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六本木クロッシング2022展:往来オーライ!

六本木クロッシング2022展:往来オーライ!に行ってきました。
久々の現代アートに没入できる感じ。素晴らしかった…

なんかよく分からないタイトルだしインスタ見て不思議な作品が多い!ということがわかるまで元々行く気がさらさらなかったのですが

サブタイトルの「往来オーライ!」には、歴史上、異文化との交流や人の往来が繰り返され、複雑な過去を経て、現在の日本には多様な人・文化が共存しているという事実を再認識しつつ、コロナ禍で途絶えてしまった人々の往来を再び取り戻したい、という思いが込められています。

サブタイトルにそんな意味が込められていたのかと思うと感服してしまいました。

橋本梓さんという国立国際美術館主任研究員の方のコメントの中で「国籍・子供がいるいない・見えないハンディキャップなどを持った様々な人がいて、その人たちは作品を見ながらどんなことを思っているのだろう…」というような言葉がありました。本当に、森美術館の中だけでたしかにほんとうに色んな人がいます。そして感じる情報も属性や置かれた環境によってもたらす影響が強くなります。東京オペラシティアートギャラリーのチーフ・キュレーターの天野太郎さんも言ってましたが「多様性」「多文化」など敢えて定義づけをすることが敢えて視野を狭くさせてしまっているのかもしれません。

さて、印象に残った作品をば。

キュンチョメの「声が枯れるまで」という作品、心が震えました。ざくっと伝えれるとトランスジェンダーの方が自分で名前を獲得してその名前を声が枯れるまで叫び続ける内容の動画作品です。MtFの方が自分の名前について話してる時、願わくば心と身体が一致してる姿に生まれ変わりたいって言っていたとき。自分が苦しいのはわたしだけじゃない。もっと悩んでる人もいるけどこの名前として生きてることに誇りを持っていきたいな。自分で名前を変えることは覚悟でもあり、責任を持つことが自由なのだろうか…

▼作品の詳細は下記より

横山奈美さんの作品。色々な人に「history」や「love」などの言葉を手書きしてもらって、その言葉をネオンサインを発注して、ネオンを写実的に描く行為。よく見ると「love」という同じ言葉なのにひとつとっても書き方も字体もニュアンスも全く違う。個性が出ていて。なんか言葉から「人」を感じ、不思議とネオンからなんかぽわんとあったかくなるような暖かさを感じるという不思議な気持ち。

石内公太さんの作品。40年住んだ街から引っ越す際に半径1kmの世界を写真で残していったというもの。変わりゆく町並みと自分の姿は肉体に時間の重さが積み重なっていくとのこと。街並みを切り取ることもセルフポートレートなんだなと思った。確かに、自分の目で切り取った世界も今、自分が見ている世界だもんね。

そして、SIDE CORE / EVERYDAY HOLIDAY SQUADの作品。
シャンデリアに見える作品は工事現場や道路規制で使われているコーンやチューブ、照明器具です。

実は、光の点滅は福島県から発信される時計の標準電波により、東日本一帯でシンクロしているのです。同じリズムで時を刻んでいる様子を光で示すことで、東日本大震災の被災地と東京が遠く離れていても繋がっているということを、視覚的に表現しています。奧の壁に映し出された映像作品では、工事作業服を着たスケーターが、夜の東京を滑走しています。この作品シリーズは2017年に宮城県石巻市で最初に発表されました。被災地で制作した作品を東京でも制作することで、オリンピック・パラリンピック開催により都内で進む再開発と震災復興との非対称な関係性など、距離を超えた場所同士の繋がりを表しています。

「非対称さ」っていうのはおもしろいですね。東京オリンピックからの東京の再開発と福島県の復興。同じ工事なのに。意味が違う。

最後にミュージアムショップで見つけた『コロナ時代を生き抜くための60冊』という本。

玉城ティナちゃんが最後に「幸せってなんだろう」という思想から澁澤龍彦快楽主義の哲学を読んで感じたことを書いてました。歩き疲れてちゃんと読めなかったけど読んでみよう。あんなに可愛いモデルさんも人で、しかも、面白い人なんだなと思った。

ということで久々にアートで自分と対話ができる展覧会でした。
これが現代アートの醍醐味ですね。


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