見れば気持ちも晴れやかに!海と空の王者、ブーダンの名作
夏といえば、海!
海を描いた画家ははたくさんいますが、中でも自らを「海の画家」と名乗り、生涯海を描き続けたのがウジェーヌ・ブーダンです。
今日はブーダンの描く海の魅力を見ていきましょう。
①映えないけれど
海の絵というと、色がものすごく綺麗だったり、逆に大波に荒れ狂っていたり、「映える」ものが多いですよね。
では、ブーダンの絵はどうでしょうか。
正直ちょっと地味ですよね。真っ青でもないし、凪のようでもないし、迫力ある大波もありません。
ですが過剰な演出がない分、風景がリアルに感じられます。潮風や波の音まで聞こえてきそうです。
水夫の子であったブーダンにとって、海は身近な日常風景だったのでしょう。描かれたのは100年以上も前ですが、今の私たちが見ても親近感があり、「この景色どこかで見たことある気がする…」と思える絵になっています。
②想像に頼らない
ブーダンは光の表現が素晴らしいんです!
太陽が照らすところは自然に明るく、影の部分も暗さのグラデーションが絶妙です。
なぜこのような表現ができたのか。それは、ブーダンが目の前の海をよく観察しながら描いたからでしょう。
そんなの当たり前と思われるかもしれませんが、当時はアトリエで制作するのが一般的で、風景を実際に見ながら描く人はあまりいませんでした。
ブーダンは当時としては珍しく、屋外での制作に積極的でした。脳内で海をイメージするだけでなく、現実の風景にしっかり向き合っていたのです。だからこそ、微妙な光の移り変わりを捉えらることができたのでしょう。
③海 ≒ 空(?)
海には空が映ります。ある意味、海の絵≒空の絵といえるかもしれません。
海の画家ブーダンは空の表現に長けており、他の画家から「空の王者」と称えられていました。
たとえばこれらは海辺が舞台の作品ですが、画面の大半を空が占めています。
雲の微妙な色の変化とか、光の当たり方とか、青のグラデーションとか、どこを取っても素晴らしい描写です。
空って普通は何かの背景になるイメージですよね。それを主役としても成り立たせてしまうのが、「空の王者」の力量です。
空がちゃんとしているからこそ、風景に臨場感が出ています。
海に行った気持ちに
今日は海洋画家ウジェーヌ・ブーダンを紹介しました。
海を「リアル」に描いたブーダン。彼の絵を見ると、なんだか海に行った気分になれる…
というのは少し大袈裟かもしれませんが、暑い夏にもそうでない季節にも楽しめる作品です。
ブーダンは後世の画家にも大きな影響を与えました。その1人がモネです。ブーダンはモネに、屋外で描くことを教えたといいます。
モネは屋外制作から何を得たのでしょうか。
ブーダンは海辺の大気や光を忠実に表現しました。ですが、現実の風景を写さない風景画もあります。