自分の絵を描く道筋 (下)
普段は画集の解説すら読むことのない私も日本美術に関する本をずいぶん読みました。その中でも東京大学出版の日本美術史の全集は、収録論文も多岐にわたり色々と参考になりました。そもそも「美術」と言う言葉自体が明治期の造語だったのです。飛鳥・白鳳の仏像から江戸の浮世絵まで既に多様で長い伝統を持った「美術」があったにもかかわらず。問題は西欧的美術の観点からいかに解放されるかでした。
私的趣味を保留し日本の伝統に従って物語や和歌から主題を採ることにした私は、次にどのような絵画スタイルが可