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先週のマクロ経済、株式市場振り返りと来週及び今後のマーケット展望#1(9/22執筆)

今週から試験的に新しい試みをしてみようと思います。
前回の試みで毎日マーケットが閉まった後にその日のニュースや株式市場、債券市場の値動き、経済指標をサクッと読める様まとめておりますが、こちらはまだ続けていこうと思っています。

マーケットサマリー記事はなんだかんだで1日も欠かさず2ヶ月続けて来られました。
続けて行く事の難しさを痛感するも知見の広がりを大いに感じる事も多く、何より一つの事象からの因果関係がパッと頭に浮かぶようになりました。

これにより以前の自身にあった狼狽売りや打診買いがかなり減り、売買に関して理由付けがある程度説明できる様になった点は大きいと思います。

今週からはその週で拾いきれなかった部分の補足や文字数の関係でコメントできなかった点をできるだけコンパクトにまとめてみようかと・・・
そして次週のマーケットの注目点でもある重要な経済指標、個別企業の決算状況やInvester reliance情報、他の人はあまりこんなこと書かないだろう・・・と思われそうな記事を書いてみようかと思います。

あくまで試験的に・・・というのが現在のスタンスでどこまで続くか続けられるかは全く分かりませんが、フォロワーの皆様や読者の皆様に多く読んでいただけるようであればその先も考えて行きたいと思います。

※個別銘柄に言及する内容が含まれますが筆者個人の知識と経験を基に見解を述べているもので、売買を推奨するものではありません。
この先に進まれる方はこの件に同意いただいたものとみなさせて頂きます。
損益に関する一切の責任は負えません事をご了承ください。


2023年7月26日のFOMC以来、約1年2ヶ月ぶりの利下げが行われました

この50bpの利下げ理由は諸説ありますが8月、9月の労働市場の弱さを加味し、9月末のPCEの数字予測も低い等を考慮するとほぼ満場一致(Michelle Bowman理事は反対票)で50bpの利下げは支持されたようです。

債券市場での利下げ織り込みは日本時間9/19 AM 2:30の時点で50bpの利下げが約63%、25bpの利下げが37%でしたので、約2/3の市場参加者が50bpの利下げを織り込んでおりました。

2024年9月19日 AM 3:00前後のドル円、2年債金利チャート

FOMC政策金利発表当時前後のドル円チャート、米国2年債金利の比較チャートを載せてみます。
市場は50bpの利下げを事前にほぼ織り込み済で為替も事前から円高ドル安方向、短期債も売られて利回りが上昇しておりました。

発表直後のドル売り、短期債の買いは25bpを織り込んでいた方々の反転売買だと思われますが、同時に発表されたドットプロットチャートで2025年末の目標金利が3.25%~3.5%と2024年末の4.25~4.5%より100bp(1%)しか利下げ幅がありませんでした。

またその後の会見でパウエル議長は記者団に対し、「SEPには、FRB委員会がこの決定を急いでいることを示唆するものは何もない」と述べました。
パウエル議長はさらに、50bpの積極的な利下げは労働市場の下振れリスクに対応するものであり、これはより中立的な金融政策への移行の始まりであるとも付け加えました。

こうした流れを受け株式市場は乱高下、為替市場ではFEDがソフトランディングを達成してくる期待と米経済の強さに一定の安心感をもった為、上記のような円安、短期債利回り上昇という流れになったのではないかと想像いたします。

今週の個別銘柄レポート

  • コンステレーションエナジー(CEG)ペンシルベニア州のスリーマイル島原子力発電所の再稼動が発表され、マイクロソフトの拡張された人工知能計画を支える契約が結ばれました。

    • コンステレーションエナジー(CEG)は、2028年までに運用を開始すると見込まれるこの原発に約16億ドルを投資する計画です。

    • 株価は史上最高値を更新し$254.98$(+22.29%)

  • ナイキ(NKE)の株価は市場前取引で8%以上上昇した。ナイキの株価は、エリオット・ヒルが最高経営責任者(CEO)に復帰するとの発表後に上昇しました。

    • ヒル氏はナイキ在籍中、ヨーロッパと北米で上級リーダーを務め、2020年に退任するまで消費者・市場部門の社長を務めていました。

  • モルガン・スタンレー<8306>は、オランダのコンピュータチップ装置サプライヤーであるASMLの株価をオーバーウェイトからイコールウェイトに格下げしました。

    • この証券会社は、インテル(INTC)の生産能力の増強の弱さ、2025年のDRAMサイクルの減速、そして中国の需要に関する継続的な不確実性などのリスクを指摘しています

    • 今月初めには、モルガン・スタンレーはASMLを英国のチップ設計会社ARMに置き換え、欧州半導体セクターのトップピックに選んだと報告されています。

  • クラウドストライク(CRWD)は20日、投資家向け説明会でFal.Conでの講演での今後の指針を前向きに受け止め株価は6%程躍進しました。

    • また同日に投資信託FANG+にて組み入れが発表されたこともあり、さらに躍進して株価は$300目前の$299.85(+8.1%)で引けました。

9/23~9/27の主なイベント

来週、9月の速報PMIが発表され、世界経済の成長が市場の主要な焦点になる見込みです。
米国では、週明けにコアPCEの発表が予定されています。米連邦準備制度理事会(FRB)が重視するインフレ指標は、7月と6月に前年同月比で2.6%の上昇を記録しました。
4年ぶりの利下げを行ったFRBは、パウエル議長をはじめとするFOMCメンバーの講演を再開します。

今週の決算発表企業

  • 9月24日(火):オートゾーン(AZO)、KBホーム(KBH)、ソー・インダストリーズ(THO)、スティッチフィックス(SFIX

  • 9月25日(水):マイクロンテクノロジー(MU)、ジェフリーズ(JEF

  • 9月26日(木):コストコ・ホールセール(COST)、アクセンチュア(ACN)、ジャビル(JBL)、カーマックス(KMX)

注目はなんと言っても25日のマイクロンテクノロジーです。先日私も決算前チェックポイント記事を投稿しておりますので是非そちらもご覧ください。

今週の投資家向けイベント

Meta Platforms(META)は、9月25日に毎年開催されるMeta Connectイベントを主催します。このイベントは、同社のReality Labs部門に注目し、新しいハードウェアやソフトウェアの発表が予想されています。CEOのマーク・ザッカーバーグが基調講演を担当する予定です。

このReality Labsは採算が取れていない事業だとして一部の株主から反対意見が出ている事業でもあります、こういった点でもZuckerberg CEOの基調講演には注目が集まります。

インテュイット(NASDAQ: INTU)は9月26日にインベスターデイを開催予定です。アナリストたちは、戦略的なアップデートとAIロードマップが株価にプラスの影響を与える可能性があると見ています。また同日、ゼータ・グローバル(NYSE:ZETA)はゼータ・ライブ・イベントを開催する予定です。

FED政策金利引き下げによる投資家心理の変化

S&P500インデックスは世界中で指標とされる代表的な指数ですが上位10社が指数全体の1/3以上を占めている為、それがリスク要因でもある事は以前から議論されている項目です。

今回1年2ヶ月ぶりに政策金利を50bp引き下げ、年内さらに50bpの利下げをする準備もあるとの事。
2025年に関しても目標金利は3.25~3.5%と景気後退にならなければ小規模事業者にとっては追い風になる事は間違いありません

そんな利下げを株式市場では徐々に織り込み始めており直近1ヶ月でのRussell2000のチャートはSP500をアウトパフォームしております。

直近1ヶ月SP500対Russell2000のチャート比較

大企業のアウトパフォームは、資本規模に関わらず一般的である。
過去2年間にわたり、これらのメガキャップ企業はラージキャップ、ミッドキャップ、スモールキャップを上回るパフォーマンスを示してきた。

2024年の最初の6ヶ月間においても、巨大株は市場をリードし続け、S&P 500はラッセル2000を年初来で10%以上上回った。

これらのメガキャピタル企業は、新たな金融環境に適応する耐久性を示し、明らかに過去2年間アウトパフォームしている。彼らが市場をリードし続ける中で、主要株価指数の集中度はどの程度になっているのだろうか?

過去10年で、米国株式市場の集中度は14%から27%へとほぼ倍増している。この集中度の増加は、特定の銘柄がS&P 500の総リターンに大きく寄与していることを意味している。
例えば、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる銘柄群の上昇は、2023年のS&P 500の総リターンの半分以上を占めていた。

現在、S&P 500指数において最大の企業はマイクロソフト(MSFT)で、SPYのポートフォリオの6.8%を占めています。
アップル(AAPL)は6.6%、エヌビディア(NVDA)は6.0%をそれぞれ占めており、これら3社の合計はS&P 500の約20%に達しています

このSP500指数を直近一ヶ月でRussell2000はアウトパフォームし始めており、7月上旬までの相場状況から投資家心理が変化してきている事が分かるかと思います。

歴史は繰り返さないが韻を踏む

歴史が繰り返されるとは限らないが、時には似たような兆候を感じ取ることがある。
市場の集中度や時価総額に基づくパフォーマンスの変動だけで市場の大暴落を予測するわけではないが、マクロ経済の見通しの変化は重要な考慮事項である。たとえば、米連邦準備制度理事会(FRB)は最近、4年ぶりの大幅な利下げを行った。

この借入コストの低下は、バランスシートが小さく資本市場に依存している企業にとって、大企業よりも影響が大きい。これについてさらに詳しく見ていきたいと思います。

JPモルガンの調査によれば、小型株企業の約40%が赤字経営であることが示されています。
これは、彼らが財務上機能不全に陥っているわけではなく、事業のキャッシュフローではなく、成長のための資金を資本市場から得ていることを意味します。MSFTやAAPLのような大企業は余剰資本を持っており、通常、他に魅力的な投資先がない場合には自社株の買い戻しにその資金を充てます。

一方で、小型株企業は成長のためのイニシアチブに資本を投じることが多く、そのための現金需要は大型株企業よりも一般に高いです。低金利環境は通常、バランスシートが小さい企業にとってより柔軟な資金調達の機会を提供します。

中、小型株の復活を促す主要な触媒には二つあります。
第一に、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げが挙げられます。
低金利は、小型株企業の成長イニシアチブのためのより安価な資本を提供し、有機的な成長を促進します。
また、利下げサイクルが長期化すると、企業は安価な資本を確保しやすくなり、M&Aの活動が加速する可能性があります。

小型株企業にとって、M&Aは重要な戦略の一つです。過去30年間で、米国のM&Aターゲットの96%は中小型株でした。買収時に支払われる平均プレミアムは50%を超え、これは大金融危機以前の水準を維持しています。PWCの調査によれば、M&A市場は近い将来に復活する見込みです。

中小型株が多くの買収対象であることを踏まえると、買収活動の加速はこのカテゴリーにとって大きな追い風になり得ます。
世界的な大企業が成功を収め続ける中、小型株企業が力強い復活を遂げるための条件が揃っているようです。
MSFTやAAPLのような企業は、一貫して他の企業を買収するアグリゲーターである。Tracxnの報告によれば、AAPLは2024年に2社を含む114社の買収を行っている。

結論から言えば、集中度が高まる中で小型株は復活の兆しを見せており、説得力のある事例が存在する。
マクロ経済の抑制的な状況が長年にわたりパフォーマンスの低迷を招いていたが、見通しが変わりつつあり、将来は近年とは異なる動きを見せる可能性が出てきている。
インデックスの集中が進む中、投資家はSPYのような大規模上場投資信託へのエクスポージャーの管理を再考する必要があるかもしれない。

利下げ+超ド級金融緩和が行われていた時(2020年4月~2021年9月)のSPX(SP500指数)とRussell2000のパフォーマンスチャート

ジェフリーズショートレポート:公益事業社による持つ者と持たざる者の大きな差

ジェフリーズは今週のレポートで、米国の電力・公益株セクターが数十年で最もエキサイティングな状況にあると述べました。

ジュリアン・デュムーリン・スミス氏が率いるチームは、「『持てる者』と『持たざる者』の分岐がこれほどまでに広がったことはない」と指摘し、以下の重要な特徴を挙げています。

(1)規制された構造における料金ベースの発電所有の統合能力、
(2)強固なバランスシート、または少なくとも脆弱でないバランスシート、
(3)家庭用および商業・工業用で手頃な料金、
(4)支持的な政治、規制、法律の調整、
(5)平均的、またはそれ以下の山火事に関する株主リスク。

ジェフリーズは、PPLコーポレーション(PPL)を、ほぼ全ての指標において魅力的な基本見通しを持ち、インライン倍率で取引されている一方で、プロフィールを強化する多くの上昇余地を持つトップピックとしています。

また、大型電力会社の中では、エクセロン(EXC)とデューク・エナジー(DUK)もトップピックとされています

今回の記事は以上になります、参考になった様であればオススメ記事等の評価をよろしくお願いいたします。

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