大腸がん日記 345日目
先日の抜歯から食事をあまり取れていないため、一昨日の夜から下剤をお休みしていた。
出血や痛みを防ぐために氷を口に含んだり、飲み物はキンキンに冷やしたり、数少ない食事も冷たくて飲めるものばかり。お豆腐、プリン、アイス……
おかげで下剤がなくても十分お腹は下っていたが、この朝は少し落ち着いてきた。
大切なお出かけの直前に抜歯するなんて、なんと無計画な。後悔しかないけど、お腹の心配がなければ外出も安心。よかった。
この日はずっと楽しみにしていた久しぶりのコンサート。楽しんでまいりました。
最後に出かけた演奏会は7月後半のリアル・トラウム1周年コンサート。
抗がん剤の副作用や暑さによる疲れを考慮して、8月は演奏会の予定を入れなかったんだ。体調的にはそれで正解だったと思う。
この日は7月と同じ会場で、リアル・トラウムのリーダー健さんと作編曲家あるおさんのテノール&ピアノリサイタル。
チケット購入では座席選択ができなかったのだけど、かなり前列の下手側が取れて、音だけじゃなく視覚でもバッチリ楽しめるとワクワクしてました。
この日は体調も気候もよくて、徒歩多めのルートで会場へ向かった。
しばらく地下を歩いて階段を上り外に出ると、なんと雨。傘持ってないし。
結局、会場まで濡れずに行けるいつもの電車ルートに変更。スゴスゴと駅のホームへ。
今月新しく買った靴でほんの少しだけ足裏痛が出てたから、これはお天気の神様が私に配慮してくださったんだ、ということにしよう。
コンサートはお二人が自然体で音を楽しんでおられて、本当に微笑ましく心があたたかになりました。
あるおさんが書き下ろした初演のアンコール曲。
MCが終わってイスに腰かけたとき、少し袖をたくし上げるような仕草が見えて。
腕が鳴る、みたいな?
ほんの数日前にこの世に現れたばかりの曲を初お披露目する瞬間ってこんな感じなんだ。
期待とか不安とか自信とか緊張とかいろんなものが渦巻いていて、そのど真ん中に頭から飛び込むと、そこからは今までになかった新しい世界。
音楽を聴くだけじゃなく、体で感じる。
生演奏の醍醐味を存分に味あわせていただきました。
開場前にホールでご一緒したマダム。お話を伺うと電子ピアノでピアノ再開組。私と一緒!ショパンのワルツを練習されているっておっしゃってた。
こういう出会いがあるのも演奏会の楽しい一面。
しかし、歯の痛みでうがいや服薬をしたくて、ご挨拶も早々に席を立たねばならず。
もっとお話したかったなぁ。
帰りの電車では音の余韻に浸りつつ、7月のことを思い出していた。
あの頃はまだ抗がん剤治療中で、疲労感や足裏の痛みなんかもあって、真夏なのに電車の中でも手袋をしたり、今振り返るとあのツラさでよく出かけられたなぁ。
うん、あの頃の私、がんばってた。
よくやってた。
えらかったよ。
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