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フランス私的色彩帳

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#パリ生活

羊のチーズと体温

恋人との取り止めもない深夜のメールのやり取りは、 わたしの食指を動かせ、 そしてわたしの体温をほんの少し上昇させる。 ーねえ、もう寝てる? ーまだ寝てないよ。 ー君のこと考えてた。 ー伝わってたよ笑  ねえ、羊のフレッシュチーズって日持ちするのかな? ーうーん、ある程度はするんじゃない? ーおととい美味しそうな羊のチーズ買ったんだけど、週末一緒に食べれるかなと思って。羊の好きだったよね? ーマジ?食べたい。 君の体も食べたい。 ー何の話してんの笑 チーズ?わたしの体? ー両

食べること、味わうこと、その色気

フランス人の男子は料理好きが多い。わたしが引き寄せているだけなのかもしれないけれど、出会う人出会う人、料理好き、食べること大好き。 なぜかわたしは若い時から、食べること、味わうこと、その時の感覚というものに執着があり、気づけば、食べることとセックスをすることに共通する独特の感覚を覚えるようになった。そして、30歳手前あたりから、その感覚を一緒に共有できる人としか恋愛ができない体質になってしまった。 出会って、話をして、どれだけ話が盛り上がったとしても、食事を共にしてある種の

そこに宿る何か。

物心ついた頃から 色の組み合わせと、ものの配置というのが気になって気になってしようがなくて、 大人になってそれはどうなったかというと、 思わず二度見したり振り返ったり、あいかわらずそれはそのまま。 今もそれが気になって気になってしようがない。 目を凝らしたり。瞼を閉じて観察したり。 ハッ とする瞬間がある。 街の一角、寄せ集めで出来上がった空間に浮き出る完璧に思える色の組み合わせ。 カフェ。からみあった足の隙間から見える床のタイルの模様。 向かいに座っている女性の