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【没後50年 福田平八郎】見どころと音声ガイドをご紹介します

ようやく寒さも和らぎ、お出かけ日和が増えてきましたね。
そんななか大阪中之島美術館を賑わせているのが、現在開催中の「没後50年 福田平八郎」です。


今回は、展覧会の見どころと音声ガイドについてご紹介します。
まずは福田平八郎という人物についてお話しましょう。

大正、昭和にかけて活躍した日本画家、福田平八郎。
初めて名前を聞く方も多いかもしれません。
まずは、彼の代表作≪漣≫(1932年)をご覧ください。


《漣》重要文化財 昭和7年(1932)大阪中之島美術館

「これが日本画?」と思った方もいるでしょうか。
大画面に描かれているのは、群青色の線のみ。
画面を漂う線が、下の方から上へ向かうにつれて密集し、どこまでも広がって行きそうな空間を作り上げています。
抽象画のようにも見えますが、作品の前に立つと、不思議と湖面を揺らすさざ波そのものに見えるのです。

人物画や花鳥画、山水画などといった定番の日本画とは大きくかけ離れたこの作品。
平八郎は、「漣」をなぜこのように表現したのでしょうか?

実は平八郎、≪漣≫を発表する少し前の時期には、風景やモチーフをリアルに描くことに徹底的にこだわっていました。
対象物の本質を捉えるにはどうしたら良いのか?と悩み抜いた末、ある時から「自分の眼で感じた通りに描くこと」を意識し始めます。その結果、常識に囚われない色使いや大胆な構図が際立つようになります。
写実を徹底的に極めた先に行き着いたのが、〝写実を基にした装飾画〟でした。
これこそが、平八郎作品の斬新さです。

≪漣≫も、そよ風に揺らめく湖の水面を観察し、描く要素を極限までそぎ落とした「究極の具象絵画」なのです。
発表当時は、あまりの斬新さに賛否両論が巻き起こりましたが、今や「近代日本画の表現の可能性を広げた作品」として重要文化財に指定されています。


《雲》昭和25年(1950)大分県立美術館


≪海魚≫昭和38年(1963) 大分県立美術館

ほか、平八郎は好奇心の赴くままに様々な身近なモチーフを描き上げました。
カラフルでポップな平八郎の作品は、今でも色褪せず、多くの人を魅了してやみません。

この展覧会では、そんな平八郎の初期から晩年に至るまでの作品が一堂に会しています。
大規模な回顧展は、なんと大阪の美術館では初となります。

平八郎の斬新な発想、モダンな色彩感覚にきっと驚かされるはず。
また、初期の作品からだんだんと画風が変わってゆく様をご覧いただける、貴重な機会となっています。この春、ぜひ平八郎ワールドに浸ってみてください。

音声ガイドのナレーターは声優の駒田航さん!

今回、音声ガイドには声優兼カメラマンとしてご活躍されている駒田航さんにご出演いただきました。

風景の切り取り方がユニークな平八郎の作品は、現代のカメラと共通点があるとも言われているのです。

音声ガイド収録をとても楽しみにしてくださっていたという駒田さん。収録後には、素敵なコメントをいただきました。ご紹介します。

福田平八郎の絵を初期から晩年まで見て、描き方が一辺倒ではなくて、すごく変化に富んでいることに驚きました。
《緬羊》や《鯉》のような初期の作品が、50代以降の《竹》や《雲》のような全然違う画風に変わっていって、人生を通して見えてくるユニークさがある方だと思います。
こんな風に、スポンジのように色々なものを吸収する力は今の時代の人にも刺さるところがあると思いますし、僕もとても刺激を受けました。
今回は平八郎自身の言葉もたくさん収録しているので、そのお人柄も感じていただけるかなと思います。良い意味で予想を裏切る画風の展開を、音声ガイドと一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。

音声ガイドでは、平八郎がのこした言葉を引用しながら作品の解説をしています。
平八郎が何を想いながらこの作品を描いたのか、彼の言葉から想像してみてください。
駒田さんによる、聴き心地の良い朗読は必聴です。
 
ボーナストラックには、本展覧会の担当学芸員である大阪中之島美術館 主任学芸員の林野雅人さんへのインタビューを収録しています。
平八郎作品の魅力、作品の見方、代表作≪漣≫についてお話いただきました。
音声ガイドでしか聞けない貴重なお話、ぜひお楽しみください。


展覧会場の音声ガイドカウンターには、駒田さんの直筆サイン入り看板を飾っています。
ぜひ現地でご覧ください!

音声ガイドは、スマホアプリ「いつでもミュージアムトーク iMuT」でも配信しています。
展覧会の開幕期間であれば、何回でも視聴可能です。
再生画面には作品の画像も表示されるので、お家でゆっくりお楽しみいただくのもオススメです。ぜひご利用ください。

≪ダウンロードはこちらから≫

※事前にダウンロードしてからご来館いただくとスムーズにご利用いただけます。
※お使いのOSのバージョンや機種によって、ダウンロードできない場合がございます。
※会場内でご使用の場合は、ヘッドホンもしくはイヤホンをご持参ください。

【展覧会概要】
没後50年 福田平八郎展
会場:大阪中之島美術館
会期:2024年3月9日(土)~ 5月6日(月・休)
*前期:3月9日(土)~4月7日(日) / 後期:4月9日(火)~5月6(月・休)
音声ガイドも一部の作品が変更となります。
展覧会HP:https://nakka-art.jp/exhibition-post/fukudaheihachiro-2023/

※聴覚のご不自由なお客様へ、文字原稿の貸出を行っております。音声ガイドカウンターにてお申し付けください。
※音声ガイドの実施は大阪会場のみとなります。ご了承ください。


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