カルロス・ゴーンの「国外逃亡」と、それを弁護する人達のふるまいから、2020年の日本と世界のありようを予想してみる。

気がついたら、大晦日になっていました。

 今年も色々とありすぎて(自分の身の上でも)、気がつくと年の瀬も年の瀬に。
 特に、歳を取ってきてしまったせいか、時間の進むスピードが速くて泣けてきます。
 皆さんも、よいお年を。

カルロス・ゴーン日産元会長が、レバノンに「国外逃亡」。

 さて、大晦日になって、カルロス・ゴーン元日産会長が国外に「脱出」したというニュースが流れてきて、ネットの一部で大騒ぎになってますね。背任の疑いで逮捕送検されて、裁判を待つ間、保釈を認められて(海外への出国が禁止されていた)拘置所の外にいたのですが、大晦日になって、レバノンに脱出したと声明文が発表された訳ですね。

https://mainichi.jp/articles/20191231/k00/00m/040/120000c

https://togetter.com/li/1449608

 色々な話が飛び交っていて真相がわかるのは少し後になりそうなのですが、どうやら、楽器のケースに入って空港の出国管理窓口を抜け、自分のプライベートジェットで日本を脱出し、上海でレバノン軍の輸送機に乗り換えたのだとか。

https://togetter.com/li/1449653

 完全に、レバノン政府がお膳立てしてる「脱出劇」だったようなんですよね。そして、ゴーン元会長は「日本の刑事裁判は人権侵害だ」「有罪ありきの裁判に耐えられなかった」と声明を出していて、そうであるがために、日本の左派を自称する人達の一部やリベラル達が、ゴーンが外国人差別が酷い日本から逃げ出すのは当然だ。と弁護し、日本の制度が悪いと非難をはじめてるわけです。

https://togetter.com/li/1449698


「リベラル」は、日本の外国人差別や司法制度の問題を理由にゴーンを弁護しているが…。

 ちょっと待て。と言いたくなる訳です。

 確かに、日本の刑事裁判の制度や運用のされ方は酷いものがあるし、最近は入管の問題のように外国人差別の問題も表面化していますけれども、カルロス・ゴーンと言う人がやった罪と言うのは、裁かれないといけない類の罪な訳ですよ。今回裁判にかけられてる背任の件もそうだし、彼が「リストラ」「コストカット」と称して、従業員や下請け業者をどんどん切って・安かろう悪かろう路線に日産を仕向けて行ってしまい、その事で日産という会社の製品がろくに買われなくなっただけでなく、従業員や下請け業者の生活をブチ壊し・自殺に追い込まれた人も少なからず出している中で、私腹を肥やしていた。と言う問題は、他の取締役が同じように私腹を肥やしていたのが裁かれないのはおかしいから自分は裁かれるべきではない。なんて話で済ませていい話ではない訳です。

https://mainichi.jp/articles/20190119/k00/00m/020/154000c

 何しろ、いまのように日産という会社を「改革」したのは、カルロス・ゴーンの「トップダウン指導力」なんですからね。

https://smart-flash.jp/sociopolitics/55402

https://www.zaikei.co.jp/article/20181125/479863.html

 それで従業員を苦しめる一方で、数千億円以上とも言われる資産をゴーン個人が蓄えていた問題は、他の人がどうこうとか、彼が外国人だからどうこうと言う話と分けられるべきなんですよ。

 何万人もの人々に対して、深刻な「罪」を犯したことを、差別などを理由になかったことにしようとする人達が、あろうことか「左側」からたくさん出てる。と云う事には、物凄い怒りすら感じるんですよ。いつもは労働組合と繋がったり、いくつかの労働組合が酷い扱い受けてるのに怒って「連帯」してるような人達が、カルロス・ゴーンが外国人だという理由で、労働組合や労働者への扱いを酷いことやったのを見逃すどころか「ゴーンを助けろ」ってやってる訳ですから。

上級国民の側に立って、人々と敵対し始めた「リムジン・リベラル」。

 既に、多くの国々で「リベラル」と言う物が、「リムジン・リベラル」を指すのも同じ言葉になってる訳ですよ。リムジンに乗って、頻繁にパーティをし、そういう裕福な仲間うちだけで物事を見たり決めたりして、貧乏な普通の人達を見下し・蔑み・自分たちの勝手な理屈を押し付けることを恥じない、「庶民の敵」であるのが、リムジン・リベラルな訳で。そういう問題が、要は、お金持ちや裕福な人々を「外国人」と言う属性だけで「仲間」「かわいそうな人」と捉えて、彼らを擁護するような所に、日本のリベラルが堕ちてしまってる。

https://www.businessinsider.jp/post-33550

https://togetter.com/li/1343558

 彼らからすれば、ゴーン元会長が労働者と下請け業者を徹底的に虐めて路頭に迷わせ・氏に追い込まれた人すら少なからず出たことは「不都合な真実」「これはこれ」程度でしかないんですよね。これは、今回に限らずグレタ・トゥーンベリー氏が「二酸化炭素が温暖化を招いてる」と「怒った」のを、多くの人が「原子力発電を進めるために言ってる」と見抜いた上で批判してるのまで、「子供に何てことを言うのだ」「女性差別でだそれは」などと的はずれな物言いで非難してグレタ氏を「擁護」していたのと、共通してると思うんです。

 要は、日本に於いて、自分たちが「被差別属性だと思う」存在ならば、どんな酷いことをしても見て見ぬふりするし、許されるし、その人たちが自分たちのやった罪を問われたら、日本の制度や文化の間違ってる部分をつつき・些細な所のそれを理由に、どんなに酷いことや無法をやっても弁護し続けてる訳です。

 そして、それは、多くの人々を苦しめたり・多くの人々が間違ってると思うことに対して多くの人たちが怒ることを、上から目線で否定し・「遅れた救いがたい人たち」だと非難するだけでなく、見下し・同じ人間ではないから「多少の」暴言や暴力は許されるだろう。と言う事に直結してる訳です。

https://togetter.com/li/1367814

 それらは、多くの貧しくて力もなく・かといってリベラルが認めるような「被差別集団」に入ってもいない人達にとっては、金持ちや悪徳経営者とリベラルが同じ存在であるようにしか見えない。と言う事に繋がってる。

安倍政権の支持が底打ちしないのは、リベラルや左派にも大きな責任があるのではないか。

 今、「リベラル」なる人々が、今の安倍政権やそこにつながる人々以上に多くの人から非難を浴びているのは、リベラルなる人々が、最早、安倍政権やそこに繋がる人々と一体となって、庶民をいじめる側に立ってしまってるからだと思うんです。そして、その事は、「政治に携わってる誰も私の苦境を理解しない」「右も左も一緒になって自分たちに無理な要求をしバカにしてる」と言う思いになり、それは、今の安倍政権というのが物凄い酷いことをしていても支持率が下がりきらない。と言う現象に繋がってるように、私には見えて仕方がない。

https://toyokeizai.net/articles/-/315728

https://mainichi.jp/sunday/articles/20191223/org/00m/010/002000d

 安倍政権は、たしかに最悪だけど、それと「対立」してるようかに見える「リベラル」や一部の左派というのも、上級国民の側に立ってて、上級国民の価値観で庶民や庶民の文化を一方的に悪いものだと言ったりしてる上に、金持ちや上級国民が悪いことをしても、その人たちに「被差別属性」でもあったならば、それを理由に全力で弁護してくるような人達が、安倍政権と何処が違うのだろうか。仮に彼らが、民主党政権のときのように、安倍政権の代りに政権の側になったとしても、自分たちの扱いはほとんど変わらないだろう。そう思うしか亡くなっていく人が沢山いるから、政権交代への期待が高まらないし・安倍政権の支持率がひと桁パーセントまで落ち込むことも無いのではないかと、思うんです。

政権の腐敗と汚職と傲慢が極まっても、人々が批判に加わらない理由について考えてみる。

 これは、「桜を見る会」問題や「カジノ疑獄」問題を始めとして、今の政権の不正や腐敗・腐りっぷりが沢山噴き出してる現状で、反政権のデモや動きというのが「意識高い系リベラル」の外側に広がることがなかなか出来てない。と言う事の最大の原因なんじゃないかと思うんです。

https://mainichi.jp/articles/20191216/k00/00m/010/253000c

https://mainichi.jp/articles/20191216/k00/00m/010/080000c

https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20191230/pol/00m/010/002000c

 腐敗し尽くしてる上に庶民をシバいていじめぬいてる現政権と、それに対立する人達の本質的な違いというものがなくなってる。と、多くの人たちが「見抜いて」しまってる。

 多少なりとも「外国人」「女性」などと言う属性を噛ませる形で相手を非難したり嗤ったりした日には猛烈な勢いで袋叩き・リンチをしてくるような「不寛容な」人々が、安倍政権と正反対の立場を自称してるというのは、ある意味悪夢であるし、彼らが果たして安倍政権と反対側かと言えば、子宮頸がんワクチン問題や原発被害問題や表現規制問題など、いくつもの問題で安倍政権や安倍政権を支えてる人々と同調してしまってる。

政治の主役を上級国民の間で廻してるに過ぎないと「政権交代」が見放されてるのでは。

 上級国民から上級国民に政治の主役が移動するに過ぎず、その人々全体から自分の存在や自分の存在を支えてるものを護らないといけない。と言う人達が、最低でもこの国では大半を占めてるし、それは、多くの国でも同じなのでしょう。

https://biz-journal.jp/2019/09/post_118077.html

 この事が、こういう形で対立してるんだということが、2020年には、大きな問題として表面に出てくるのではないかと、私は思うのです。

 アベノミクスの破綻を今は隠し続けてるけど、12月になって隠しきれなくなってるし、それに「桜を見る会」問題がかぶさってる状況でもある。

 2020年は、早々から安倍政権が今まで何をしてきて・それをマスコミや(よしもと芸人を始めとする)芸能界がごまかすのを手伝ってきたか。と言うのがたくさん出てくる年になるでしょうし、それと同時に、それに相対する立場だったはずの「リベラル」や一部の左派たちが、実は、安倍政権を支える人達と同じ側に立っていたというのがはっきりと表に出てくる事になるでしょう。

 そういう時であるからこそ、私達はしっかり自分を持たないといけないし、色々なことを見直し・ときには冷酷に見放す「勇気」を持っていき、人々が自分たちの力で・今までとは別の方向性で繋がっていけるようにだけは頑張らないといけないのかな。などと思うのです。

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