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アーツカウンシルさいたま 令和5年度事業報告会レポート -第1部-
2024年3月30日(土)、アーツカウンシルさいたま(以下ACさいたま)の令和5年度事業報告会が行われました。
事業に携わった市民の皆様や文化芸術団体、プロジェクト参加作家、キュレーター、有識者の皆様がさいたま市南区の「GAFU -gallery & space」(ガフ *1)に集い、4時間に渡って多彩な事業の報告を展開してくださいました!!
*1 GAFU -gallery & space- :元々は画布―絵画のCanbus(キャンバス)工場だったところ。オーナーの船岡氏が展示・カフェスペースとしてリノベーションし、地域の方が交流できる場として運営。
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「さいたま国際芸術祭2023」開催年は、事業の伴走支援も多彩に!
アーツカウンシルさいたま(以下ACさいたま)が、創設されたのは令和4年秋。
令和5年度はさいたま市で3年ごとに行われる「さいたま国際芸術祭2023」の開催年と重なり、市民プロジェクトが芸術祭会期中に展開する場作りをACさいたまが支援をしたり、市民参加型の公募プログラムの選出・支援をしたりと、ACさいたまの通常の事業に加え、多彩な事業の伴走支援を担う年度となりました。
これらの事業に携わった皆様からのご報告と識者の方々からのコメントなど、報告会の模様を3部構成に分けてレポートします!
さいたま国際芸術祭2023市民プロジェクト 公募プログラム
「さいたま国際芸術祭2023市民プロジェクト公募プログラム」(*2 )に選出された7つのプログラムの報告をご紹介します。
*2 公募プログラム:市民参加型の国際芸術祭として、市内で展開される文化芸術活動とさいたま国際芸術祭実行委員会が芸術祭をともにつくりあげるためのプログラム。対象事業は公募し61件の応募があり、審査会で審査の結果、7件を選出しました。
「しまった写真展(仮)」
hash out project/はまたンぺ(濱田凌)
<コメント抜粋>
「しまった写真展(仮)」はいわゆる間違って撮って“しまった”りとか、スマホをポケットに入れていて勝手に撮れちゃった、というものを扱おうと思ったのがきっかけです。いつどこで誰が何を撮ったのかという写真にとって大事な情報が曖昧だというのを“しまった写真”の大きなテーマにしています。また、展示手法については、普遍性、空間性、キャッチ―さを重視していて、来てくださった方にこのタイトルについて聞かれることも多かったです。テープを使用し、自分で会場内に写真を貼るという行為で展示空間にとどめるなどもしました。オープニング・レセプションや物販、YouTubeトーク企画など、他にはないような企画も考えながら作っていきました。
反省点として運営、サポートに関して確認などの連絡のタイムラグが生じてしまったこと、宣伝・搬入の支援がもう少し手厚ければ、とても助かったかなと思いました。
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「アートへのはじめのいっぽ!行ってみよう!さいたま国際芸術祭!【子ども向けアート鑑賞会】」
大宮こども部
<コメント抜粋>
「アートへのはじめのいっぽ!行ってみよう!さいたま国際芸術祭!【子ども向けアート鑑賞会】」はアートコミュニケーターと一緒に色々な表現をみんなで見て話して、アートへの入り口を見つけ、正解にこだわらない楽しさ、面白さを知るプログラムです。76名ものお子さんが参加してくださいました。
「わたしは○○と思ったけど、お友達は○○だったよ」という親子の会話も聞かれ、違いを受け取る良い場作りができました。アートコミュニケーターとして沢山の笑顔に囲まれて、良い鑑賞体験の場を作れたこと、とても嬉しく思います。
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「シャボン da さいたま ~レンズの向こうのわたしとワタシ~」
チームシャボン(小泉 文、hacha、古川 由徳、よこうち ともひろ)
<コメント抜粋>
芸術祭のテーマが「わたしたち」ということで、色々な性質を持って、人の性質と似ているシャボン玉というところから、シャボン玉と人間ーわたし、というものを照らし合わせて、自分の内側を今一度見つめ直してみる機会を作れたらなと思って今回の企画を立てました。企画のきっかけとなったのが、2020年の芸術祭で公募プログラムを行ったこと、その後市民サポーターの皆様からお力をいただいて、ACさいたまからアート資源調査(*3)にご協力いただけませんかとお声がけいただき、今回の会場の「STUDIO・45」(*4)を運営していこうとなったことです。会場には157名の方が来場してくださいました。今後も色々な人や物、真(まこと)をつなぐ、ハブとしてSTUDIO・45を運営できたらなと思っております。
*3 アート資源調査:国際芸術祭市民サポーター等がさいたま市内のアート系のギャラリーやカフェなどを訪問・調査し、市内のアートの拠点を紹介する事業。
*4 STUDIO・45:さいたま市浦和区にあり、写真スタジオとしての活用のみでなく、地元のコミュニティの憩いの場ともなっている。2021年10月にオープン。
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「In our homeland」
低空エアリアルユニット「窓」(名取 萌音・笹尾 麻衣)
<コメント抜粋>
「In our homeland」は芸術祭のテーマである「わたしたち」から創作をスタートしました。エアリアル・ユニット「窓」は”物語をベースにしたサーカス的パフォーマンス”のユニットで、日常の延長線上に物語を置くことを意識して制作しています。上演する場所のリサーチから始めて、その場所にお邪魔するという感覚です。
今回は野外での上演を希望しており、ACさいたまのアドバイスにより最終的に山丸公園で行うこととしました。SL機関車と「旅立ち」という像がある”鉄道のまち大宮”のイメージにぴったりな会場で、その像の女の子を主人公に物語をつくり、大宮駅の発車メロディに着想を得て作曲された楽曲とともに上演しました。子どもの来場者も多く、偶然遊んでいた子がジャンプインする瞬間もあり、「わたしたち」の空間でのよい相互作用になっていたと思います。上演の機会をいただきありがとうございました。
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「さいたま市民らと創る映画『沼影市民プール』in さいたま市 協働制作~公開プロジェクト」
ハイドロブラスト(太田 信吾、竹中 香子、Maxime Lauret)
<コメント抜粋>
「さいたま市民らと創る映画『沼影市民プール』in さいたま市 協働制作~公開プロジェクト」という映画作品を伴走支援いただきました。
「死の受容」というテーマを掲げ、建物の死はそこに住む人、周りの人に与える心理的な影響があるのではないかと、2023年の夏、最後の営業を迎えた沼影市民プールでその記録映画を作ろうとスタートした企画になります。約2ヶ月間撮影して12月に試写会を行いまして、約500名の方にご来場いただきました。
都市開発を問い直す機会にできたのではないかということと、まだ発展途上にあるプロジェクトなので映画祭への出品など最後まで頑張ります。公募プログラムとしてACさいたま、行政の皆様にも伴走いただけて心強かったです。芸術祭参加後に追加撮影の資金調達に成功し、来年初頭の国際映画祭でのワールドプレミア、その後の劇場公開に向けて解体をはじめとする追加撮影やポストプロダクションを続けております。今後もさいたま市を拠点に創作活動を続けて参ります。引き続き何卒よろしくお願い致します。
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「作品展『見沼の愛』&ワークショップ作品展示・写真ワークショップ『ふぉっと見沼る?』」
toshi.tajima(PhotoArtist)、ノン(造形作家)、柿山 満雄(カメラマン)、陽だまり陽sun(写真家)
<事業実施者が当日欠席の為、ACさいたまが代読したメッセージを抜粋>
「作品展『見沼の愛』&ワークショップ作品展示・写真ワークショップ『ふぉっと見沼る?』」の作品展「見沼の愛」は245人の方に見ていただきました。会場のコンドウハウス(*5)を訪れた方からも「作品を見て見沼の美しさが伝わってきた」「自分も見沼の自然を写真で撮ってみたい」などの感想をいただくことができ、地元の良さやアートへの興味関心を持ってもらうことができたと感じています。
写真ワークショップ「ふぉっと見沼る?」は、当日は2組4名と少数の参加でしたが、コンドウハウスのスペースを十分に活用し、また参加者同士や参加者とスタッフの間のより深い交流ができました。今後は、ここで得た繋がりを大切にして地域をベースとした活動を続けていきたいと思っております。コンドウハウスさんとは、今後も共同企画の活動を相談中です。
*5 コンドウハウス:さいたま市見沼区にあり、田園風景の広がるところの民家を改修したコミュニティ・カフェ。2022年4月オープン。
「和紙障子プロジェクションマッピング『大宮曼荼羅』」
坂根 大悟
<事業実施者が当日欠席の為、ACさいたまが代読したメッセージを抜粋>
大学時代、東京23区の郷土資料館を全て巡るという酔狂なことをしていた私が、過去と現在の対話によるカタルシス体験を再現したいと企画し、さいたま市のアイデンティティを再発見する契機になればと考えました。
開催期間中のアンケートでは「さいたまという土地をあらためて知った。ビショビショな土地をここまで干拓したのかと思うと、先人はなんて素晴らしいんだろう。展示を通じて長い時間、旅したようだった」「建物に合っているのに斬新さもあり素晴らしい。素直に周囲の人に勧めたいし、勧めた」「美術展にあまり行かない友人と拝見しましたが、解説があったことで2人でそれを見ながら作品について会話が出来、友人も楽しめたと言っていました」との声が寄せられました。課題としては「企画提案の段階で、展示場所を確保する」という条件がタイトで、幸運にも氷川の杜文化館様のご協力を得ることができましたが、事前にACさいたまが展示場所をいくつか確保し、公募作品に応じて、採用決定後に展示場所を采配できれば、応募者の負担軽減につながり、魅力的な企画が集まる可能性が高くなるのではと思いました。また、この展示を一つのきっかけとして、4月より大学院の映像研究科に進学することになりました。改めて感謝申し上げます。
公募プログラム 審査員の講評
「さいたま国際芸術祭2023市民プロジェクト公募プログラム」は、7名の審査員による審査を経て選出されました。当日は、遠山昇司氏と滝口明子氏よりコメントやアドバイスをいただきましたので、その一部をご紹介します。
審査員 遠山昇司さん(さいたま国際芸術祭2020ディレクター)
<コメント抜粋>
芸術祭の公募プログラムに選出された皆さん、お疲れ様でした。皆さん、しっかりと完成されて、それが一番嬉しかったですし、公募プログラムは2020年の時よりもレベルが上がっていて、とても良かったと思っています。また芸術祭での公募プログラムの展開が2020年から継続出来ていることもいいなと思いました。芸術祭をメイン会場の展開とともに公募プログラムの皆さんも一緒に盛り上げてもらうということ、ACさいたまの伴走があって可能になること、例えば普段は使えないような場所でできることなどが、面白さ、魅力の一つだと思っています。
「大宮こども部」と「チームシャボン」は継続している活動が徐々に次のステップに向かっているなと感じましたし、「窓」の名取さんはACさいたまの支援で山丸公園でできたことはとてもよかったと思います。そこでお子さんが参加されている風景は忘れがたい風景でしたね。
「ハイドロブラスト」太田さんの沼影市民プールのドキュメンタリーは、映画の資金調達の難しさを知っているだけに、さいたまで作られるインディペンデント映画にACさいたまとさいたま市が補助するという、その機会がとても大事なことだと思います。補助の額は少ないかもしれないけれど、審査員たちも今回の選出の中では一番大きな額を太田さんの作品に出してみようと審査の時に決めました。今後映画祭にも出品されるとのこと、未来のあるストーリーが聞けて良かったと思います。
写真展のhashoutproject/はまたンぺさん、坂根さんは審査過程で新しい活動をサポートしようということがありましたので、金額的サポートとしては少なかったけれども、通常だと展示自体が難しい、例えば盆栽四季の家をACさいたまの伴走支援で使えたことなどは重要だったなと思っています。作品展「見沼の愛」は、自然豊かな素敵な場所でさいたまの地域的なバランスで見沼があることも示せて重要だったと思っています。
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審査員 滝口明子さん(うらわ美術館学芸員)
<コメント抜粋>
「しまった写真展(仮)」の企画は審査の時からワクワクしました。これはなかなか美術館ではできない内容で、そして市民の皆様にオープンな場所でやるというところに可能性を感じ、選ばせていただきました。面白い試みなので、反省点も伺いましたが、次につなげていただければと思います。
「アートへのはじめのいっぽ!行ってみよう!さいたま国際芸術祭!【子ども向けアート鑑賞会】」は、正解がないよというところが、美術館の鑑賞教育とは違う点で、そこがいいなと思って選ばせていただきました。子ども達にとっての現代アートへの入口を作ることができたのではと思っています。
「シャボンdaさいたま ~レンズの向こうのわたしとワタシ~」は、私も実際に体験して楽しかったですね。シャボン玉を写真に撮って色の名前を付けるという、美術館ではなかなかアプローチできないことだなと思って選ばせていただきました。
「沼影市民プール」は、あのプールがさいたま市民にとっての海とも聞いていましたし、市民の方の色々な思い出があってそれを記録として残すことに意義があると感じましたし、試写会を見て素敵な映画だったなと思いました。引き続き、制作を続けているとのこと、これからも頑張ってください。
「In our homeland」の作品は、サーカスというものが芸術祭にあるということだけでワクワクして、記録映像を見ても分かりますが、お子さんが本当に楽しそうなので、あの体験が日常にもっとあればいいなと思いながら見ていました。
今日のこの報告会にはいらしていないですが、「見沼の愛」や「大宮曼荼羅」も会場の近所の人が見に来られる場所を作っていること、市民に寄りそって美術館より近い場所でアートを体験できるということで選んでよかったと思いました。
今回の方々には是非継続して、それぞれの活動を広げていっていただきたいです。坂根さんは今回の制作をきっかけに進学が決まったということも伺い、嬉しく思いました。
それからACさいたまの伴走支援も大変だったかと思います。場所確保や広報の課題は今後解消して、次につなげていただきたいなと思っております。
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さいたま国際芸術祭2023市民プロジェクト・キュレーター事業
「さいたま国際芸術祭2023市民プロジェクト・キュレーター事業」(*6)の浅見俊哉さん、飯島浩二さん、松永康さんより報告をいただきましたので、その一部をご紹介します。
*6 市民プロジェクト・キュレーター事業:市内で創作活動を行っているアーティストや、アート・プロジェクトを牽引してきたアート・コーディネーターがキュレーターとなり、市内全域で実施されるプログラム。
浅見俊哉さん 「さいたまアーツセンタープロジェクト2023*(SACP2023*)」
<コメント抜粋>
私は芸術祭にはさいたまトリエンナーレ2016から関わっておりまして、今回が3回目の芸術祭の参加となります。2023年は芸術祭の会期前から、「生活都市さいたま」で主に市民の方と「アートに参加する習慣」をつくりたいと、約50のプログラムを企画・実施しました。
2023年は、芸術祭に来る方に、さいたまでの「人と土地と表現」の関わりを体感してもらいたいと考え、「さいたまとあそぶ」をテーマに、市内に8つの「アーツセンター」をつくり、そこで展覧会、ワークショップ、レクチャーなどを開きました。具体的には、マーブルテラスという障害者支援を行うカフェで、テンギョー・クラさん(ヴァガボンド・ストーリーテラー)を招へいし、アフリカの福祉の現場での活動写真を展示しました。その作品をもとに、さまざまな福祉の現場で活動している方とのレクチャーを開き、日々の活動しているの現場の共有を行いました。「space845」(*7)では、未来美術家の遠藤一郎さんに滞在してもらい、さいたまに滞在しながら表現をする場をつくりました。訪れる人はその場を見たり、作家に直接話を聞いたり、作品を身近に感じることができる機会を創造しました。中尾第二自然緑地では、竹林や緑地保護の場所を管理している人たちと協働し、パフォーマンスアーティストDamaDamTalの場を生かしたパフォーミングアーツプログラムも行いました。パフォーマンスは、作家だけでなく広く出演者を募集して制作が行われ、普段の生活空間がアートにより魅力的に変化する体験を味わいました。
8つの「アーツセンター」をつなぐ役割として「さいたまアーツナビゲーター」の取り組みを行いました。市民サポーターさんが中心となって作品鑑賞のナビゲーターツアーを企画し、様々なアートの場所をつないでいくプログラムはとても好評でした。
上記のようなプロジェクトを継続し、実施することで、様々な人や場とつながってきた関係を活かしながらプログラムをつくりました。今後、このACさいたまが創設されたことで、「生活都市さいたま」ならではの、アートプロジェクトが継続するための仕組みを皆さんと一緒に意見を出し合いながらつくっていければと考えています。
*7 space845:オーナー 利根川氏のお父様の元会社兼住居を10年の構想を経て、みんなが集まれる場所であり、各自が自由な表現を出来る場所でもあり、さらに制作するところも共有できる場にしたいとの思いで、2021年にオープン。アート資源調査の調査先。
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飯島浩二さん「アーツさいたま・きたまち」
<コメント抜粋>
私は大宮北部で市民プロジェクトの活動をしています。今回の「さいたま文化の星をつなぐプロジェクト」は、星の王子様が星を回っていくように、さいたまが誇る文化施設間を周遊したら面白いのでは、と言う発想から自動車や自転車を使ってアーティストと鑑賞者が一緒に回っていくツアーでした。
「CARt-SAITAMA(カートさいたま)2023」(改造したアートカーでキャラバン走行)、「ART-Chari (アーチャリ)2023」(改造したアート自転車と巡るツアー)、「さいたまアーティスト・イン・レジデンス・プログラム」(岩槻区と西区のプログラム)、この3つのプログラムに加え、市内の文化施設を用いたメイン企画の「味変企画」と、連携していくイメージを持っていただければと思います。
さいたまの文化施設―さいたま市大宮盆栽美術館、さいたま市岩槻人形博物館、鉄道博物館、さいたま市立漫画会館、この4館を起点に周遊し、そこでオリジナリティある文化芸術に触れていただくことも大切なことです。アートファンの方々はこういった施設になかなか足を運ばない、一方でこういった施設の濃いファン層の方々はあまり現代アートの展示にいかない、、、そこでお互いをクロスオーバーさせ混ざり合わせれば、より現代アートの裾を広げられるのでは、という思いから挑戦させていただいた企画でした。
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松永康さん「創発 in さいたま」
<コメント抜粋>
創発という言葉は、生物学とか文化人類学で使われるのですが、1+1が2以上になるというそういう効果を言います。つまり「三人寄れば文殊の知恵」そんなことだと思っていただければ良いです。さいたまで創発を起こそう、という企図を持っています。2020年の芸術祭から参加させていただいていますが、展覧会プログラムとイベントプログラム、広報・記録プログラムの3つに分かれています。
展覧会プログラムの構成は、ギャラリーセレクションの画廊企画事業、美術家企画事業、キュレーター企画事業の3本立てになっています。画廊企画事業は市内の画廊に参加いただき、そこの推薦作家を紹介していただくということを行いました。美術家企画事業は美術家の方が主体になっていくもので、5つぐらいのプログラムを展開しました。キュレーター企画事業は、さいたま市に関連のあるキュレーターによる展開となりました。加えて海外作家交流事業として、韓国からチャ・スンオンさんを招聘しました。
イベントプログラムは、市民企画事業と学校連携事業の二つの枠に分かれ、市内の美術資源をどう生かすか、という市民活動と、市内の学校で作家などと連携・タイアップして展開する事業を行いました。小学校では基本的にその学校の卒業生でアーティストをされている方に子ども達と一緒に体験していただくという工夫をしてみました。
広報・記録プログラムは、さいたまアートハブズ計画というタイトルで中高生と市民記者が講座を受け、芸術祭を取材、埼玉新聞で紹介する企画を行いました。広報物やホームページ作成、記録集をまとめるという仕事も行いました。新しく始めたのは、市外広報連携事業で県内の美術家主体の展覧会と広報を連携するということも行いました。
企画の経緯ですが、2016年から行っていた「美術と街巡り・浦和」が、「美術と街巡り事業」という名称で「さいたま国際芸術祭2020」に参加することになります。一方で私は2009年から、県内在住の美術家たちがそれぞれの地元で一斉に展覧会を開く「さいたま美術展〈創発〉プロジェクト」を行っていました。これを受けて、今回の事業名を「創発 in さいたま」としました。
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ACさいたま アドバイザリーボード委員の講評
市民プロジェクト・キュレーターの皆さんへACさいたまのアドバイザリーボード(*8)委員からのコメントをご紹介します。
*8 アドバイザリーボード:ACさいたまの外部有識者で構成され、ACさいたまにおける文化芸術活動の支援の方向性や、市への政策提言等に対する助言を行う。
アドバイザリーボード委員 小沢剛さん
(東京藝術大学 美術学部先端芸術表現科 教授、美術家)
<コメント抜粋>
ものすごい凝縮していて熱量を感じました。さいたまの細部にそこまでアートが沢山溢れてるとは!というぐらい、「SACP 2023*」と「創発 in さいたま」は非常に幅広くものすごい数があるっていうのが伝わってきました。
「アーツさいたま・きたまち」は自動車、自転車はとてもインパクトがあったし、狙いが見た方に伝わったんじゃないかなと思いました。
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アドバイザリーボード委員 小林桂子さん
(日本工業大学先進工学部情報メディア工学科 准教授)
<コメント抜粋>
浅見さんの「SACP 2023*」と松永さんの「創発 in さいたま」は、お二人ともとても真摯に一生懸命やってくださったこそのボリュームで本当に驚きました。
飯島さんの映像で見た、地域とか観客とか、他の場所に住んでいるアーティストさんを呼んできて、文化施設とつないでいく企画は面白かったです。会期中に会場に行けなかったのは本当にとても残念でした。
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次のレポートでは、事業報告会の第2部(さいたま文化芸術都市創造助成金「文化芸術を生かした地域活性化事業」採択団体からの報告、さいたま公募プロデューサー事業「さいたまで表現を創る」プロデューサーからの報告)をレポートします。
当日の様子のダイジェスト動画をYouTubeにて公開中です。ぜひご覧ください。
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