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【海外絵本入門】イラストレーターがまずやるべき3つの事
年が明けて、新年の抱負を掲げる人も多いかと思います。
今までもいくつか海外絵本についての記事を書いてきましたが、今回はこれから海外絵本の挿絵のお仕事にチャレンジしてみたい、あるいは興味があるイラストレーターの方向けに、「まず何をしたらいいのか」についてサラッと書いてみようと思います。
ポートフォリオ
まず何よりも大事なのがポートフォリオ(=作品集)。これが第一優先。正直これが全てと言っても過言ではありません。もし現在ポートフォリオがない場合、これ以降に書いてあることは無視して頂いて構いません!絵本に限らず、イラストのお仕事をするには、それぞれ適切なポートフォリオが必要になります。
絵本と一口に言っても、様々な種類があります。
Chapter Books:文が主体で、カットイラストが所々ある児童書
Picture Books:全てのページに挿絵のある、いわゆる普通の絵本
Board Books:厚紙でできた幼児向けの絵本
Graphic Novel:グラフィックノベル=海外版漫画
上記のどのカテゴリーに興味があるかにもよりますが、基本的には幼児や児童向けなので、子どものキャラクターを描けることが前提となります。あとは動物を描けるとよりプラスになります。これを念頭に置いて、ポートフォリオを作りましょう!
大抵の場合、絵本では同一キャラクターが複数ページにわたって何度も登場するので、そのキャラクターが毎ページ、同キャラクターであると認識できる必要があります。出版社側がそれを容易に確認できるように、異なる場面で同じキャラクターを描いたものや違うポーズがいくつも描かれたキャラクターシートというものをポートフォリオに入れることをオススメします!
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絵柄などが出版社のアートディレクターの好みで目に留まっても、上記のような基本的なものがすぐに確認できないとスルーされてしまう場合もあり得ます。絵柄が余程気に入って貰っていた場合は、テストとしてサンプルを描いて欲しいと言われることもあります。(テストは有償と無償の場合有り)
オンラインポートフォリオは何を使っていますか?
イラストレーターとして活動していく中でポートフォリオは不可欠とお話しましたが、Instagramや他のSNSをポートフォリオとして利用していらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
趣味の絵やイラストを投稿する目的であれば、それで十分です。しかし、少しでもイラストレーター/絵本画家としてキャリアを築いていきたい、活動していきたいということであれば、自身の”ウェブサイト”を持つことがとても大事です。自身の”ウェブサイト”を持つことで、よりプロフェッショナルな印象を与えてくれます。
ドメインネームを気にしないのであれば、僕が使っているSquarespace、他にもWixなど無料でも使えるプラットフォームがいくつもあります。
これらは自由にレイアウトをアレンジすることができ、ホームページ作成が苦手な方にもとても便利です。
ネットワーキング、SNS
今を生きるイラストレーター、もしくはこれからイラストレーターになりたい人の大多数がSNSを使っていることと思います。SNSはただ作品をシェアするだけではなく、海外のイラスト、絵本業界と繋がるネットワーキングとしても非常に有効です。
海外の出版社の編集者やアートディレクターの多くがInstagramやXのようなメジャーなSNSにアカウントを持っていて、彼ら彼女らは僕らが思っている以上に色んなイラストレーターの作品をSNS上でチェックしています。
もちろん、フォローすることは構いませんが、鍵付アカウントだったり、公開していても仕事用ではなくプライベートなアカウントの場合は、相手を個人的に知らない限りフォローすることはやめておきましょう。
たまにではありますが、アートディレクターはSNSで”open call”と呼ばれる投稿をします。ご存じない方もいらっしゃると思いますが、アメリカの絵本業界では絵本に携わりたいからと言って、イラストレーターがどこかに応募するような仕組みはありません。出版社の編集者やアートディレクターが題材、絵柄などによってイラストレーターを選びます。
open callでは、「〜なスタイルで、恐竜を描けるイラストレーター」というように、特定の絵本の挿絵を描けるイラストレーターを探している場合が多く、そういう機会を逃さないためにも、SNSは切っても切り離せないツールになっています。
SNSに入り浸るのは良くない面も多々あります。昨今の生成AIの台頭によってイラストを食い物にされてしまう局面に直面している事実もその1つです。全てのプラットフォームに手を出す必要は全くないので、使用用途を選び、正しく使うこと。あとは何をシェアするかに気をつけましょう。
僕もSNSの繋がりからイラストや絵本のお仕事を頂いたこともあるので、SNSや先述のopen callで仕事を得ることも可能ですが、もしtraditional publishing(出版社を介した絵本制作)で仕事をしたいのであれば、エージェントを見つけることを強くオススメします!そして、もし挿絵だけでなく、絵本の文章も挿絵もやりたいという場合は、エージェントを見つけるのは必須になります。
Traditional publishing=出版社を介した絵本の出版
Self-publishing=自費出版
エージェント
エージェント、多分日本のイラストレーターの方にはあまり馴染みがないかもしれません。エージェント(agent)はエージェンシー(agency)に所属しています。
イラストレーターとして考え得るエージェンシーはIllustration agencyとLiterary agencyの2種類あります。僕は駆け出しの頃、Illustration agencyのエージェントと契約していましたが、2年前からLiterary agencyのエージェントに移りました。
もし海外の雑誌、出版物、プロダクトなどイラストに関わるお仕事全般に興味がある場合はIllustration agencyで、絵本をはじめ、出版物のみに興味がある場合はLiterary agencyが最適解となります。
エージェントは契約交渉だけでなく、請求書作成や制作以外の煩雑な事務作業など多岐に渡ることを代理で行ってくれるので、イラストレーター自身はイラスト制作に集中できます。僕は今までエージェントなしでお仕事したことはありませんが、金銭的且つ時間節約の観点でもエージェントを抱えることによるメリットは多分にあると思います。詳しくは過去の記事を参照していただければと思います。
イラストレーターとしての経歴がまだ浅かったり、今から始めるような場合はエージェントを見つけるのに少し時間がかかるかもしれません。返事が返ってこないこともザラにありますが、それが普通。焦る必要はありません。もしエージェントから良い返事が届いても、急いで返答する必要はないので、可能であればzoomなどで実際に話してみるといいと思います。(英会話に自信がなければメールで何度かやり取りしてみるだけでも十分です。)
エージェントは自分の窓口でもあるので、お互いの要望や展望などがしっかりと共有されて、さらに仕事のパートナーとしてフィーリングが合うかどうかという見極めができると尚良いです。
ここまでが『「イラストレーター編」海外の絵本業界への初動』になります。簡潔にはなりましたが、少しでも足掛かりになれば幸いです!
お読み頂きありがとうございました!