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10/7~10/11 米国市場マーケットサマリー、来週の相場展望、24’3Qの決算は?米大統領選及び上下院議席改選の行方

10/7~10/11の主な経済指標としては8日の貿易収支、9日の原油在庫量、そして10日の消費者物価指数、新規失業保険申請件数やミシガン大学の指標でしょうか。
その中でも特に注目が大きかったのは10日の消費者物価指数でした。

米国労働統計局10/10発表CPI資料添付

・9月消費者物価指数(前月比)予想0.1%、結果0.2%
・9月消費者物価指数(前年比)予想2.3%、結果2.4%
・9月コア消費者物価指数(前月比)予想0.2%、結果0.3%
・9月コア消費者物価指数(前年比)予想3.2%、結果3.3%

2024 9月消費者物価指数 セクター別上下率比較

食料品全体の価格が上昇し食事代も上昇、電気代もガス代も上昇と生活インフラ基盤は軒並み価格が上昇しておりました。他は中古車の価格や旅客運賃、航空運賃が年率8.5%と急上昇しております。

この発表の裏で新規失業保険申請件数の数字も発表され、予想231K(231000人)に対し結果258K(258000人)と予想外に増加した模様です。
まず大きく反応したのが国債の短期債、2年債は政府や中央銀行の政策の影響を受けやすい性質がある為、まずこの2年債が買われ利回りが急落しました。

10/10 CPI発表直後の2年債の動き

CPIの数字だけを見ればインフレ再燃の可能性を警戒する動きと金利引き下げシナリオの後退が頭に浮かびますが、この失業保険申請件数の数や11日に発表された生産者物価指数も考慮すると11月FOMC時に25bp利下げをして様子を見る(12月以降のFOMCでの利下げ確率は軒並み後退しました)のが市場Consensusになったと思われます。

CPI発表を受け株式市場は売りで反応しました。ただ指標がミックスで方向感としてはインフレ懸念は減速していて、雇用も1回失業保険申請件数が増えただけでは減速しているとは言えない(その前の雇用統計はかなり強かった為)為、次第には買われて行きました。この点を踏まえてこの後の経済指標を捉えつつ大統領選や議会改選選挙などを見て行きたいと思います。

10/7~10/11の株式市場各指数の値動き

今週はNYダウ、SP500が史上最高値をまた更新しました。もはや驚く人はあまりいないという何とも贅沢な話ですが各指数の週間パフォーマンスを見て行きたいと思います。

  • NYダウ 42195.66~42863.86(11日引け)(先週比+1.58%)

  • SP500 5733.67~5815.03(11日引け)(先週比+1.42%)

  • NASDAQ100 19957.49~20271.97(11日引け)(先週比+1.58%)

  • NASDAQ総合 18081.21~18342.94(11日引け)(先週比+1.45%)

  • Russell2000 2212.80~2231.95(11日引け)(先週比+0.87%)

10/7~10/11 各指数の週間パフォーマンス比較チャート

今週は調整らしいものはあまりなく、株式市場はリスクオンモードだったと思います。但しその裏で債券MOVE指数が年初来高指数を記録した事はあまり知られていないと思います。
株式投資家よりも債券投資家の方々は現在の経済状況から方向感の見通しがしにくい様で毎日動きが激しく、さらに意見が割れております。
こういった背景がある事は株式投資家としても頭の片隅に置いておくべきかと改めて思った次第です。

次に個別銘柄の週間値動きを見て行きたいと思います。
以下はSP500指数銘柄の1週間(先週の金曜日も含む)のヒートマップですが、10/7からワシントンDCでのAIサミットを開催しHuang CEOによる基調講演でBlackwellの需要について2025年分は完売したと発言したNvidiaが+7.91%と史上最高値を狙う勢いです。

SP500指数銘柄 10/4~10/11までの週間パフォーマンス

その他でもSMCIが強力な冷却液分配ユニット(CDU)、コールドプレート、冷却液分配マニフォールド(CDM)、冷却塔、そしてエンドツーエンドの管理ソフトウェアを含む、完全な液冷ソリューションを発表し+15.94%、CrowdStrikeが+9.57%、Palantirが+8.7%と大きく上昇しております。

Googleは米司法省から独禁法抵触によって解体を求められる懸念が高ぶり週間で-2.4%、AMDは10日AI関連イベントを前に期待で上昇しておりましたが、失望売りに会い-1.76%、Teslaはロボタクシーイベントの期待外れからか大きく売られ週間で-12.91%となりました。

セクター別で見ると今週はTechnology(特にNvidia)が市場を牽引した形で+2.82%、反対に先月一番パフォーマンスが良かったUtilities(公益)は-2.29%と大きく売られた形になりました。それ以外は表のとおりです。

SP500 指数銘柄セクター別週間パフォーマンス比較

10/14~10/18の主な経済指標と市場の見通し

来週は消費者のマインドを表す小売りの売上高の指標や鉱工業生産指数、フィラデルフィア連銀の景気指数関連や住宅関連の指標の発表があります。
そこまで大きく市場に影響を与える指標は多くないとは思いますので、各企業のInvestor Relationsを見て行きたいと思います。

  • 10/15(火)Lenovoが主催するTech World 2024がワシントン州のベルビューという土地で開催されます。今回は『Smarter AI for All』”全ての人に賢いAIを”というテーマで個人や企業に役立つハイブリッドAIソリューションを紹介するようです。

    • このイベント登壇者がなんとも豪華でLenovo CEOのヤンユアンチン氏

    • Intel CEOのパット・ゲルシンガー氏

    • Microsoft CEOのサティア・ナデラ氏

    • AMD CEOのリサ・スー氏

    • Meta Platforms CEOのマーク・ザッカーバーグ氏

    • Nvidia CEOのジェンセン・フアン氏とものすごい顔ぶれで、ハイブリッドAIや生成AIを活用した新製品やソリューションが紹介され、特に企業向けのAI導入支援が強調される予定です。ここでの発言だけで株価が動きそうな気配もしますので注目しましょう。

  • 10/16(水)3Qの決算

    • ASML(ASML)(Pre-Market)

    • Morgan Stanley(MS)(Pre-Market)

    • U.S.Bancorp(USB)(Pre-Market)

  • 10/17(木)3Qの決算

    • TSMC(TSM)(Post Market)※事前にチェックポイント記事を書いておりますので合わせてお読みいただければと思います。

  • Netflix(NFLX)(Post Market)

  • 経済指標:コア小売り売上高(前月比)予想+0.4%

  • 10/18(金)3Qの決算

    • The Procter and Gamble(PG)(Pre-Market)

    • American Express(AXP)(Pre-Market)

    • ミネアポリス連邦準備銀行のニール・カシュカリ総裁は、「マクロ経済政策の展望」会議に先立ち、午前中の基調政策パネルのモデレーターを務める: ミネアポリス連邦準備銀行が主催する「マクロ経済政策の展望:銀行業務、規制、マクロ経済の成果」会議に先立ち、ニール・カシュカリ・ミネアポリス連邦準備銀行総裁が午前中の基調政策パネルの司会を務める。

来週の週間イベントはこのような感じなので、中東情勢が急激に悪化したなど予測不可能な事でもない限り比較的落ち着いた相場環境になるのではと予想いたします。

3Qの決算関連では金融企業が純金利収入、や各種手数料収入を伸ばしてくるのかやクレジットカードの遅延延滞がささやかれる最中で貸倒引当金がどう推移しているのかなど、消費者につながる数字を持っているのが金融企業なのでこの辺りは注目したいと思います。

また半導体関連では16日に製造装置のASML、17日にTSMCと重要決算が続きます。TSMCは既に3Qの売上高を発表済ですので4Qのガイダンスや2025年の見通しなどが注目されるかと思います。

現在最大の不透明感は米大統領選か

11/5(火)の大統領選挙投票日まであと24日となりました。
現在の世論調査では一進一退が続きこっちがひっくり返ればあっちは逆になるといった様で、まだ大勢は分かりません・・・
※オバマ元大統領とクリントン元大統領がハリスさんの応援で激戦州を回っておりますので、直前までホントに分からないかもしれません。

2024 米大統領選 直近の支持率

米大統領選の特徴は日本の選挙制度と違い、各州に割り当てられた選挙人の数をその州での勝者が総取りをして最終的に選挙人人数が多い候補者が当選となる為、支持率が高いからと言って勝てるわけではありません。

毎回選挙のたびに勝利政党が変わり現在オバマ元大統領も演説をしている激戦州(Battle Grounds)と呼ばれる7州での支持率を見て行きましょう。

10/11時点での激戦州7州の最新世論調査支持率
Battle Grounds Trump vs Harris支持率

これを見る限り現在ではこの激戦州7州のうち6州でトランプさんの支持率の方が上回っております。このまま行くわけでは無いと思いますが、残り24日でこの差は結構大きい様に思えます。
この差を加味したシミュレーションは以下の様になります。

激戦州を現在の支持率で決まった場合の各州選挙人の数

トランプさん強いですね~・・・というかハリスさんをたたえた白紙の功績本が出版されるくらい何もやっていないと揶揄されておられますからw
むしろそっちの方が問題なのかもしれません(-_-メ)

もしトラについて考えておくべき事とは

このままトランプさんで決まる訳ではありませんが、投資家としてはトランプさんが当選された場合現在の市場環境からどう変わる可能性があるのかはシミュレートしておいて損は無いと思いますので、見て行きたいと思います。※議会改選で上院を共和党が取る前提で見て行きます。

  1. 経済政策

    1. 法人税の減税を声高に謳っておりますので米景気は現在よりも加熱する可能性が高いが、副作用も多分に出て来る事が想像されます。

    2. 製造業を米国に回帰させるのは良いと思うのですが特に対中国施策に対してはVanceさんも含めて強い意向を示しているので、関税の応酬になりこれも結果的にインフレ助長になりかねない

    3. 社会保障年金への課税やチップ、残業賃金への課税を廃止する方向はハリスさんも真似しておりましたが低所得者向けの支援策としては良い政策なのではないかと思います。

  2. 移民政策

    1. 現在のバイデンさんより取り締まりが強化され厳格な措置が取られて行くと思います。結果的に不法移民が減るのは良いのかもしれませんが移民が不人気な仕事をやってくれている事実もあると思いますので、この点は現地の人しか分からない事かもしれません

  3. エネルギー政策

    1. 化石燃料産業の支援を支援して米国を世界最大のエネルギー生産国にする目論見です。石油や天然ガスの採掘規制に対して緩和策を設け生産を後押しする狙いですが、反面先物価格が不安定になりやすく価格が暴落する可能性も否定できません。

上記はほぼ議会承認を得ないと法案として可決されません。次はこの政策が本当に施行される可能性があるのか議会の改選を見て行きたいと思います。

上院議員改選後のConsensus状況

上院は任期6年ですが2年ごとに約1/3の議席が改選され、今年の改選議席は民主党や無所属の議席が23議席、共和党側の議席が10議席改選されます。
つまり共和党は現在49議席持っておりその内の10議席しか改選されないのです。これが上院は共和党が過半数を占めるだろうと言われている所以で、民主党側は上院過半数は厳しいだろうと言われております。

ただし法案可決には上院の過半数の賛成票と下院の過半数の賛成票が必要となる為、上院だけを押さえても法案は可決されません。下院は今回の選挙で全議席が改選されますので見て行きたいと思います。

2024 下院改選選挙Consensus予想

めちゃくちゃ接戦状態です。株式市場にとってはねじれ議会が望ましいので下院は民主党側に取ってもらいたいところですが、もしオールレッドという事になればトランプさんの政策はより実現しやすくなるので手放しでは喜べないかもしれません。

大統領選挙の行方は議会改選も交えて今後もピックアップしていきたいと思います。

まとめ

ここまで強気の株式市場と混迷した債券市場、そして本当に最後まで分からない大統領選について述べてまいりましたがいかがでしたでしょうか?
すんなりと頭に入っていただけたのであれば何よりです。
難しいことを如何に分かりやすく丁寧に説明できるかが手腕の見せ所なので、改善要望などありましたら遠慮なく言っていただきたいと思います。

さて本格的に3Qの決算シーズンになり、出だしは好調のようです。
懸念されている貸倒引当金の額も増えてはおりますが、業績がそれ以上に伸びている様ですので金融ショック的なものは懸念の必要は無いように思えます。来週からはいよいよ半導体関連の決算が始まります。

ASMLは先月に米国から対中国に対しての先端技術の輸出規制強化を謳われ、今回の決算で対中国売上がどれくらいあるのか注目です。
前回の決算で年内に高NA最新型露光装置は出荷されないと言っていたので、
次の4Qガイダンスの方が要注目かもしれません。

TSMCについては事前記事を書いております通り個人的にもかなり注目しております。売上Consensusは既に軽々とクリアしておりますので注目はASMLと同じく4Qガイダンスの方だと思います。
※3Q決算はメチャクチャ良いのは既に分かっている為

来年にはASMLから購入した高NA最新型露光装置(EXE-5000)が納品され、次世代半導体の研究開発(2nmや1.4nmのプロセス)に大いに貢献するものと思われます。

今週個人的なPFの週間パフォーマンスは+5.03%と大幅に上昇してくれました。大型クラウド株(Microsoft、Google)よりも半導体関連や小型株が飛躍してくれました。この先の見通しとして小型株の銘柄によっては大型株をアウトパフォームすると見ておりますのでもしチャンスがあれば買い増しや新規購入なども検討していきたいと思います。

経済が弱くない状態での利下げがどれだけ株式に恩恵があるかは想像できるかと思いますが、言い換えれば現在の株価上昇はこの強い経済と利下げの両方を織り込んでいるから上がる訳であってこの前提が崩れれば一気に売られる事は想定しておくべきかと思います。

この反転の兆しを感じ取る為にこういった記事を書いてアンテナを張っておりますので、何か異変を感じましたら皆様にもお伝えしていきたいと思います。長くなりましたが最後までお読みいただきありがとうございました。
引き続き来週もよろしくお願いいたします。

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