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音楽と絵画

若い頃は絵画芸術には関心がなかった。音楽(クラシック)はあるときから聴くようになって、なぜベートーベンという異国の作曲家が昔に作った曲がこれほど現代の一人の日本人の心に訴えてくるのか、不思議だった。音楽は音の時間的配列だから、その盛り上がりを設計することで感情を意図にしたがって動かすことも原理的には可能だと思った。それに対して絵画は2次元的な空間内の色の配列で、これをみても特定の感情やストリーを普遍的に想起させることはできないのではないかと思っていた。実際、当時の自分には、絵画が感情に訴えてくることはなかった。

海外での仕事の際、合間の時間つぶしに最適な美術館に(やることなく)よくいったが、そのうちになんとなく惹かれる絵や画家がいくつかできてきた。レンブラントやルーベンスなどの光と動き。そうこうしているうちにいつのまにか絵画も感情に訴えかけてくるようになってきた。もちろん自分に相性のいいものだけであるが。単なる2次元の色の配列が一瞬である特定の深い感情を想起させる、このことは以前の自分では想像もしなかった。考えてみれば色や音の時間的配列も空間的配列も物理的な時空の同一性からは同じような効果を与えても不思議はない。ただ人間の解釈という心理学的要因が時間と空間を別の捉え方をしている以上、不思議なことではある。脳の捉え方としてどうなっているのか科学的に調べたいものだ。

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音楽と絵画の関連は20世紀の絵画、特にKlee, P.やKandinsky, V.の作品でよくいわれている。が、個人的にはまだ説得された気がしない。そういえばあまり有名でないがKuduk、T. の絵はなんとなく音楽的な感じがしないわけではないか。


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