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湿気とカビ対策!デザインと両立させたい!
今回は湿気とカビの話。沖縄では高温多湿な気候の特性上、湿気による住まいのトラブルが多くあります。その他の地域でも梅雨時期や、気温が低く結露が起こりやすい時期には気になりますね。
気候にも、建物によっても異なるので想定するのはなかなか難しいですが、特にリノベーション対象の建物ですでにカビや湿気の影響が見られる場合は要注意!内装をきれいにするだけでは、後から建材の反りなどの不具合が出たりカビが生えたりする可能性があります。リノベーションで湿気やカビ対策、どんなことができるかを考えました。
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リノベーション前の事前調査は慎重に
リノベーション前の現地調査では、カビや水濡れの跡、木材の歪みや波うちなどがないか、よく確認しましょう。
特に窓まわりや、冬の間外気との気温の差が大きくなりがちな北側の壁の隅などは結露の影響が出やすい場所です。他にも、物が多く入っていて空気の流れが少ない収納や押入れの中も要注意。外気に面した壁に接して家具を長くおいていた場所などにも、湿気が溜まってカビが生えていることもあります。
カビや水濡れの跡が見られても雨漏りや配管からの水漏れの可能性ももちろんあります。気になるところは何が原因と考えられるのか、よく検討してから対処法を考える必要があります。
リノベーションでできるカビと湿気対策は?
風通しの良い間取り
間取りを考える際は、湿気対策だけではなく快適な空間を作るのに風通しを考えるのは言うまでもなくとても重要です。長く時間を過ごす生活空間はもちろん、収納のなかもできるだけ空気の流れが確保できるようにプランを検討しましょう。ついつい物を詰め込みたくなってしまう収納ですが、天井と壁の間に隙間を作ったり、室内窓をつけたり、通気性のある素材で仕切りを作ると、空間を広く見せる効果もあり一石二鳥です。
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結露の影響だと想定されるなら内窓や断熱材
窓まわり、外壁に面する壁などでカビが見られる場合は、結露の影響の可能性が大きいかもしれません。窓周りはサッシの交換かインナーサッシの設置をすることで結露は軽減することが可能です。壁や天井、梁などにカビが見られる場合は少し解体して中の状態を確認してみるのがおすすめです。表面だけでなく内部までカビが生えていることがあります。また、一部断熱材が貼られていない箇所が見つかったり、原因が推察できることがあります。断熱材が不十分で影響が大きいと判断できれば、少し費用はアップしますが、リノベーション工事の際に断熱材を追加することを検討しましょう。
地面からの湿気を遮断する
戸建て住宅やマンションの一階だと、敷地条件や建物の建て方によっては地面から湿気が上がってきやすい場合もあります。地面からの湿気が気になる場合は、床材の施工前に防湿シートを敷くのも効果的。その他にも水分を遮断する塗料などを利用する場合もあります。
調湿性のある建材を採用する
内装を選ぶ際に調湿性のある内装材は、湿度の高いときには水分を含み、湿度が低いときは水分を放出してくれるので湿度を調整する効果が期待できます。希望のデザインを叶えながら快適な空間に
一役買う、調湿性のある素材として代表的なものは以下の通りです。
珪藻土や漆喰などの左官材
い草やサイザル麻などの自然素材
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木毛セメント板や羽目板などの木材
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エコカラットやSOLIDなど
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*写真はtypeM 調湿性のあるSOLODはこちら
その他、無垢フローリングにも調湿性はありますが、湿気を含んで反りや突き上げにつながった場合の影響が大きいので、湿気が気になる部分の床材には不向きです。採用する場合は、針葉樹より広葉樹の方が反りにくいので樹種にも気をつけて選びましょう。思い切って、湿度の影響の少ないタイルやビニル系の素材などを採用するのもおすすめです。
高温多湿な沖縄で湿気対策に配慮しながら施工した事例です。水分の影響の少ないビニルタイル、ホーロー素材のキッチンをセレクト。洗濯除湿機能付きのエアコンを設置するなど、沖縄の気候を読み解きながら設計しました。
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暮らしの中での工夫も必要です。
最後に、いくら間取りで工夫しても、調湿性のある建材をたくさん採用しても、全てのトラブルを解決できるわけではありません。外気に面した壁や窓に接して家具を置かない、定期的に風を通す、サーキュレーターで室内の空気を循環させる。それでも湿気が気になるところには除湿剤を置いたり、除湿機や除湿機能のあるエアコンを活用するなど、暮らしの中での工夫ももちろん大切です。何事も、ハード面の建物だけで解決するのは難しいのです。
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湿気対策も含めた快適なすまいの提案をしております。具体的なご相談はこちらよりお問い合わせください。
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文:松下文子 Arts &Crafts 取締役副社長