非弁行為とは

弁護士の仕事内容

弁護士、と一口に言っても本当に多様な働き方がありますが、中心となる仕事は、やはり民事事件に関する相談・代理業務ではないかと思います。

民事事件というのは、お金を貸したのに返してくれないとか、離婚や相続で争いになったとか、私たちの日常の生活の中で起こる争いごとのことです。ここで、弁護士は、事件の一方の代理人となって、困っている人の手助けをします。
日弁連子どもページ「弁護士はどんな仕事をしているの?」
https://www.nichibenren.or.jp/ja/kids/bengoshi.html

非弁行為とは

弁護士はこのような仕事をしているわけですが、逆に弁護士以外の人は、報酬を得るためにこのような仕事をしてはいけないことになっています。
弁護士以外の人が、報酬を得る目的で、上記のような仕事(法律事務)を取り扱うことは、一般に「非弁行為」とか「非弁活動」などと呼ばれ、法律によって禁止されています。

弁護士法72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC1000000205

非弁行為を行うと、刑事罰(2年以下の懲役又は300万円以下の罰金)もあります(弁護士法77条4号)。

非弁行為が禁止される理由

さて、どうして非弁行為は禁止されているのでしょうか。
弁護士法72条の趣旨に関しては、最高裁判所が以下のとおり述べています。

弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とし、ひろく法律事務を行なうことをその職務とするものであつて、そのために弁護士法には厳格な資格要件が設けられ、かつ、その職務の誠実適正な遂行のため必要な規律に服すべきものとされるなど、諸般の措置が講ぜられているのであるが、世上には、このような資格もなく、なんらの規律にも服しない者が、みずからの利益のため、みだりに他人の法律事件に介入することを業とするような例もないではなく、これを放置するときは、当事者その他の関係人らの利益
をそこね、法律生活の公正かつ円滑ないとなみを妨げ、ひいては法律秩序を害することになるので、同条は、かかる行為を禁圧するために設けられたものと考えられるのである。
最高裁判所昭和46年7月14日判決・最高裁判所刑事判例集25巻5号690頁
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/935/050935_hanrei.pdf

要するに、非弁行為は事件当事者の利益を害したり、社会全体に悪影響を及ぼしたりすることがあるので禁止します、ということです。

でも、本当にそんなことはあるのでしょうか。

この点について考えるためには、もし弁護士がいないとどうなるか、どうして弁護士という資格が生まれたのか、といったところまで遡る必要がありそうです。

今後また別の記事で、この点について考えたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?