演劇やパフォーミングアーツの力で、色々な立場の人をかき混ぜたい。YAU CLASS パフォーミングアーツを中⼼としたアートマネージャーのコレクティヴ bench編
「有楽町アートアーバニズムプログラム YAU(ヤウ)」は有楽町でアートと街、アーティストと街のワーカーの交流によってイノベーションを生み出していく実証プログラム。
その中の一つ、有楽町の人々がアートについて学び新たな思考を深めていく「YAU CLASS」の取り組みとして、大手町・有楽町・丸の内エリアで新たなワークスタイルのあり方を探る試み「丸の内ワークカルチャーラボ」と連携したトークイベントを4回にわたって開催しています。
第2回目として、パフォーミングアーツを中⼼としたアートマネージャーのコレクティブ(集団)である「一般社団法人ベンチ(bench)」代表の武⽥知也さんと、benchが企画するプログラムに出演するアーティストの松井周さんによるトークがおこなわれました。
benchはパフォーミングアーツの分野において、アートマネージャーやアートディレクターのコレクティブとして活動されているチームです。現在6人のメンバーで活動されており、芸術文化だけでなく、福祉や医療、行政やまちづくりに関わる人々など、様々な主体と連携しながら活動を展開されています。
今回のトークでは、実際にbenchやメンバーの方が関わった劇場でおこなうプロジェクトや作品をいくつか紹介してくださいました。
飴屋法水さんの「宮澤賢治/夢の島からーじめん」。東京・夢の島を舞台に、広大な敷地の中で演者とお客さんが一緒になって体験する野外劇です。
屋外を中心に、劇場を作るところから創作を行っていた伝説的な劇団「維新派」の作品。土地と作品のイメージを繋げることを軸に、様々な地域・空間で作品を制作されていたのだそうです。
俳優で介護福祉士の菅原直樹さんを中心に活動する「OiBokkeShi(オイ・ボッケ・シ)」。老いや地域の問題に対する演劇を用いたアプローチは海外でも注目され、イギリスで現地の人々と共に創作も行われました。
YAUでは、YAU STUDIOの一角を「Y-base」 と称し、アーティストや劇団、ダンスカンパニーが創作できる稽古場とアートマネージャーのためのコワーキングスペースとして整備。普段、それぞれ様々なところで活動するアートマネージャーが集まる場をつくり、新たなプロジェクトや関係性がうまれていくことを誘発するとともに、ワークショップなどを通じて有楽町の人々との作品づくりに取り組んでいくそうです。
もう一人のゲスト、松井周さんは、劇作家・演出家・俳優として活動され、劇団サンプルを主宰されています。
松井さんは高校生の頃に起きたある事件をきっかけに、既存の人間のとらえ方を疑うことから「人間の模造品(サンプル)をつくる」というテーマを掲げ、活動されてきました。
現在は演劇の分野にとどまらず、様々なワークショップや、プロ・アマを問わず、「表現したい、アウトプットしたい」という思いを持つ人々が集まるコミュニティ「松井周の標本室」など多様な活動をおこなっています。
今回松井さんは、「Y-base」にて「遊び場的ワークショップ集」をつくるワークショップを実施。「遊び場的ワークショップ集」は、標本室のメンバーが考えたワークショップを実際にやってみる取り組みで、ワークショップのプロではないメンバーとともに、有楽町の人々とワークショップのつくり方を色々と試すようなことができればと話します。
その「遊び場的ワークショップ集」のワークショップの一つの例として、松井さん自身がつくられた「標本会議」を紹介してくださいました。
標本会議では、参加者が配られたカードに書かれた役割や与えられた過去を踏まえて、その役割になりきって会議をおこないます。参加者は自分の役割を一度脱ぎ、別の役割を着ることによって、半ば強制的に普段とは異なる発想を試みたり、コミュニケーションの仕方を試すことになるそう。
ワークショップの情報等は、今後順次YAUのホームページやnoteにて公開していく予定です。どうぞお楽しみに。
写真:加藤甫
執筆:原田恵(YAU編集室レポーター)
ライター・編集者
事業創造プログラムの企画運営、ウェブメディア運営、まちづくりに主軸を置く不動産会社での企画広報・バックオフィス業務を経験。
現在は表現する人の活動支援をテーマに、まちづくり・文化芸術分野におけるライティングのほか、小さな組織・企業のバックオフィス業務にも携わる。