その前に人間である
ノンバイナリーである前に、人間である。
それだけでもう、いい加減に十分だ。
今となっては、誰かに理解されたい訳でもない。
けれどクローゼットの奥に隠したい訳でもない。
男性でも女性でもない己の性を、他者に言い放つことで、その相手を困らせたくないだけだ。
女性ではないのに、世間から当たり前のように女性として扱われてきた己の道程を、今さら「苦しくて辛くて我慢ならない人生だ」と言ったところで、実際何がどうなるというのだ。
「自分を女性扱いしないでほしい、なぜならば女性ではないからだ」
こう言い放つことで、何か見える景色は変化するのか。
幼少の時分から、男の子のグループ、女の子のグループに二分された世界にあって、「もうひとつのグループ」を見つけ出そうにもそれは難しく、女の子達のエネルギーに怯え、男の子達には「女子のくせに」と突き返された。
そもそもグループって、何だ。
もう十分だ。
どうせ、死ぬのだし。
そんな厭世観が、自身の魂を楽にする。
そして、見えてくる。
やはり渇望している。
理解されたいことの全てを。
ノンバイナリーである前に、人間だ。
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