ココが見どころ!日本美術をひも解く -皇室、美の玉手箱
行ってまいりました!
「日本美術をひも解く -皇室、美の玉手箱」@東京藝術大学美術館
皇室&藝大の珠玉のコレクションたちを拝める、日本美術の展覧会です。
華やかだったり、リアルだったり、綺麗だったり、一目見て良さが分かるような作品が多かったように思います。
オタクはもちろん、日本美術に馴染みのない方も楽しめるでしょう。
展示数は82点だそうです。
ゆっくり観ても疲れない程度の、ちょうど良い規模感でした。
展示は前期①・前期②・後期①・後期②に分かれており、展示替えが行われます。
(ややこしい…)
私は前期②と後期①の重複期間に行きました。
なぜこの期間にしたかというと、
ずばり、伊藤若冲が観たかったからです!
やはり圧巻だった若冲
目玉はやはり若冲の植物綵絵!
若冲が動植物を描いた彩色の絵のシリーズです。
今回は全30幅の内、10幅が展示されています。
これだけ揃う機会は貴重ですね。
若冲の作品が展示されているコーナーは「生きものわくわく」と題されていましたが、まさにワクワクが高まるエリアでした!
若冲の植物綵絵といえば、まず最初に思い浮かぶのが鶏でしょう。
今回の展覧会で鶏が登場するのは、
「向日葵雄鶏図」、「紫陽花双鶏図」、「老松白鶏図」の3点です。
今にも動き出しそう!
もはや本物の鶏を見るより迫力があるように思えてきます。
本物の鶏を肉眼で見るとき、羽の一枚一枚を見分けられるほど細かく見えることってあんまりないと思います。
ですが若冲の絵では、羽の模様が一枚ごとに描き分けられ(しかも模様の種類が身体の部位毎に異なっています)、脚の鱗の一つ一つまでみっちり描かれています。
何一つ取りこぼしがありません。
しかもその細かな部分を、鑑賞者にはっきりと見えるように表現しています。
驚くべき観察眼&描写力!
陰影がないのもまた良いです。
鶏の派手な色がそのまま目に飛び込んできますし
鶏が影に隠れないので、頭の先から脚の先まで全部をはっきりと見ることができます。
若冲の表現は実に多彩です。
10幅の作品の中に様々な表現技法が詰まっています。
先ほどの「老松白鶏図」です。
鶏をとてもリアルに描く一方、背景の松は簡略化されています。
松の表現は、放射状の線を描いて、その真ん中に緑の絵の具を丸くのせているだけです。
こちらの「芦鵞図」。背景は水墨画です。
詳細を省略して墨でシャシャッと描き、墨の濃淡と大まかな形だけで芦を表しています。
「梅花小禽図」で画面いっぱいに広がる梅の木は、伝統的な漢画のようです。
展覧会では10幅の作品が一列に並んでおり、若冲の様々な表現を堪能できます。
ほんとに見てて飽きません!
もちろん若冲だけじゃない!魅力的な作品の数々
生き生きとした置物たち
ブロンズ、銀、象牙、白磁…多種多様な素材
人物や動物や植物・・・多種多様な題材
とにかくバラエティーに富んだ置物の数々。
どの作品も本当に生き生きしていました。
特に印象に残った作品を紹介していきます!
高村光雲の「鹿置物」は、木目をそのまま活かしているのがお洒落!
現代のインテリアにもなりそうです。
「白磁麒麟置物」は今にも動き出しそう!
麒麟といっても首の長いやつではなく、想像上の生き物ですが、現実世界の生き物を観察して作ったかのような臨場感です。
あと、白磁はやっぱり美しいですね。
十二単をまとった女性の像で、象牙でできています。
象牙ならではのツルっとした質感から出る高級感は活かしつつ
着物の質感や女性の優し気な表情が見事に表現されていました。
いつまでも見てられる絵巻物たち
絵巻物も名作揃い!
・誰もが教科書で見た蒙古襲来絵巻
・かの有名な春日大社権現記絵巻
・見てるだけで楽しい酒伝童子絵巻
etc…
やはり目の前に実物があると、細かいところまでじっくりと眺められます。
絵巻物は本来、手に持って少しずつ広げながら読むもの。
つまり、読者が気になったところを自分の目元に近づけて見ることができるものです。
もちろん美術館ではそんなことできませんが、心の中で巻物をめくるところを想像しながら鑑賞するのも楽しいです。
個人的には、服装や装飾品、武具などの描写が興味深かったです。
十二単のグラデーションや、着物の袖の色の切り替えや柄、甲冑や武具の詳細まで描かれていて、それを一つ一つ見ているだけでもあっという間に時間が経ちました。
他にもたくさんの魅力的な作品があります。
(丸山応挙の「牡丹孔雀図」とか、「七宝四季花鳥図花瓶」とか…)
とにかく一点一点の質が高く、見応えのある展覧会でした!
展示替えがあるので、観たい作品をチェックしてから行くのがおすすめです!