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10/28~11/1 の振り返りと来週の展望,いよいよ来週は大統領選とFOMC, 決算はPLTR、QCOM、ARM、ANET、APPなど半導体やソフトウェア企業が多いです。

今週も1週間お疲れ様でした、今週はハイパースケーラー4社とAppleの決算が重なり重要な経済指標もあっていろいろと追いついておりませんが何とか踏ん張って行きたいと思います。

ハイパースケーラー4社の決算に共通しているのは4社とも営業利益率が改善しており、営業コストが下がってキャッシュフローが上昇している事です。
これは来年も続くであろう多額の設備投資に対して耐えうる財務体質を作る事を優先している証であり、AIを進化発展させる事に対してゆるぎない決意をもって臨んでおられる経営陣の覚悟の表れでもあると思います。

ハイパースケーラー4社の設備投資計画

これに対して投資家の反応も少しずつ変化してきている様に思えます。
経営陣の意向を受け入れ始めたのかAIを進化発展させ、自社のコアビジネスに活かす為には投資が欠かせない事を理解し、利益率向上の結果を素直に評価している面も感じます。

決算後の株価反応は各社に差が表れておりますが、一時反応でもありますので良い決算を出した企業の株式はなるべく保有しつづけて行きたいですし、ここがしっかりしているうちは市場全体が崩れる事は考えにくいので安心して相場に臨みたいと思います。

Amazon、Google、Microsoft、Meta、Apple 5日間チャート比較

ハイパースケーラー4社の決算分析記事を書いておりますので合わせてお読みいただければと思います。

さて来週の注目銘柄決算発表予定の企業を上げます。

  • 11/4(月)CEG(Estimated)DOCN(Pre) PLTR(Post)

  • 11/5(火)BLDR(Pre)SMCI(Post)

  • 11/6(水)NVO(Pre)QCOM(Post)ARM(Post)APP(Post)STRL(Post)

  • 11/7(木)VST(Pre)FTNT(Estimated)ANET(Post)TTD(Post)NET(Post)AFRM(Post)SMR(Post)

  • 11/8(金)NRG(Estimated)

まず注目は月曜日のPLTRでしょうか、24’1月~3月期から政府受注だけでなく民間受注が伸び始めいずれもビッグデータ解析や分析を得意とするソフトウェア企業です。特に機密性が高くセキュリティが重視される分野を得意としており、民間企業でもこのノウハウを活かして拡大しております。

11/5(火)のSMCIは監査法人が辞職した問題が尾を引いており、果たしてこの日に決算発表できるか不明です。※10/30予定が直前でこの日になった
注目企業が集中しているのは6日と7日で半導体やソフトウェア企業の決算が組まれております。APPとTTDは競合同士でデジタル広告分野ですので先週のハイパースケーラーの流れを受ければ良い決算が出て来るでしょう。


9月個人消費価格指数(PCE)

今週は物価面でFEDが重要視しておりますPCE物価指数と雇用統計という大変注目度の高い経済指標が発表されました。まずPCEの方から見て行きたいと思います。

個人所得は、米国経済分析局が本日発表した推計によれば、9月に716億ドル(月率0.3%)増加した(表2、3)。
可処分個人所得(DPI)(個人所得から個人経常税を差し引いたもの)は574億ドル(0.3%)増加し、
個人消費支出(PCE)は1058億ドル(0.5%)増加した。
PCE価格指数は0.2%上昇した。
食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は0.3%上昇した(表5)。
実質DPIは9月に0.1%上昇し、実質PCEは0.4%上昇した。

個人所得、可処分所得、個人消費支出、PCE物価指数、コアPCE物価指数推移

(前月比)9月のPCE価格指数は0.2%増加しました。
財の価格は0.1%減少し、サービスの価格は0.3%増加しました。
食品価格は0.4%上昇し、エネルギー価格は2.0%下落しました。
食品とエネルギーを除外したPCE価格指数は0.3%上昇しました。

(前年比)9月のPCE価格指数は2.1%上昇しました。
財の価格は1.2%下落し、サービスの価格は3.7%上昇しました。
食品価格は1.2%上昇し、エネルギー価格は8.1%下落しました。
食品とエネルギーを除くPCE価格指数は、2.7%上昇しました。

7月と8月の推定値が更新されました。
現在ドルベースでの個人所得、および現在ドルベースと2017年連鎖ドルベースでのDPIとPCEの前月比改定値と既に公表された値は以下の通りです。

7月,8月個人所得、可処分所得、個人消費支出改訂値

8月から9月に掛けてのPCE、コアPCEが共に上昇しております。食品やサービスの価格上昇が目立ち、エネルギーは下落幅が大きい為指数に大きな影響を与えてしまいます。
あまり大きく目立つものではありませんがじわじわとサービス価格が上昇しておりますので、これが連続して強い上昇が見られる場合はFEDの金利政策の方向性に変化が出て来るかもしれません。

特に現在の市場は大統領選前でどちらが勝っても財政支出が増大するとの目論見から、国債の増発は免れず債券価格は下落する(利回りは上昇)と見られており10年債利回りはこの1ヶ月で約18%も上昇しております。
また国債のタームプレミアムも引き続き上昇しており現在のプレミアムは0.45とこの1ヶ月半で急上昇しているのが見て分かると思います。

10年債タームプレミアム値と10年債利回り

ここまで金利が上昇してくると今度は株式よりも債券の利回りの方がリスクが低くリターンを取れるようになる点が意識され始め、資金のリバランスが起きやすくなってしまいますので何かのきっかけで大きく株式市場が崩れる可能性を警戒しなくてはなりません。

特に10年債金利がタームプレミアムを含めて5%を超えて来るラインに到達してしまうと小型株やバリュエーションが高い銘柄は売られやすくなり、連鎖反応で一気に崩れてしまうので利回り4.55%のラインは注視しておくべきポイントかと思います。

10月非農業部門雇用者数、平均時給、失業率

続いてFEDが注目している指標の雇用統計を見て行きたいと思います。

10月の非農業部門雇用者数はわずか12,000人で、2021年12月以来の低水準になったが、46ヶ月連続で雇用は増加しております。
失業率は4.1%にとどまり、四捨五入せずには4.05%から4.14%へと上昇しました。先月の平均時給は0.4%増加し、前年同月比では4.0%の増加を記録しました
平均労働時間は改定後34.2時間から34.3時間へとわずかに伸びました。労働参加率は62.6%と低めです。不完全雇用率(U-6レート)は10月も7.7%で変わらず、家計調査では368,000人の雇用が失われた形になります。

ハリケーン「ヘリーン」と「ミルトン」は事業所調査に明らかな影響を与えたが、家計調査による失業率の算出は、暴風雨による失業者の算出方法が健全な数字を示しております。

ボーイング社の問題も10月のNFPの弱い数字に影響を与えた。BLSによると、天候により仕事に就けなかった人は512,000人でした

また、8月と9月の雇用統計の改定値はどちらも大幅なマイナス修正を受けた。8月は159,000人から78,000人へ、9月は254,000人から223,000人へと減少しました。
10月の民間雇用者数は2020年12月以来のマイナスを記録しましたが、3ヵ月平均の雇用者増加数は+148,000人となり、総労働時間は減少しておりません。

BLS 10月雇用統計 ハイライト

10月の雇用統計は、ハリケーンやストライキの影響を受け、今年最も注目されるものと予想されていました。その予想は当たり、10月の雇用者数は過去4年で最も低い数値を記録しました。

この低迷した雇用状況は、前週に続いたポジティブな経済データとは対照的です。これには、FRBが重視するインフレ指標であるGDPの強い成長や、予想を大幅に上回るADP雇用統計が含まれており、非農業部門の雇用者数の増加はほぼ変わらなかったという労働省の報告がありました。

政治的には、今日の雇用統計は企業や投資家に与える影響を超える可能性があります。FRBの政策立案者は、ハリケーンやストライキによる一時的な影響を予測していたため、今日の報告は彼らの予想に合致しています。

来週の政策決定会合に向けて、FRBは経済が拡大しているにもかかわらずインフレが緩和していることを示す最近発表されたGDPとPCEのデータに注目するでしょう。その結果、FRBは現在の方針を維持する可能性が高く、金利は年末までに4.25%から4.50%の範囲で落ち着くと見込まれています

総じて、10月の報告は安定した経済成長の中で多くの混乱をもたらしましたが、大きな驚きはありませんでした。

さあいよいよ大統領選

11/5(火)はいよいよ大統領選の投票日です。11/1金曜日に賭けサイトでハリスさんの当選に賭ける比率が6ptも上昇した様で関連サイトがざわついておりました。どこまで信ぴょう性があるものなのか日本人では良く分かりませんので直近のReal Clear Politicsでの予想を載せたいと思います。

まずはBattle Grounds7州での最新支持率からいきます。

11/1 時点 Battlegrounds 7州での支持率

ミシガン州とウィスコンシン州でハリスさんが逆転しているようですが、選挙人の数はミシガンで15人、ウィスコンシンで10人と合計25人なのでまだ決定打には至らず、ペンシルバニア(19人)支持率差0.4ptをどちらが取るかが勝負の分かれ目になりそうです。

鍵はペンシルバニア州か!?

仮に現在の支持率で当落を当てはめた場合上記のようにトランプさんが勝利するシナリオですが、仮にペンシルバニア州(19人)をトランプさんが落とした場合トランプさん268人、ハリスさん270人とハリスさんが逆転するシナリオが浮上してきました。これは最後まで分からないかもしれませんね。

そして下院、こちらは前回から動きがありません。民主党が過半数を取る為にはあと3議席足りない状況ですのでこのまま行くと上院、下院共に共和党が過半数を取りそうです。

11/1時点 下院TossUp前獲得議席予想

大統領、上院、下院と現在の情勢を見ましたが共和党有利な点は変わっていないですね。ここからは市場も織り込んでいる共和党が全て占めたシナリオを前提にして進めて行きたいと思います。まずは株式市場への影響から→

  1. 減税期待の高まり:トランプさんは選挙期間中から減税を主張してきましたし共和党員もその傾向が強い為、法人税減税やキャピタルゲイン税の引き下げなどが期待され、企業収益の増加を見込んだ株式市場の上昇圧力が高まる可能性があると思います。特に大企業や富裕層を対象とした減税が期待されやすいです。

  2. エネルギー及び資源セクターの恩恵:共和党は通常エネルギーセクターへの規制を緩和する政策を支持する為、石油や天然ガスなどの伝統的なエネルギー業界への追い風となりこのセクターの株価は上昇する可能性が高まります。また石炭や鉱業にもプラスの影響が考えられます。

  3. 規制緩和への期待:共和党政権下では規制緩和が進む傾向がある為、Technology、金融、製造業などでコストが削減されて株価にプラスに作用する可能性があります。特にEPA(環境保護庁)やFTC(連邦取引委員会)による規制が緩和される事で対象業界への影響が期待されます。

  4. 貿易戦争のリスクが再燃:トランプさんは以前の政権で中国との貿易戦争を進めた為、再び貿易摩擦が強まる可能性があります。特に米国に拠点を置く製造業や防衛産業に対してはプラスの影響がある一方で米中関係が悪化することで、輸出関連企業にとってはリスク要因になる可能性があります。

  5. インフラ投資拡大への期待:共和党が上下院を取った場合、インフラ投資拡大の議論が活発化する可能性があり、建設業や資材関連の株にポジティブな影響をもたらすと考えられます。

ざっと調べた点や思い浮かぶ点を列挙してみましたがいかがでしょう!? 読み直してみてそんなに的外れではない気がしました・・・(笑)
続いて債券市場への影響を調べてみます→

  1. 財政赤字拡大による金利上昇圧力:減税やインフラ投資によって財政赤字が拡大する可能性が高く、政府の借入需要が増加すると10年債利回りなどの長期金利に上昇圧力が掛かる事が予想されます。※既に現時点でこれは織り込まれており11/1引け時点で10年債利回りは4.386を、これにタームプレミアム0.45を足すと名目上4.936とリバランスが起こるレベルの金利になります。

  2. インフレ圧力の増加:規制緩和や減税、さらにはインフラ投資が経済成長を押し上げインフレ圧力が高まる可能性があります。インフレ上昇が見込まれると主に長期債が売られ債券利回りが上昇する可能性が考えられます。

  3. 米ドルの強含み:国内産業を活発化する政策によって米国経済の強さが示され、強いドルが再び戻って来る可能性があります。これはトランプさんの関税政策が後押ししている点もあり、輸入物価が高騰し国内の物価も影響を受け上昇する可能性があります。この状態が進んでいくとインフレが再燃加速する恐れがあり、結果的にドル高短期金利の上昇という状態になるやもしれません。

  4. 金融政策への影響と金利上昇圧力:共和党政権下ではFRBに対するプレッシャーが増す可能性があります。トランプさんは減税を推し進めると思われFRBの金融政策に口をはさむ可能性は大いに考えられます。インフレが再燃した場合FEDとしては金融引き締めをせざるを得ず、結果的に債券市場にはネガティブな政策の方向性になりかねません。

株式市場、債券市場共にトランプさん共和党が占めた場合に考えられる影響を列挙してみました。
実際に減税などは法案を議会で議論した上で承認を経て初めて施行されるので過半数を占めているからといって必ずしも議会承認が得られるわけではありません。
上院で60%の承認が取れれば法案は通せると思いましたが、恐らく上院も拮抗すると思われるため造反議員が出れば法案成立は難しくなる可能性も考えられます。

私たち投資家としてはこういった点を頭に入れておき、相場の変調にできるかぎり対応していきたいものですね。

まとめ

来週はFOMCが11/7.8でありますがほぼサプライズが無いと思われ、25bp利下げが行われるものと思います。
その為敢えて取り上げなかったのですが万が一サプライズがあった場合が逆に市場への影響は大きくなります。
その懸念は杞憂に終わると思いますが頭の片隅程度に置いておく程度でよろしいかと思います。

タームプレミアムの懸念を最初の方で触れましたが、金曜日はこの懸念より好決算による前日大幅下落からの買戻しの方が優先されたのでまだこの懸念は燻ぶったままです。もしくはこの10年債利回りの上昇よりも利下げや減税期待の方が高い場合は短期的に打ち消される事も考えられますので引き続き金利動向には注意が必要です。

昨日株式市場ではUtilitiesセクターが全体的に売られ仮想通貨関連も同時に売られた為、トランプさん勝利の織り込みが一旦巻き戻ったのかと思ったりもしました。実際に激戦州でもハリスさんが巻き返してきた州もありますし賭けサイトでの急反発した背景もあります。来週月曜日の前日にもう一度最終チェックをして方向性に変化が無いか見守りたいと思います。

あと11/3(日)のAM2:00より米国社会全体は冬時間に切り替わりますので、マーケットが開く時間と閉場時間が現在よりも1時間後ろにずれます。

  • プレマーケットは現在の21:00→22:00から(日本時間)

  • ザラ場は現在の22:30→23:30から(日本時間)

  • 閉場は翌朝5:00まで→6:00まで(日本時間)

  • アフターマーケットは9:00まで→10:00まで(日本時間)

11/4(月)の相場から変更になりますのでご注意ください。
※私自身朝のサマリー記事が6:00以降だと仕事に間に合わなくなる事があるので、ちょっとどうしようか考えておりますw

今週もお疲れ様でした、また来週もどうぞよろしくお願いいたします。
4年に一度の大統領選を楽しみましょう(*´ω`)
どうぞよい週末をお過ごしください。

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