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新玉川線に槍を持った連中が

 田園都市線の二子玉川(園)から渋谷までが新玉川線と呼ばれていた頃の話(1980年代)です。大学からの帰りに新玉川線の下りに乗っているとき、三軒茶屋駅でいきなり槍のようなものを電車の中に向けて乗ってくる集団がいてびびりました。一つのドアだけでなく2両分のドア全てから数十人が乗ってきました。大事件です。

過激派

 槍だと思ったのは旗を巻き付けた旗竿でした。「我々は××派でアル」と自己紹介していました。いわゆる過激派です。今は1980年代です。実物を見ることは、ほとんどありません。
 安田講堂事件も遠い昔となり、いろんな党派の連中が争い合う内ゲバのニュースも全く聞かなくなった頃なのでびっくりしました。
 「我々が○○派と戦争しているのを知っていると思う」
 知らんがな。
 「これから君たちの荷物をチェックさせて欲しい」
 何と言うことでしょう。
 数十人のショッカーが旗竿の先を突きつけて、乗客の荷物を一つ一つ覗いていきました。女性は対象外。「ざっけんなこら」と拒否する強者もいますが別に何もされません。私は幸運にも専門書を一冊持っていただけなのでスルーでした。
 とにかくコワイ。
 連中は隣の駒沢大学駅で降りて行きました。今度は旗竿を槍のように外へ向けて乗車待ちの人々を脅しつけていました。
 「ひと駅くらい歩いて行けよ」心の中で叫びました。
 以上、大学時代の何気ないひとこまでした。

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