「人を理解する、ということ」と「無知の罪」について
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こちらのAmebaブログにもあれこれと書きました。
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コップに水が半分入っていて、それを見て「もう半分しかない」と思うか、「まだ半分もある」と思うか、などという話を聞いたことはあるだろうか?
自己啓発系では有名な話で、「もう半分」と思うのはネガティブで、「まだ半分」と思うのはポジティブだと言われる。
その考え方は確かに一理あるが、何でもかんでもそういうふうに当てはめるのもやや乱暴だと思う。
正解なんてないのだが、もしあるとすれば、
「コップに水が半分入っている」
という事実だけであり、そこに良し悪しはなく、多い時や少ない時と比べることもなく、何かの時間制限のようなものを気にすることもなく、ただ、今ここで起きていることがすべてであり、それ以上でもそれ以下でもない。
と、達観した、俯瞰したスピリチュルな視点で語ってしまえばすべて話は終わる。それはそれで乱暴かもしれない。
そんな事実はさておき、そのコップの水に対して、「多い」とか「少ない」とか「普通」とか、あれこれ思ってしまうのが人間というやつだ。そして、それに対して「大変だ!新しく継ぎ足さないと!」と行動したり、慌てるのも、人間ってやつだ。
世界には色んな人がいる。自分と違う考え方の人が、多種多様に存在している。
水を多いと思う人もいるし、少ないと思う人もいる。だが彼らがそう考えるには、それなりの背景や要因があってなのだ。なのに、その違いを比較をして、なんの意味があるだろう?
しかし、我々はこの「違い」を、どれだけ理解しているだろうか?
今回は、先日読んだこちらの書籍の感想を踏まえ、お話ししたい。
「ぼくには数字が風景に見える」ダニエル・タメット著
久々に、衝撃的というか、色々と打ちのめされた。
著者のダニエル・タメットはいわゆるサヴァン症候群で、アスペルガー症候群とか、そういうタイプの男性だ。ちなみに彼は、小数点以下「2万2千桁」の暗記という世界記録保持者だ。言語も10ヶ国語を話せる。
幼い頃から彼の苦悩や、社会との折り合いなどが、事細かに書かれている。
サヴァンの人が実際にここまで自伝を書くことは珍しいのかもしれない。なので貴重な本だと言える。
アスペルガーの人の細かい心理状態や、思考の仕組みが詳細に描写されている。記憶力がいいので、ディテールにとんでいるし、彼の考え方や思考回路を追えるので、とても勉強になる。
しかし、読んでて何度も苦しくなった。
何が苦しいって、彼の描写の中に、息子や、妻や、幼い自分自身をたくさん見つけてしまったからだ。
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