舌をしまい忘れた野良猫に、しょうがなく構ってもらった話
日曜日だってのに、私は働いてる!
えらい!と汗だくになりながら夕方の帰り道を歩いていたら、舌をしまい忘れたサビ猫がこっちを見ていた。
「なんて不細工なんだ!!」
「舌をしまい忘れてるぞ!!」
私は猫を見つけたら喉を一回鳴らす。
猫がこっちに気がついて、逃げるそぶりをしなければ、近づいてみる。
大概は近づくと逃げられてしまうのだが、今回のサビ猫は全く動じない。
姿勢を低くして待っていると、「もう、ほんとしょうがないよね。」と言いたげに伸びをして、盛大にあくびをしてからやっと寄ってきてくれた。
伸びをするというのはすぐに逃げられないので、ここで私が完全に舐められていることを理解した。それでもいい。
尻尾を高く上げながら、体をこすりつけてくる。
猛烈にかわいい。
おしりをトントンしてあげたら、しっぽはさらに高くなる。
初対面の人にそんな甘えてもいいんですか?とこちらが心配になるくらい警戒心ゼロ状態だった。
耳は桜の形に切られていて、野良猫だと物語っていた。
気高く生きてきたんだね~と話しながら猫といる私の後ろを、道行く人たちが歩いていく。
よく街で見かける猫に話しかけている変な人はこうして出来上がることが分かった。