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(音楽 x 愛と平和) Imagine ジョンレノンと忌野清志郎
2020年、音楽を聞くにはCDよりストリーミングがいよいよメインとなってきました。
アーティストの宣伝・販売戦略により全部が全部ではないですが、最近では大手ミュージックレーベルのアーティストも続々とサブスクを解禁してきています。
カメラや音楽機材の価格も安くなったことからMV付きの曲もどんどんyoutubeに上がりますし、CDを作る制作費がいらないところから巷には聴ききれない数の曲が溢れています。
なけなしのお小遣いで買った1枚のCDを擦り切れるほど聴いていた時代から、とりあえずダウンロードして何秒か聞いてイマイチだったら次の曲を聞いたり、ダウンロードしたことすら忘れて聞くこともないなんていう時代に変わってきました。
そんな時代の中、どんな曲が流行り、愛され、残っていくのか。
音楽の好みは人それぞれですが、僕個人としては、
・音の美しさ(楽器やメロディー、声のフロー含む)
・曲の持つメッセージ性/アーティストのバックグラウンド
・曲としての純度
この3つの要素を兼ね揃えた曲こそ後世に残っていくのかなと思います。
そんな僕の琴線に触れた曲を、そのアーティストや曲、そして時代背景の考察など含めてご紹介していきたいと思います。
第一回は何にしようかなと思いましたが、超超超ベタに
John Lennon / Imagine
から始めたいと思います。
① Imagine について
この曲は1971年の秋に発表されました。
ビートルズ解散後、John Lennon の曲として出されたものです。
シンプルで心地のいいピアノから始まる曲ですが、ジョンレノン自体も
「やっと(ポール・マッカートニー作の)“イエスタデイ”みたいな曲が書けた」
と喜んでいたそうです。
曲としての美しさももちろんですが、それ以上に Imagine の歌詞にはものすごいメッセージが含まれています。
第一回に取り上げるのにもってこいなメッセージ性と当時の時代背景が投影された純度の高い作品です。
②時代背景と既存社会の3つの根源
1970年代前後の世界といえば「ベトナム戦争」と「愛と平和」がテーマかなと思います。
戦争と平和という2つの相対的な事柄に世界が直面した時代でした。
第二次世界大戦で日本の戦争の歴史はストップしましたが、アメリカはその後も朝鮮戦争に参戦し、1965年からはベトナム戦争を行なっていました。
戦争の原因は政治的イデオロギー、すなわち
資本主義&自由主義 VS 社会主義/共産主義
です。
世界を巻き込み米ソ冷戦へと発展するこの争いは、TVの出現により1960年代からその悲惨さが映像により国民にも知れ渡ることになりました。
政府やメディアが管理するラジオや映画といった一方的な情報や戦争を肯定するプロパガンダに、ジャーナリストが取材するリアルな現実が映像としてお茶の間へ。
同じ人間同士で争い合い、殺し合う構図は、経済、テクノロジー、人権意識の発展により平和な社会へと向かうアメリカ国民に酷く残虐に映りました。
また当時のアメリカ社会のシステムや文化に疑問を持った若者の多くは、愛や平和、自由を求めるヒッピーとなり、ベトナム反戦運動は大きなムーブメントに発展しました。
「国が掲げる正義とは本当に正当なのか?」
「戦争を指示するのは政府、実際に被害を受けるのは兵士や民間人」
「税金が戦争に消え、戦争により儲かる軍産複合体の存在」
国や政府に対してこの様な疑問や懐疑心が生まれ、争いとは逆の「愛・平和」をコンセプトに多くの運動、アート、音楽が生まれました。
そのうちの代表曲のひとつが** Imagine** です。
そしてその歌詞はシンプルに、
「既存社会の3つの根源がない世界を想像してみて」
というようなものです。
歌詞の背景にある意味も歌詞を部分的に抜粋しご紹介します。
Imagine there is no heave
想像してみて、天国がない世界を
No hell below us
僕らの下には地獄もない
Above us, only sky
僕らに上には空が広がっているだけ
Imagine all the people living for today
天国や地獄にいく不安や希望を捨て、”今日”を生きれたら
この部分ではアメリカ社会の基盤であるキリスト教の概念「天国と地獄」がもしなかったら人々はどう生きるだろうか?という歌詞になっています。
1960年代後半からビートルズは東洋思想に興味を持ち長期でインドに行ったり、ジョンレノンはオノヨーコとの結婚や禅・神道など2元的な西洋思想から一元的な東洋思想に影響を大きく受けています。
天国や地獄がなかったら、ただ空があるだけ
人々が今日のために生きれたら
という歌詞も物事や世界を”ありのまま”に捉えたり、”今”に集中する禅的な思想が感じ取れます。
Imagine there is no country
もし国という概念がなかったら
Nothing to kill or die for
国ために殺したり死ぬことはない
No religion, too
宗教のために死ぬこともね
Imagine all the people living for peace
もし人々が平和のために生きれたら
この部分では国や国境なければ、領土を奪うためや守るために死ぬことはないし、宗教のために死ぬこともなくなるのではと歌っています。
国や宗教という概念で自分や自国を”正しい””正義”と捉えることで、そうでない人たちを攻撃することが正当化されている世界の状況をみての歌詞かなと思います。
Imagine no possessions
もし所有という概念がなかったら
No need for greed or hunger
物欲や飢えはなくなり
A brotherhood of man
人類は兄弟となれる
Imagine all the people sharing all the world
もし人々が所有ではなく共有することができたら
もし所有するという概念がなかったら、物や土地、お金を取り合う必要はなくなります。
争いが長く続くヨーロッパや中国などの大陸文化では”所有”という概念は生きる上で常に付きまといます。
日本の縄文時代、アメリカのネイティブアメリカン、オーストラリアのアボリジニなどのアニミズムを信仰する文化では所有の概念はなくシェアしていたという話がありますが、ピラミッド型の階級社会から円形で成り立つより平等な社会に向かっていけたらという思いが含まれている気がします。
上記の通り Imagine では、
宗教や国、所有という概念がない世界を想像してみよう
というメッセージが込められています。
ヒッピー文化と切り離すことができない精神拡張や無我の境地など通常の感覚を卓越する知覚や色彩感覚を誘発するLSDや意識拡張/変容をもたらすマリファナの影響もあると思いますが、この激動の時代と合間ってここまでピュアで根源的に平和に懇求する歌詞に至ったのだと思います。
ある意味究極の左翼思想であり、政治的な見方をすればお花畑と言われてしまう歌詞ですが、平和を実現するという意味で究極の理想として今でも様々イベントで流れていることはみなさんご存知の通りだと思います。
だからこそサビの部分では、
You may say I’m a dreamer
あなたは僕を夢想家と呼ぶかもしれない
But I’m not the only one
でもこの夢を見てるのは僕一人ではない
I hope someday you will join us
いつかあなたにも同じ夢を持って欲しいな
and the world will be as one
そうなったとき、世界は一つになる
とジョンレノンは歌っています。
「思考は現実化する」と言いますが、世界が平和になる一歩目としてこういう風に考えてみては?という願いが歌に込められていると思います。
③Imagine の影響力
日本では「音楽に政治を持ち込むな」というアート表現の意義を根本から否定するような意見もありますが、事実 Imagine やこの時代に制作された多くの音楽やアートの影響で時代は大きく変わりました。
音楽だけでは世界を変えられないとしても、音楽なしでは世界は変わらなかったといっても過言ではないと思います。
実際に9.11後のアメリカでは「Imagine」は放送禁止になったりと、戦争をしたい国や政府にとって都合の悪い曲として度々放送が規制されています。
そしてこれこそが音楽の持つ力の証明だと思います。
ジョンレノンがCIAに調査されていたという話も有名ですよね。
そして現代音楽のすべてのルーツがビートルズにあると言われるほど、ジョンレノンやビートルズは世界に影響を与えています。
その中でもキングオブロックと呼ばれる忌野清志郎さんのImagine をご紹介し記事を終わりにしようと思います。
Imagine の歌詞を日本語訳し気持ちを込めて歌っているこのライブ映像は圧巻です!
最初のMCの通り、21世紀になったのに全然平和にならないこの世界....
少しでも平和になることを願い、改めて Imagine を聞こう!
今日はそんなご紹介でした^^