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#3 やってみよう!作品鑑賞ワーク(前編)

前回、文化庁の調査結果で見たアート鑑賞の効果は、
残念ながら、それってアートじゃなきゃだめ?な内容でした。

また、アート界の市場規模・スケール可能性は
なんと一企業の売上げよりも少ないという結果に。

ということで、今回は恐縮ながら私の体験ベースで
アート鑑賞の3つの効果
●インプット力 ●消化力 ●アウトプット力
について書かせていただきます。

今からひとつずつ説明していきますが、
言葉だけだとすぐに頭から抜けちゃうと思うので、
実際に作品を鑑賞しながら
より具体的・体感的に効果を掴んでいきましょう!

ではまず、こちらの写真に映った作品を鑑賞してみてください。
時間は【1分以上】とさせていただきます。
なるべくその場にいる気持ちになるのがコツです。

この間に頭に浮かんだことや
心を揺らしたこと、身体が感じたことは
ちょっとメモしておいてください。

画像1

作品・出典の詳細は次回説明しますね。
では、よーいスタート!

1分以上経ちましたでしょうか?
終わったよ!という皆様
お疲れ様でした!

では、これからアート鑑賞の効果
●インプット力 ●消化力 ●アウトプット力
とその詳細について説明していくので、

さきほどの鑑賞体験と照らし合わせながら
読み進めてみてくださいね。

●インプット力

POINT➀ 物事を「意識して見る」目が鍛えられる

普段私たちの多くは視覚に頼って生活していますが、
「意識して見る」ことはそうないと思います。

脳科学をかじった人であればよくご存知のことと思いますが、
視覚情報のほとんどが目に入った、眺めた程度で
特に認識もされず無意識下で処理されるため、
見ようと意識しないと認識できないものが多くあります。

アクティブラーニングならぬ
アクティブウォッチングをすることで、
今まで気付かなかったことや
ほとんどの人がまだ気付いていないことに
気付けるようになり、
それが価値ある差異や、特別なものの種になります。


POINT② 一瞬を丁寧に味わう五感が身につく

また、アート鑑賞は目だけでなく、
身体全体・五感全体を駆使して行われます。

そのため、私はよく美術展で五感の消化不良を起こし
「おなかいっぱい」という表現をしていますが、
この身体感覚に共感してくれる人が結構います。

アート界隈では「いまここ」体験
という言い方がよくされるのですが、

アートを鑑賞する際は今この瞬間、
この場所で得られる情報に対する
感度が鋭敏になり、吸収力が高まります。

ゾーンと呼ばれる状態 
ある種のトリップ体験 
五感を最大限研ぎ澄ます訓練から生まれます。

この体験を習慣化しておくと、
ゾーンやトリップ体験を
日常でも起きやすくさせることができます。


POINT③ 
視点や視座の移動・転換が、容易で柔軟になる

アート作品で取り扱われる対象は
個人から民族、人類、
他の生命体や物体、惑星、異世界まで
種類も規模も非常に多種多様です。

また、作品の見方や考え方、解説も
「そうやって考えるのー!」とか
「そことそこが繋がっちゃうのー!」など、
脳内シナプスがバチバチする体験が得られると思います。

観察・分析・洞察・共感・想像力の深さ、鋭さが向上し、
自分の事業やプロジェクトと繋がったり、
インスピレーションが湧くことも
多々あります。

●消化力

POINT➀ 非合理なものの消化力が身につく

論理的な人であればあるほど、
世の中がいかに非合理で動いているか
実感されているのではないでしょうか。

また、非合理は悪と思っていませんか?
実は、合理的価値と非合理的価値は
社会の両輪で、同様に重要
です。

アート鑑賞は非言語の体験、
頭だけではなく身体を通す体験により、
非合理と向き合い、おもしろがり、
折り合いをつける力が身につきます。

まだ言語化されていない部分や境界にこそ
新しいチャンス・開拓地があり、
そこを気持ち悪がらずに飲み込める胆力が、
人や社会の器を深く広く育てると感じています。

POINT② モノローグ・ナラティブの習慣化

モノローグとは演劇やシナリオでいうト書き部分。
ナラティブとは自分で文脈や物語、意味を語ることです。

アート鑑賞は状況把握・説明や
自己内省・自己対話を繰り返す
モノローグ行為であると同時に、

与えられたストーリーを読むのではなく
自分で作品を物語っていく
ナラティブ行為でもあります。

これらを繰り返し、習慣化することで
ストーリーの消費者ではなく、
生産者になる素養が
育ちます。

●アウトプット力

POINT➀ 発想力や行動力の再獲得

心理学の分野でアート鑑賞は、
防衛機制の一種「退行」に近い現象
という見解があるそうです。

アート鑑賞は一時的に、病的でないレベルで
自我を発達初期の状態に戻すことができ、
幼児期のような発想力や行動力を
再獲得する
効果があると考えられています。

POINT② 未知に挑戦する勇気

アートというやつは、ぶっとんだ挑戦だらけです。
意外と高齢でアートに転向した人もいます。

作品はもちろん、作者や社会背景について知ると、
「自分が恐れていたことなんて大したことないな」
「こんなことまでしちゃうの!」
世論や既存の価値観を恐れず、
未知に挑戦する勇気
を得ることができます。

私は起業家の知人や友人が多いのですが、漠然と
スタートアップとアーティストは似ているなぁ
と感じていました。

スタートアップは、新しいビジネスモデルという
作品づくりに挑戦するアーティスト
に見えています。


●番外編 AI時代における「人間ならでは」の追求

AI導入がいよいよ社会標準となり、
AIが置換可能な職業ランキングが話題となりましたが、
その結果、AIにできないこと・難しいことは、

● 決まったパターンが存在しないこと
● 枠組みや意味を作り上げること
● 身体を通して学ぶなど、人がやることではじめて価値が生じること

だと分析されました。

これらの要素はまさにアートの得意分野で、
アート鑑賞で体験、アンテナをもつことができます。

また、AIで置換できる仕事が増えることで
人類の余暇は史上類を見ない速度で
増加することが予想されており、

余暇の充実=人生の充実 と言っても
過言ではなくなるでしょう。

コロナ自粛でも、急に余暇ができて
困ってしまう人が多発し、多方面から
「暇だ」「することがない」
と言う声が聞こえてきました。

余暇力を身につけるという意味でも、
アート鑑賞に慣れ親しんでおくのは
コスト少なく人生を充実させる投資だと言えます。


まとめ

さて、作品鑑賞からはじまり、
それぞれ説明してきましたアート鑑賞の効果

● インプット力
POINT➀ 物事を「意識して見る」目が鍛えられる
POINT② 一瞬を丁寧に味わう五感が身につく
POINT③ 視点や視座の移動・転換が、容易で柔軟になる

● 消化力
POINT➀ 非合理なものの消化力が身につく
POINT② モノローグ・ナラティブの習慣化

● アウトプット力
POINT➀ 発想力や行動力の再獲得
POINT② 未知に挑戦する勇気

● 番外編 AI時代における「人間ならでは」の追求

皆さん実感はありましたか?

今回は一作品だけですし、
経験値にも大きく左右されるので、
「実感がなかった、、、」
と言う方も全然おかしくないです。

いきなり
「全部感じた!」
という方のほうがすごいです。
お友達になりたい。

「むむー。何を感じればいいんだ。
 ただの庭じゃん。これ作品なの?
 やっぱアートって難しいよー」

と思った方もご安心ください!

次回は、この作品に寄り添いながら
●インプット力 ●消化力 ●アウトプット力
それぞれの観点からコメントしていきますね。


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