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Tesla(TSLA)24’2Q決算内容,ロボタクシーイベント,カンファレンスコール

ロボタクシーイベントの延期やトランプ大統領候補に対する政治献金など、ウォール街のニュースを追っていると3日に1回はElon Musk氏の記事を目にします。※割と極端な記事が多いので判断に迷います・・・
そんなMusk氏が経営するTesla社が24’2Qの決算を発表しました。

EV車全体の納車台数やモデル3/Yの納車台数はConsensus予想を上回りましたが前年同期比では-4.8%と振るわない結果に。またTeslaの業績を見るに大事な指標であるGross Marginは再び18%に下落してしまいました。

2Qの決算で売上はBeatしているのですが中身を見て見ると、実はエネルギー発電とストレージ収益のY/Y+100%が起因しておりますのでこちらが牽引している形になります。

強いTeslaの復活はあるのか!?、その鍵はテキサス州の拡張されたトレーニング施設にあり、Tesla Data Centerにあると思います。そして10月に延期されてしまいましたが、ロボタクシー技術の発表はTeslaを車輛製造販売企業からTeconology企業へと躍進させる起爆剤になる事は間違いありません。

この後、カンファレンスコールなどでElon Musk氏が何を話すのか注目したいと思います。

※個別銘柄に言及する内容が含まれますが筆者の経験と知識を基に見解を述べているもので売買を推奨するものではありません。この先に進まれる方はこの件に同意されたものとみなさせていただきます。


24’2Q 決算内容

Revenue 25.5B$(255億$)Consensus 24.74B$(247億4000万$)
Beat 0.76B$ Y/Y+2.3%
EPS nonGAAP 0.52$ Consensus 0.62 Miss 0.10$ Y/Y-42.9%

Total Deliveries(販売台数)443956台 Consensus 436000台
Beat 7956台 Y/Y-4.8% Q/Q+14.8%
Total Production(生産台数)410831台 Y/Y-14.4% Q/Q-5.2%
※在庫を上手く販売できた形ですね。

Total GAAP Gross Margin Rate(売上総利益率)18.0% Y/Y-1.1%
Total GAAP Operating Margin Rate(営業利益)6.3% Y/Y-34.4%

〈Teslaの期待値はFSDやロボタクシー、人型ロボットに目が向いてしまいますが現在Teslaの80%以上の収益源はこのEV車製造販売なのでこちらを何とか立て直していただきたいですね。〉

Tesla 生産台数、販売台数四半期毎推移
Tesla Gross, Operating Margin推移

またTeslaは2Qで全従業員の10%以上を解雇しており、その費用として622M$(6億2200万$)を計上しております。
2QのFinancial Summaryを下記に載せますがこれを見るとEV車の販売台数減をクレジット収益で補っている点が分かると思います。
ただフリーキャッシュフローは改善しており、今後の投資に対して明るい材料になりそうです。

Tesla 24’2Q Financial Summary

今後に向けて営業利益(Income from Operations)やEBITDA Marginが回復してくればより強固な財務になると思いますので、この点に期待したいと思います。

また、FSD(Full Self Driving)に関する資料を転載させていただきます。

Tesla 24'2Q Core Technology
2024年6月現在でFSDの蓄積実績は1.6Bマイル(16億Mile)を超え、着々とカテゴリーが進捗中です。

第2四半期には、FSD(監視下)1の介入を減らしつつ運転の快適性を向上させることに焦点を当てました。
特に注目すべきは、ドライバーの注意力を監視するために視線追跡ソフトウェアを主に使用するFSD(Supervised)のバージョンを展開したことです。
さらに、次世代モデルの堅牢性を向上させ、将来の自動運転とロボットタクシーサービスに向けてソフトウェアとハードウェアの開発を継続しています。
オプティマスは、私たちの施設でバッテリーを扱う最初のタスクを実行中です。
ギガファクトリー・テキサスの南側拡張部分は完成間近で、H100sの大規模クラスターの設置が予定されています。

Tesla 財務諸表資料

24’2Q 終了時のTeslaの財務諸表資料を見て行きたいと思います。
まずはバランスシートですがかなり強固な財務体質だと思います。

  • 現金及び現金同等物 30.72B$(307億2000万$)

  • Inventory(在庫)がは年々増えている(車輛台数か原材料かは不明)

  • Property, Plant and Equipment(有形固定資産)32.90B$(329億$)

  • Debt and finance leases(負債及びリース)5.48B$(54億8000万$)

  • 自己資本比率 40.4%

  • Vehicle and energy product financing(車輛及びエネルギー関連融資)7.35B$(73億5500万$)

Tesla 24’2Q時 Balance Sheet

続いてキャッシュフロー表

  • Net Income 1.494B$(14億9400万$)

  • Depreciation, amortization, and impairment(減価償却費及び減損損失)1.278B$(12億7800万$)

  •  Net cash used in investing activities(投資キャッシュフロー)-3.225B$(-32億2500万$)

  • Net cash provided by financing activities(財務キャッシュフロー)2.54B$(25億4000万$)

  • Net (decrease) increase in cash and cash equivalents and restricted cash(現金及び現金同等物や制限付現金の純増加)2.89B(28億9000万$)

Tesla 24’2Q時 Cash flow

製造数に対して販売数の方が多くなっている為、バランスシートやキャッシュフローは前期よりも改善してきております。ただTeslaの場合ドイツギガファクトリーや上海ギガファクトリーの可動状況によって直ぐに反転してしまう危険性を伴っております。
中国市場でのTeslaのシェアは2023年の約10.5%から2024年1Q時点で約7.5%とライバルのBYDや他の中国企業に押されて減少しております。

欧州でのEV需要は依然として強く2023年通年でも約320万台が販売されました。この中でTeslaのシェアも増加している為、今後の生産予定数に注目指定と思います。

決算発表後のアナリストのコメントや分析

決算発表後に数名のアナリストがTeslaのRatingに関して言及しておりますので、少し転載させていたただきます。

  • 私はジョナサン・ウェーバー。 工学の学位を持ち、フリーランスのアナリストとして10年近く主にバリュー株を担当しています。 投資グループキャッシュフロー・クラブに貢献しています。

テスラが9%の減収を報告した今年度第1四半期がそうであったように、最近の傾向では、前年同期比で減収になることを示唆していた。
アナリストは第2四半期も若干の減収を予想していた。
しかし、第2四半期の業績は予想を上回り、テスラは名目でわずかな増収を達成した。

EV企業は成長投資とみなされることが多いという事実を考慮すると、この結果はまだ素晴らしいとは言い難いと思う。
さらに、テスラの将来純利益の約100倍というバリュエーションは、同社が将来大きなペースで成長することを暗示している。
しかし、少なくとも今はそうなっていないのは明らかだ。
第2四半期の最終月である6月の収益成長率は、最近のインフレ率である3%をわずかに下回っている。
名目売上高を見るか実質売上高を見るかにもよるが、このように伸び悩んでいる。

何年もの間、電気自動車市場は順調に成長し、テスラや同業他社の多くは納車台数を大幅に伸ばした。
テスラではこの成長が止まっており、直近の四半期では車両台数がわずかに減少している。
実際、テスラの車両価格の低迷と販売台数の伸び悩みが重なり、テスラの自動車関連収入は前年同期比で7%減少した。
言い換えれば、テスラの総収益の約80%を占める主力事業が、少なくとも今のところは減少しているということだ。

しかし、すべてのEV企業がテスラのような落ち込みを経験しているわけではない。 例えば、テスラの最大の競合相手であるBYD Company (OTCPK:BYDDY, OTCPK:BYDDF) は継続的に売上を伸ばしており、NIO (NIO) も第2四半期は好調だった。 BMW(OTCPK:BMWYY)のようなレガシー自動車会社でさえ、現在の環境では成功を収めている。

つまり、テスラの成長が停滞している(あるいはマイナスになっている)一方で、一部の競合他社は販売台数を伸ばしているのだ。

結局のところ、テスラはかつてのようにEV消費者の心を捉えることができないようだ。そのため、BYDやBMWといった競合他社が市場シェアを拡大する一方で、テスラは売上拡大に苦戦している。
わずかな増収を確保できたにもかかわらず、利益は崩壊し続けた。
テスラの営業利益率は前年比で約3分の1減少し、9.6%という堅調な水準(素晴らしい水準にはほど遠いが)からわずか6.3%へと落ち込んだ

Tesla 競合他社 Operating Margin率

一株当たり利益は、GAAPベースでも非GAAPベースでも前年同期比で40%以上減少しており、なぜこの会社が純利益の100倍で評価されなければならないのかという疑問が浮かび上がる。
もちろん、テスラが最終的に自動運転を解決し、ロボットタクシー事業で高収益を上げる可能性はある。
しかし、これまでのところ、イーロン・マスクの約束はすべて実現できていない。現在、100万台のロボットタクシーが走っているわけでもなく、海岸から海岸までの召喚が可能なわけでもない。

テスラの決算は、同社が今まさに過大評価されていることを示していると思う。 中核となる自動車事業は苦戦を強いられ、マージンも利益も誤った方向に進んでおり、フリーキャッシュフローは過去4四半期でわずか16億ドルと低水準にとどまっている。
このため、フリー・キャッシュフロー倍率は約500倍と極めて高く、フリー・キャッシュフロー利回りは0.2%(株主への配当は皆無)。

論じている事が全てその通りだな・・・と感じてしまいました。
やはりTeslaの業績回復の鍵はロボタクシー事業なのでしょうか!?
10月の発表に期待したいですね。
※他のアナリストも似たようなコメントなのでこの辺にしておきます。

カンファレンスコール

来期のガイダンスが発表されていないのでカンファレンスコールの中から
情報を引き出したいと思います。

Elon Musk - Chief Executive Officer

私たちはEVの大規模な普及を経験し、その後、他社が魅力的なEVを作ろうと奮闘しているため、少し二日酔いになっています。
そのため、市場に参入した競合の電気自動車はかなり多い。 テスラにとって少し難しくなっています。

私たちは今でも、EVが顧客にとってベストであり、世界は自動車だけでなく、航空機やボートも含めて、完全に電化された輸送手段に向かっていると固く信じています。

エネルギー・ストレージの導入は第2四半期に過去最高を記録し、エネルギー事業の過去最高益につながりました。
また、AIのトレーニングや推論、将来の製品をサポートするための大規模なインフラなど、将来のプロジェクトに数多く投資しています。

来年前半にはよりお求めやすい価格のモデルをお届けできる予定です。
テスラにとって最大の差別化要因は自律性です。 それに加えて、私たちにはスケールメリットがあり、世界で最も効率的な電気自動車メーカーです。

完全自動運転とRobotaxiに関して、私たちは第2四半期に完全自動運転で多くの進歩を遂げました。 バージョン12.5は、12.4の5倍のパラメーターを持っており、最終的に高速道路と市街地のスタックを統合します。
私は、ほとんどの人がこのシステムがどれほど優れているかを知らないことにまだ気づいています。

このシステムをもっと理解するために、誰にでも試してもらい、クルマに運転してもらうことを勧めます。
新車を納車するときや、修理のために車を引き取るときに、使い方を説明し、実際に車を走らせる。 一度使った人は、ずっと使い続ける傾向があります。

というのも、ロボタクシーを改良するためにいくつかの重要な変更を行いたかったからだ。 そのため、発表の時期を数カ月ずらすことで、ロボタクシーを改良し、さらに他のものもいくつか追加することができた。

また、ギガ・テキサスの南側の拡張工事も完成間近で、ここにはこれまでで最大のトレーニング・クラスターが入る予定だ。 つまり、5万台のH100と2万台のハードウェア4AI5テスラAIコンピュータの増設となります。

私はテスラが監視なしのFSDで大量生産することで、巨大な自律走行車のような運用が可能になると考えている。
そして、その評価額はかなりクレイジーな数字になると思う。
アーク・インベストは5兆ドル規模だと考えていますが、おそらく間違っていないと思います。 そして長期的なオプティマスの評価額は、その数倍になると思います。
〈Elonのような天才が考える事は私の様な凡人には理解ができません・・・、ただ世の中を変える可能性がある人だとは認識をしております〉

Vaibhav Taneja - Chief Financial Officer
自動車事業では、値ごろ感が依然として顧客の最優先事項であり、当四半期はこれに対応するため、持続的な高金利を相殺する魅力的な資金調達オプションを提供した。

これらのプログラムは、当四半期の1台当たり売上高に影響を与えた。
すでに同様のプログラムを開始しているため、こうした影響は第 3 四半期も続く。 現在、世界のほとんどの地域で非常に競争力のある融資金利を提供しています

北米におけるFSDの価格改定以降、生産率が大幅に上昇しており、機能セットがさらに向上するにつれて、これが車両販売の原動力になると期待している。
下半期に入るにあたり、サイバートラックとモデル3の立ち上げがまだ続いていること、原材料と完成品の両方に対するさまざまな関税の影響を受けていることに留意することが重要です。
私たちのチームはこれらを相殺するために熱心に取り組んでいますが、残念ながら、当面はコストに影響を及ぼす可能性があります。

最近の組織再編の影響は、損益計算書のリストラクチャリングに反映されています。 これは約6億2,200万ドルの費用で、当期の損益計算書に計上されました。サーチャージを除いた営業費用は、AI 関連の支出が増加し、法務費用やその他費用が増加したものの、前四半期比で減少しました。

設備投資については、第 2 四半期に前四半期比で減少したものの、5 万 GPU クラスターを稼動させるため の支出を増加させるため、通年の設備投資額は 100 億ドルを超えると予想しています。 この新しいクラスターは、FSDやその他のAIイニシアチブを拡張する能力を大幅に向上させる。
〈テキサス州の工場で大規模なテスラのAI データセンターが稼働しますね〉

質疑応答セクション:次の質問は、Dojoに関する最新情報ですか?

※補足説明、Dojoとは?:Teslaが開発している高度なAIトレーニング用のスーパーコンピュータープラットフォームを指します。
このプラットフォームは特に自動運転のためのニューラルネットワークトレーニングを目的としております。
ElonはDojoがもたらす性能向上と効率化が自動運転技術の進展において重要な役割を果たすと強調しております。

Elon Musk - Chief Executive Officer
NVIDIAのハードウェアに対する需要は非常に高く、GPUを入手することが困難な場合もあります。
そのため、最新鋭のNVIDIA GPUが欲しいときに手に入るかどうかが心配なのです。 ですから、必要なトレーニング能力を確保するためには、Dojoにもっと力を入れる必要があると思います。
ですから、私たちはDojoにさらに力を入れるつもりですし、DojoによってNVIDIAと競争できるようになると考えています
というのも、NVIDIAの需要は非常に高く、GPUの価格を市場が耐えうるものまで引き上げるのは、明らかに彼らの義務です。
ですから、私たちはDojoを成功させなければなりませんし、そうするつもりです。

次の質問は、オプティマスにはどのようなアクセサリーが提供されるのかということだ。

Elon Musk - Chief Executive Officer
オプティマスは、多くの知性を備えた一般的な人型ロボットを目指しています。 だから、人間と一緒にどんなアクセサリーが提供されるかと言うようなものだ。
人間のタスクと後方互換性を持たせることを意図しているんだ。 つまり、人間が使うようなアクセサリーは何でも使えるということですね。

次の質問に移ります。 ギガ・メキシコの最新スケジュールを教えてください。

Elon Musk - Chief Executive Officer
現在、ギガ・メキシコについては休止中だ。 選挙後の状況を見極める必要があると思う。 トランプはメキシコで生産される自動車に重い関税をかけると言っている。
もしそうなるのであれば、メキシコに多くの投資をする意味はない。
ですから、政治的にどうなるかを見極める必要があります。
しかし、我々は既存の工場の生産能力を大幅に増強している。 サイバータクシーやロボタクシーは、ここギガ・テキサスの本社で生産されます。

xAIへの投資とGrokをテスラのソフトウェアに統合することについての最新情報はありますか?

Elon Musk - Chief Executive Officer
テスラはxAIからかなり学んでいると言うべきだろう。 完全な自動運転を進める上でも、新しいテスラ・データセンターを構築する上でも、実際に役立っています。
xAIへの投資については、株主の承認が必要だと思います。
しかし、株主が賛成してくれるのであれば、私も賛成です。 そして、Grokをテスラのソフトウェアに統合する機会もあると思います。

まとめ

一通りカンファレンスコールを読みましたのでまとめたいと思います。

現在の主力事業であるEV車のテコ入れは今年下期に低価格帯のEVが発表される様ですから、これがもしかしたら起爆剤になってくれるかもしれません。
EV市場全体では需要は伸びている様ですが、ことTesla車になってくると中国市場ではBYD社や他競合の影響でシェアを中々広げられておりません。

ここで大きな変化になって来るのがFSD技術で、Teslaはこの技術に対して他社の追随を許しておりません。既存投資家の方々もこの点を最重要視して株式を保有されておられると理解しております。

具体的な額は公表されておりませんが研究開発費と設備投資に関して前年同期比でも前期比でも増加しております。Elonはテキサス工場の拡張施設はまもなく完成し、Tesla最大のトレーニングセンターが5万GPUのクラスターと共に稼働していくと言っております。

できるだけ内政化にこだわり、Dojoというスーパーコンピュータープラットフォームも自社開発で立ち上げておりますしオプティマス含め、テキサスの工場が一通り完成して稼働し始めたら急激に変化が起きてくるような予感がします。

これがTeslaのTeconology企業としての可能性であり、魅力なのでしょう。

ただし現在は一旦この話は棚に上げなくてはなりません・・・。
実際問題決算内容はあまり良くなく、現状の利益や売上を株価に反映させると100倍という数字になってしまう為かなり割高です。
期待への起爆剤になり得るのが10月に延期されたロボタクシーの発表だと思います。まるで先月のApple Inteligenceの様でもありますが、投資家のTeslaに対する期待はこういった未来に対して向けられているのですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。気に入ってくださった方はスキを押していただき、オススメ記事として評価いただけますと幸いです。

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