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絵にも役に立つ人間の学習プロセスを理解する

アメリカはLAにあるカリフォルニア芸術大学で留学中の髭猿です。今回は、絵にも役に立つ人間の学習プロセスについてです。


絵がうまくなるための練習方法やコツに関しては、ググれば必要十分な情報が手に入るし書籍もたくさんあるので、この記事では別の視点からお話をしようと思います。


・そもそも物事が上達するってどういうことか
・人はどうやって学習をするのか

そんな事を考えていきます。


ふわっとしている日本の美大予備校

美大予備校に通っていたころ、先生からのフィードバックはいつもふわっとしていました。


「画面に面白みがない」
「作品が弱い」
「画作りが足りない」

などなど。先生から特によく言われたのが『うーん画作りが足りないね』という言葉。


日本の美大予備校に通っていた当時は、二言目には『画作り』と聞くくらい頻出のワードでしたが、その具体的な中身を分かりやすく説明できる人はおらず。


『画作りが足りないね』とだけ言われても何をすれば良いのかわからず、八方塞りな気持ちになるので、この言葉がずっと嫌いでした。


センスや味っていう曖昧な言葉もそう。『あの人はセンスがあるから』という中身の無い言葉で片付けてはいけないと思うんです。教える側なら特に。


みんな画作りって言いたいだけでは?と今でもぼくは思っています。


ちなみにぼくがニューヨークでアートを学んでいるときには、画作りに該当する英語は一切耳にしなかったです。


先生にアドバイスを求めた際には『画作りが足りないよね』なんて曖昧な事を言われた事は一度もありません。


どこをどうしたら作品が良くなるのか、そして参考になるアーティストの名前を常に具体的に教えてくれました。


逆張り戦略

当時のぼくは一応ビジネスパーソン。ロジックが通ってない説明に全く納得がいかなかったし、学費を払っているのだから抽象的な説明で満足できるはずがありませんでした。


日本の美術の教育現場ってどこもこういうものなのか?それともぼくが間違っているのか?


日本のアートシーンのことは詳しく知らないけど、どうしても違和感があった。だから、むしろ徹底的に論理的に考えてうまくなってやると決めたんです。もう逆張りしていこうと。


というか、当時周りの美大予備校生(高校生たち)と比較してぼくが勝っているのが論理的思考力くらいしかなかったんです。社会人2~3年目のペーペーだから、世の中のビジネスパーソンと比較したら全く大したことはないのだけど。


でもポケットの中にはそれしか入ってなくて、とりあえず今は持っているもので戦うしかないと。どちらにしろ他に選択肢はなかったんです。


スキルを習得するってどういうこと?

まずは、人間が物事を学習するプロセスから分析することにしました。人間がスキルを習得するプロセスを知ることで、その再現性を高め、かつそれを高速化させたかったんです。


このときはぼくが新入社員研修で習った、人間の4段階の学習プロセスに関する考え方が非常に役立ちました。


人間が物事を学習するプロセスには4段階あると言われています。

無意識無能:知らないしできない

有意識無能:知ってるけどできない

有意識有能:意識すればできる

無意識有能:意識しなくてもできる


一番最初は誰しも無意識無能からスタートし、習熟度に応じて有意識無能→有意識有能→無意識有能へと移っていきます。


例えば自転車で考えると分かりやすいです。


自転車に乗るためには、

・ペダルを漕ぎ続ける
・右に倒れそうになったら右にハンドルをきる
・左に倒れそうになったら左にハンドルをきる

という3つの作業を同時にこなす必要があります。


まずはこれを知る。知ってるけどできない。そこから徹底した意識と反復を経て、意識しなくてもできる=自転車に乗れる状態になります。


なんとくイメージが湧いたでしょうか。


4段階の学習プロセスに戻ります。


4段階の学習プロセスは基本的には1段ずつしかステップアップすることができません。そして次のステップに進むために、それぞれのステージでやるべきことが決まっている。


それを把握することでやるべきことをやるべきときにすることができる。これが、人間が物事を学習するプロセスを理解する大きなメリットです。


ポイント
・無意識無能から有意識無能へのステップアップは知ること。
・有意識無能から有意識有能へのステップアップは徹底した意識。
・有意識有能から無意識有能へのステップアップは徹底した反復。


つまり、今の自分のステージと次のステージへ進むために学習していることがちゃんと合致していないと、いつまでたっても習熟度は上がらないということなんです。


ただ闇雲に努力するのではなく、効率的に学習するために、自分の能力に合わせてやるべきことをやるための法則です。


人間の学習プロセスを理解して絵に役立てみる

次に、絵がうまいとはどういう状態を指すのかを考えました。その結果、

絵がうまい人=同時にたくさんのことをできる人

という仮設を立てました。


同時に複数のことをこなしているように見えるから、一般人から見たら何が起きているんだかさっぱり分からない。でもそれはつまり、無意識有能のスキルをたくさん持っているんだろうなと予測したわけです。


だったら、ひとつずつ集中して練習して、無意識有能のスキルを増やしていけば良いのでは?


やるべき事はかなりシンプルな気がしてきました。オラ、わくわくすっぞ。


ということで以下を実施していくことに。

1.自分が身に付けたい技術、身に付けなけらばならない技術を調べてひとつ選ぶ

2.その技術が4段階のうちどのレベルにあるか把握する

3.無意識有能を目指す

4.1へ戻る


これをグルグル回しながら、無意識有能のスキルを増やすことを徹底的に追求しました。


この中でも、

身につける技術を選ぶために、自分が身に付けたい技術、身に付けなけらばならない技術は何か知る/調べる、という作業が結構大切だとぼくは思っています。


自分が必要なものを正しく知ることが第一歩。


また、ステップ2のその技術が4段階のうちどのレベルにあるか把握する作業も疎かにしないこと。


上述の通り、スキルの習熟度によってやるべきことが異なります。なので自分がどこにいるのか知ることも大切。


今の自分のスキルがどの状態にあるのかを把握することで、次にやるべきことが分かり効率的にスキルを習得できます。


会社の上司

当時の上司は非常に頭が切れるスマートな上司で、ありがたいことにぼくに期待もしてくれていました。


全力でジャンプすればぎりぎり届くか届かないくらいの絶妙な難易度の仕事をいつも振って下さり、そのおかげでぼくの思考力は毎日ストレッチされたわけですが、賢くなった脳みそは全てアートに使いました。


ちなみに、ぼくが少しずつ仕事に使っているキャパを絵にシフトしていっていることは、しばらくしたら上司にバレました。ぼくの働きっぷりから、仕事以外に熱心なことがあると勘付いていたらしい。


散々目をかけて頂いて色んなことを叩き込んで下さっていたのにも関わらず、全てを知った上で応援してくれました。


まとめ

繰り返しますが、絵が上手な人は色んなことを同時にこなしているように見えているだけで、実際はひとつずつの作業の積み重ねをしているんだと思います。


色んなスキルを高速に切り替えているから同時にこなしているように見えるだけで、厳密には同時ではないっていう。


なので、今でも絵がうまくなるには無意識有能で出来ることを増やしていくのはひとつの考え方としてアリだと思っています。もちろんそれだけではないですが、最初の取っ掛かりとしては良いのかなと。


絵がうまくなるための練習方法やコツに関しては、ネットでも書籍でも数多の情報が溢れています。それらをより有効に活用するためにも、人間がスキルを身につけるときの4つのステップを知っておくと良いと思って記事にしてみました。


何かひとつでも新しい発見があればとても嬉しいです。今回はそんな感じで。では!


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髭猿
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