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福島行き①往路編

 おかげさまで先日、M3という名の音楽同人即売会への参加を無事終えることができたわけですが、みなさんどうですか。

 M3についてもむろん思うところはあるわけですが、本稿では件のM3直後に出掛けた小旅行について綴っていきます。

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 過去にも数回M3に参加していますが、イベントが日曜開催=月曜に用のあることが多いため、どんなに遅くなってもその日のうち(あるいは翌朝早く)に帰宅するのが常であった。
 ところが今回のM3の翌日は身が空いていたため、イベントの諸々が終わったあと、そのままどこかへ出掛けること自体は、予め決めていたのです。
 しかし目的地――というか東西南北どの方角に向かうかさえ、イベント終了後の打ち上げをしている段においても未決のままだった。

 その打ち上げでの話題の何かがトリガーとなり、とある場所のことを思い出した。
 NHKの番組「ドキュメント72時間」でちょっと前に取り上げられていた、福島県にあるドライブインのこと。

 さっそく所要時間を調べると、その時打ち上げをしていた東京・池袋から約3時間半。
 小旅行としてはちょうどいい感じではあるが、これは高速道路を使った場合の話。

 この場所に行くのなら、番組のサブタイトルにもある「国道4号線」、つまり高速を利用せず、一般道で北上してみたいという気持ちがあった。
(※このへんのこだわりについては後述。)

 高速を使わない場合、所要時間は5~6時間に膨れ上がる。
 平生ならともかく、なにぶんイベント前後の疲労感もそれなりにあったので、今回はちょっと厳しいかなぁというのが最初の印象だった。

 打ち上げが終わり、仲間たちと別れ、さあどうしよう。
 まあ件のドライブインまで行けなくてもいいや、とりあえず国道4号を行けるところまで行ってみよう――てな案配で北上をはじめたのが、M3当日の21時半頃だった。

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 さて国道4号線とは、東京・日本橋から青森市に至る、すこぶる長距離の国道である。
 つまり、道路上の青い看板に記された国道4号のマークを見失わずにいれば、東京から青森まで一本道という名の、なかなか夢に満ちあふれた国道である。

 これまで、我の暮らす静岡から車で東北を目指す場合、主に所要時間の都合から東北自動車道(高速道路)を走る以外の選択肢はなかった。
 つまり、局所的に走ったことはある気もするけれど、ぼくにとって国道4号はほぼ未踏のルート――それが、国道4号線を走ってみたいという理由のひとつ。

 もうひとつの理由は、(一応の)目的地であるドライブインが国道4号沿いにあるということ。

 高速道路上のパーキングエリアが「高速を走ってきた人たちが休む場所」であるのと同様に、国道沿いのドライブインとは「一般道を走ってきた人たちが休む場所」であるべき――という妙なこだわり笑

 高速を利用すれば、先述のとおり、所要時間はおよそ2時間短くなる。
 しかしそれと引換えに、旅の興が削がれてはならない。

 そんなこんなで今回の旅の目的は国道4号を走ることと、あわよくば、件のドライブインでメシを食うこと、に決定。
 荒川区のあたりから国道4号に合流した。

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 特に何も考えず1時間ほど走り続け、コーヒーを買おうと立ち寄ったコンビニは、埼玉県の越谷にあるセブンイレブンだった。
 M3の謝辞の投稿をするなど。

 23時前、越谷のコンビニを出発。
 このあたりからイベントにまつわる疲労が如実となり、30分程走ったところにあった「道の駅・ごか」で小休止――のつもりが、ここで夜明けを迎えることとなった。

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 「ごか」は漢字で「五霞」と記す茨城県の町、とのこと。
 俺はまだ埼玉だと思ってて、栃木ならまだしも、なんで北に向かってるのに茨城なんだろうとか思って地図を見ると、このあたりは関東地方の県境がひしめきあっているエリアということがわかった。

青い線が国道4号線。
赤い星のマークが道の駅・ごか。

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暗闇に潜む、五霞町のゆるキャラ「ごかりん」。
頭部のアレな物体は、町の花である「バラ」とのこと。

 5時半、起床。
 仮の目的地であるドライブインまでの所要時間を調べると、ちょうど4時間くらい。

 連続4時間、しかも下道の運転は、それなりにしんどい。
 しかし到着が10時くらいと考えると、そんなに大変なことに思わなかったりするのが妙なものである。
 つまり、たいして深く考えることなく、まあ行ってみるかと進路に変更を加えず、車を出す。

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 1時間くらい走り、栃木県・宇都宮のセブン。6時半。

 東北自動車道を利用する際と同様に、国道4号線も宇都宮を過ぎたあたりから道の雰囲気が変わる。
 そのニュアンスが正確に伝わるかは不明だが、宇都宮までは「北関東」、それ以北は「東北」という感じがする。

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 8時半、栃木県・那須町のセブンに停車、恒例のおはツイをする。

 あえて下道を行っているからやむをえんのだけど、2時間以上走っても同じ県内というのは、なかなか精神的にくるものがある。
 自分の暮らす静岡県も、「東西にどんだけ走ってもずっと静岡」みたいな揶揄をされがちなんだけど、あるいはこんな感じなのだろうか。
 なにはともあれ、もう少しで福島である。

 余談だが、このおはツイの写真、コンビニの入口付近を拡大していくと、店名(那須桜久保店)を読み取ることが出来る。
 最近、とある人の影響でセブンのコーヒーを過剰摂取&飲む都度こんな写真を撮ってはSNSに投稿しているわけだが、意図的にこの箇所を映り込ませることによって、文字にせずとも己の居場所を告げることができる。
 セブンのこの店名表示は全国共通では?と思うので、この写真の撮り方は、旅の記録としてもなかなかオツな方法かもと思ったりするなど。

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 福島県に入り、矢吹町のセブンで休憩。時刻は9時半頃。

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 やがて須賀川市、そして郡山市に入る。
 郡山といえば、福島県内有数の都市(のはず)である。
 実際、須賀川市に入ったあたりから道沿いの雰囲気がにぎやかになり、交通量も増え、部分的には渋滞も生じていたが大幅に遅れることなく、10時40分、目的地の二本松バイパスドライブインに到着。

 くたびれたら途中で引き返そうくらいに思って出発したけれど、まあなんとかなるもんだ。

 前夜の打ち上げ以降、マトモなものを口にしていなかったので、到着の感慨もそこそこに、まずはメシ。

 選んだのはモツ煮定食。番組内でいちばん印象に残ったメニューだったから。
 ひとくちめは「ちょっと薄味?」くらいに思ったんだけど、見た目よりもモツの量が多いので、食べすすめていくうちに味がちょうどよくなる絶妙な塩梅。

 俺の体感ですが、だいたいの定食って、おかず対ごはんの比率が5:7くらいなんだけど、ここは6:5――つまりおかずより先にごはんがなくなってしまった。
 ごはん・味噌汁おかわり自由なんだけど、ごはんの基本量もそこそこ多かったので、おかわりはやめといた。俺も丸くなったなぁ。

 ドライブインというと、やはりドライバーの客が多いイメージだけど、時間帯なのか、あるいは番組の影響なのか、旅行の途中で立ち寄ったという風情の老年夫婦の姿が目立った。

 昼飯には少し早い時間だったのがさいわいで、俺が店を出る頃には客足がにわかに増え、店内に行列を為すほどだった。


 次回へつづく。

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