2023年8月「ぷらっとアート」
茅ヶ崎市美術館「イギリス風景画と国木田独歩」展は、明日までですね。
8月の初めにその展覧会を鑑賞した、第3回「ぷらっとアート」のルポを書こうと思いながら今日になってしまいました!
「ぷらっとアート」は、年齢・言語を問わず、また、外国にルーツのある方にも参加していただいて、アートを鑑賞、気さくに語り合う集いです。アートフレンドシップ協会・社会貢献部門の活動として実施しています。
お父さんがベルギー人という6年生のお子さんは「初めて美術鑑賞した!楽しい~」と、率直に、のびやかに、感じたことをたくさん話していました。(日本語で生活しているお子さんです)
好きな作品の1つとして、ジョン・コンスタブルの『虹、ソールズベリー大聖堂』を選びました。
(これは数年前に町田市立国際版画美術館さんと開催した鑑賞会で観たのと同じ作品!)
1834ー37年、メゾチントという技法の版画作品です。61.5×70.5とちょっと大きめ。群馬市立美術館所蔵。
「虹が縦に出ていて特別感があるから」とのこと。
すると年少さんの学年の子が、「木がオバケみたい!!」と声を上げました。若干ふざけたようにも聞こえるのですが、結構、大事かもしれない!
「ほんとだー、オバケみたい」
「木がオバケに見えるくらい、だらーんってなっちゃう、すごい雨が降ったのかもしれないね」
「そっかー、虹って、雨のあとに出るもんね」
「犬が虹を見上げてるね、ちょっと嬉しそう」
「大雨で水びたしになっちゃったけど、虹が出ると、またがんばろうって思うよね」
「最近、日本でもいろんなところで大雨になっていて、おんなじかもしれないね」
小さい子の発言は、結構、的を射ていることがあるので、あなどれません。
小さい子の「木がオバケみたい」という言葉から、みんな連想的に気づくことが膨らみました。
今から200年近く前の作品を見て、自然の威力、人の生活とその思いが、私たちと近いかもしれないと感じることができました。
何気ない言葉を大切にすることで、周りのみんなで鑑賞を深めていけるものだなぁ、とあらためて思いました。
その6年生の子も、じっと恥ずかしがり屋さんで鑑賞していた1年生の子も、「ぷらっとアート」を終えた後、残って丁寧に鑑賞していたのが印象的でした。
1歳5ヶ月のお子さんと、オバケ発言の年少さんは、「もう鑑賞終了~」という感じで、トコトコ。年齢や個性によってペースが違って当然。自然にそれぞれの時間で切り上げるのもいいものです。
6年生の子とは他の作品もたくさんお話しして、私もじっくり鑑賞できて、穏やかな満ち足り感が。マンツーマンでお話できるのは、ご依頼での鑑賞会では、なかなかないことなので、会主催のボランティアとしての少人数の鑑賞会も、良い時間だなぁと思います。
そばで聞いていた監視さんが「お二人の鑑賞、素敵な会話でしたね~!」と、暖かい気持ちを伝えてくださって、これまた嬉しい出来事でした。
ベルギー人のお父さんとの対話もとっても素敵で(日本語でした)、それもこまかくお伝えしたいところですが、ともかく明日までの展覧会のことなので、今日のところはここまでにしまーす。
「ぷらっとアート」、外国語を母語とする方へ情報がなかなか行かないようなので、よかったらご案内ください。
次回11月3日(祝)15:30~を予定しています。
小津安二郎の展示なので、次回は中学生~大人の方メインに集います。