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Artまとめ

もうすぐ秋分の日。朝晩はすっかり涼しくなり、秋の訪れもすぐそこです。早いもので今年もあと3ヵ月弱となりました。相変わらずコロナ一色で、鬱々な日々を送っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。こんな時だからこそ、artに興味のある方もそうでない方も、静かに楽しめる美術鑑賞を通して、今まで気が付かなかった感性と対話してみては如何でしょうか。今日はこの秋開催される展覧会をいくつかご紹介いたします。

英国王室が愛した花々
 イギリス大好き著者の一押し。
 鑑賞後は、美術館庭園&カフェで癒されてみては。。。

英国王立植物園「キューガーデン」はユネスコ世界遺産に登録され、22万点を超えるボタニカルアートを所蔵する世界最大級の植物園です。
はじまりは、1759年にジョージ3世の母であるオーガスタ皇太子妃がロンドン南西部に造った小さな庭園でした。ジョージ3世とシャーロット王妃の時代にその規模を飛躍的に広げ、当時ヨーロッパを席巻していた啓蒙思想などを背景に、研究機関としての整備も進みました。
本展では、18~19世紀に制作されたキューガーデン所蔵の貴重なボタニカルアートコレクションのほか、シャーロット王妃が愛し、王室御用達となったウェッジウッド社など陶磁器の数々を展示します。時代が大きく変革していく中で、英国において自然科学や植物画がどのように発展し、どのような歴史的背景を歩んできたのか、変遷をたどります。
精緻な描写による科学的視点と、目を奪われるような美しさが共存するボタニカルアート。世界中から集められた色とりどりの花々に囲まれるこの機会をどうぞご堪能ください

ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント

遂に来ましたゴッホ展。ジャポニズム時代大好きな著者には、こちらも見逃せません。原田マハさんの小説「たゆたえども沈まず」を読まれた方は自分なりのストーリーを思い浮かべながら、また違った楽しみ方が出来るのではないでしょうか。※本書はフィクションですのでご注意を。

フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)の芸術に魅了され、その世界最大の個人収集家となったヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869-1939)。ヘレーネは、画家がまだ評価の途上にあった1908年からおよそ20年で、鉄鉱業と海運業で財をなした夫アントンとともに90点を超える油彩画と約180点の素描・版画を収集しました。ファン・ゴッホの芸術に深い精神性を見出したヘレーネは、その感動を多くの人々と分かち合うべく、生涯にわたり美術館の設立に情熱を注ぎました。
本展では、クレラー=ミュラー美術館からファン・ゴッホの絵画28点と素描・版画20点を展示します。また、ミレー、ルノワール、スーラ、ルドン、モンドリアンらの絵画20点もあわせて展示し、ファン・ゴッホ作品を軸に近代絵画の展開をたどる、ヘレーネの類まれなコレクションをご紹介します。
さらに、ファン・ゴッホ美術館から《黄色い家(通り)》を含む4点を展示し、20世紀初頭からファン・ゴッホの人気と評価が飛躍的に高まっていく背景にも注目します。

イスラエル博物館所蔵 印象派光の系譜

ゴッホに続き印象派展覧会。モネの睡蓮鑑賞できます。
レトロでスタイリッシュなカフェもおススメです。

約50万点の文化財を所蔵するエルサレムのイスラエル博物館は、印象派も珠玉のコレクションを誇ります。本展は同館から、印象派に先駆けたクールベ、コロー、ブーダン、そしてモネ、ルノワール、シスレー、ピサロ、この流れを発展させたポスト印象派のセザンヌ、ファン・ゴッホ、ゴーガン、さらに印象派の光と色彩の表現を独特の親密な世界に移し変えたナビ派のボナールやヴュイヤールの作品約70点を厳選し、印象派の光の系譜をたどります。
なかでも、睡蓮の連作で有名なモネの《睡蓮の池》は、特に「当たり年」と評される1907年に描かれたものです。この画家全盛期の作品を含めた出品作の大半が、日本初公開となります。

速水御舟と吉田善彦

日本画好きの方は是非。

御舟は、横山大観や小林古径らから評価を受け、23歳の若さで日本美術院(院展)同人に推挙されます。「梯子の頂上に登る勇気は貴い、更にそこから降りて来て、再び登り返す勇気を持つ者は更に貴い」という本人の言葉どおり、古典を基礎に次々と新たな作風や技法に挑み、40歳で早世するまで日本画壇に新風を吹き込み続けました。
一方の善彦は、17歳で姻戚関係の御舟に弟子入りし、写生や古画の模写、作画姿勢などを学びます。また、戦中・戦後には、法隆寺金堂壁画の模写事業にも参加しました。これらの経験を通じて、善彦は古画の風化した美しさを追求するようになり、金箔ともみ紙(がみ)を用いた「吉田様式」と称される独自の絵画世界を生み出すにいたりました。
本展において、御舟の作品では、近年の調査で西洋の顔料を使っていた事実が判明した《和蘭陀菊図》をはじめ、金砂子を地一面に使う「撒きつぶし」を用いた《名樹散椿》【重要文化財】、本人曰く「二度と出せない」色で表した《炎舞》【重要文化財】など、また善彦の作品では、「吉田様式」を初めて用いた《桂垣》や、この技法を熟達させた《大仏殿春雪》☆、《春雪妙義》などを展示し、二人の代表作をはじめとする優品をご紹介します

◆はじめての古美術鑑賞

人物画に抵抗のある方も、じっくり鑑賞していくうちに筆の細かさ、色の鮮やかさに魅了されるものです。著者もその一人。人物画展覧会初体験の方も是非。

古美術の様々なジャンルとその見どころを分かりやすく解説する展覧会、「はじめての古美術鑑賞」シリーズも5回目となりました。今年は、絵画の主要なテーマの一つである人物画をとりあげます。
 人物画は今でこそ当たり前に描かれていますが、実は古代日本では忌むべきものとされていました。しかしそのような時代でも、信仰対象となった人びとだけは、例外的に描かれました。そして中世以降、人物画は一般的なものとなり、その後は様々な人びとを対象として描かれるようになります。この展覧会では、「人をえがく」作品の展開を概観しながら、主な人物画のジャンルをわかりやすく紹介します。

美しいものを観た後は、併設されているカフェやお庭で癒され、周辺の街並みを散策する。この秋は、心豊かなひとときを体感してみませんか。

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