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本当にこの数十年間で「オタクは(耐えられないほどに)劣化した」のか?

割引あり

 さて、一ヶ月経ってしまいました。
 ツイッターに想いを書いてしまってそこで満足するのを繰り返しすぎたので、今後はそういうツイートを再まとめしてみることにも挑戦しようと思います。

前回はこちら:
https://note.com/artanejp/n/nccd4142a52d5

今回は少し趣を変えてみます。


「昔のオタクは良かったね。それに較べて今のオタクの劣化ぶりと来たら…」と言う、ツイートを見て、勢いで書いてみる。

 今日(2月13日)、こんなツイートが出てきました(最初だけ引用、後はリンク先や魚拓を読んでください):


長くなりそうなんで書くのやめてましたが、最近のオタクはウヨったりミソジニーだったりと評判が悪いので、若い人にはオタ創世記?の頃が分からなくなっているらしく、結論を最初に言うと「元々オタクはリベラル寄りであり知的であった」です↓

https://twitter.com/Simizushi/status/1756990126482407911

 要は、昔のオタクは知性的だったしリベラル寄り・左翼的だった。今のオタクは劣化しすぎてる。と言う内容ですね。

 これは非常に違うなぁ。と思ってて、昔のオタクカルチャーというのがそんなに「高尚な」物だったのか?というと、全然違うじゃないか。と思う訳です。

 私は、1969年に産まれました。自分の記憶に残ってるアニメや特撮で最初のものは、「仮面ライダーV3」と「ウルトラマンエース」でした。確か、3歳か4歳のときに、東京にまだ住んでた頃に見てた

 そして、母が度々書いてるように、ガチガチの左翼だったし同居してた祖父も「心情左派」的だったので、当時の左翼的な価値観が「仕込まれて」もいた。

1975年前後に川崎の新興住宅街に引っ越してきての、ネオリベ的だったともう言うべき「世界」に触れてカルチャーショックを感じた、私。

 そういう私が、小学校に上がる前に東京から(忌まわしいとすら思ってる)神奈川県川崎市の・今の宮前区に移ったのですが、その時点で、ものすごいギャップを感じたんですよね。新興住宅街で小学校も出来たばっかりだった。ということもあってか、学校の先生が日教組などの「左より」であった労働組合に入ってるというのが案外少なくて、3年生くらいまでしかストライキで学校が休みになった記憶がないし、いる生徒(同じ年代の人達)も、左翼的なものをバカにする人が大半でした。まぁ、今で言う上級国民の人達が多くいて・私のようなシングルマザー家庭はそれだけですごい差別されるような土地柄ではあったのですが。

 当時、オタク的なものを小馬鹿にする風潮は、そういう場所ですら強かったですが、まぁ、それなりにオタク的な趣味嗜好の人で固まったりできる程度にはいた。

 その中ですら、左翼的なものに理解を示したりする人は殆どいなかった。却って、新興住宅街の廻りに前から住んでるヤンキー的な人たちのほうがずっと、理解を示してたくらいで(意外でしょうけど、当時から右翼と左翼の価値観を同居させてるような人達がそれなりに多くいた。立場よくない人達中心に)。

 高校も似たようなもので。ただ、高校が高校だったので、クラスの半分以上・多分九割方がオタクでしたけどね。

1980年代中盤くらいまでの、オタクとサブカルのありようについて。

 当時。まだ、左翼的なものでも、1960年代終わりから70年代にかけての新左翼的なカルチャーにも居場所がそれなりに多くありましたし、それを面白がったり賛同したりする人も多かった。
 ただし、そういう人は、今で言うような「オタク」とはかけ離れてることが多かった。オタク的な趣味はあるのだけど、それをオタク的なものだと社会が認識してないような趣味だったりもしてましたが。

 逆に、理解がなかったのは、私と同世代(80年代なかばに10代なかば)のオタクたちや、それよりも一回り歳の行ったオタクたちでした。左翼的なものにも右翼的なものにもけんかを売ってる「愛國戦隊大日本」に対しても、面白がる人はオタクにもある程度はいたのだけど、上の世代は物凄くイヤな顔をする感じがあった。

80年代から90年代(男性だけ?)漫画オタクと少女漫画、そして、今で言うエロ漫画の密接なつながり方。

 さて、その後バブル景気があり、セーラームーンブームがありました。セーラームーンは、確か放送の一ヶ月くらい前だったと思いますが、都会の草の根BBSに、アニメ誌で情報が出される前の段階でキャラクターの設定資料がでて、それが物凄くバズって、今で言う絵師さん達が競ってエロエロな絵を描いてネットに出したり・妄想トークを繰り広げてたりして、なんかすごくやだなぁ…と、当時の私は冷めた眼で見てたのですがそれはさておき、草の根BBSだけでなく著作権どうこうというのが過剰に言われてた大手のパソコン通信でも特定のフォーラム等だけで流れるような感じで大ブームになった訳ですね。

 元々、80年代やそれ以前から「オタク」で少女漫画を読んでる人が多くて、当時は男性が少女漫画とか少女漫画に近い絵柄のマンガを見るというのは、極めて軟弱で不道徳な行為だと蔑まれてたわけです。ただ、当時の「美少女漫画」と呼ばれてた今のエロ漫画の祖先的な物を描いてる人たちの多くは男の子向けの漫画や劇画だけでなく、少女漫画も等しく読んでる「オタク」が大半で、漫画の絵柄を少女漫画に寄せてきたりしてました。
 それがあって、80年代当時エロ漫画と言えば劇画タッチのおどろおどろしさが先に来るものが普通だったとか、エロ写真の本も警察の規制がある意味厳しくてあんましなかったりしたのもあって、美少女漫画がブレイクしてったわけです。



80年代のオタクは、保守化右傾化してた当時の社会の「鏡」であったと思う。

 そういう中で、左翼的なもの・リベラル的なものがどう扱われていたか?と言えば、前の世代の老害。的な扱われ方が多かったと思います。それは、中曽根康弘が政権を握ってて(今で見れば可愛いものの)軍国主義化とか右傾化に社会が突き進んでいったとか、労働組合が社会の敵扱いされて経営者のいうことに黙って従うのが正しい。って社会全体の風潮が出来つつあったことも影響してるし、70年代後半からの学校での教育が管理教育にせよ内申書にせよ、とにかく偉い人の言うことを黙って聞いて・死ねと言われたら笑って死ぬのがあるべき姿だ。って風に「しつけ」が子供全般にされたり、受験競争が厳しくなって受験かスポーツで勝てない人間は、クズ。的な空気が、親にも子供にもはびこってたほうが、影響としては大きかった。

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