし館
焼き物の町、愛媛県砥部町。半径100mに大小さまざまなミュージアムが点在する大南地区では、町の伝統工芸・美術・文化・文学などを知ることができます。また、砥部町には公立で日本唯一のデザイン科単科高校、愛媛県立松山南高等学校砥部分校があります。特色あるこれらの施設の館長さんや関わっているみなさんに、この場所の魅力を聞きました。
足を踏み入れると出られない!?
好奇心を刺激する知の館
砥部むかしのくらし館
館長 豊島吉博さん
ここは砥部焼の窯元、梅野精陶所(現・梅山窯)が商いをしていた蔵と住居跡を利用したミュージアムで、2023年2月に砥部焼の産業遺産として国登録有形文化財に指定されました。梅山窯の娘である私の母は、医師の豊島吉男と結婚し、現在の敷地内に豊島医院を建て、隣接する敷地で育ちました。これらは2020年、県道の拡張工事のため大規模な曳家工事をするなど姿を変え、2021年の4月に「砥部むかしのくらし館」がオープンしました。5万点を超える江戸時代から昭和後半までの生活の品々は、民藝品・生活用品・道具類など母が集めてきたものをメインに、地域や全国の方から受け取ったものもあります。特徴的なのは、着物のような形をした大形の寝具「夜着(よぎ)」でしょうか。収集量は日本屈指です。
ここは体験型の施設ですから、古民具に触れたり、鐘を鳴らしたり、当時のくらしぶりを想像していただくこともできます。なにせ数が多いですから、どんな方が来られても自分に刺さる物が見つかるんじゃないでしょうか。「大事にしてきたもの、亡くなった方の意志をここなら引き継いでくれるかも」と、声をかけていただく度に、あぁ、これは自分がどうにかしないと、と思わされます。
[DATE]
愛媛県伊予郡砥部町大南701
089-962-5258
開館時間:10時〜16時
休館日:月〜金曜(土曜・日曜開館)
【インタビュアー】ひめラー:首藤喬一、山口聡子