最新のお仕事|田中修二 編著『福田平八郎 人と言葉』(国書刊行会)
田中修二 編著『福田平八郎 人と言葉』(国書刊行会)の、人物と作品名の索引作りをしました。こんなお仕事もしていますよ。
https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336076007/
福田平八郎とは
現在没後50年を記念した展覧会が開催されている福田平八郎。
大分出身で京都で絵を学び、「写実に基づく装飾画」という表現を確立しました。写実的で質感をリアルに感じさせる彩色や細部の描写ですが、一方で、シンプルな形のモチーフがクローズアップで描かれ、抽象的と言いますか、タイムレスな印象を抱かせます。優れたデザイン感覚がうかがえる画面構成も魅力の一つです。
初期の作品は、琳派の創始者である俵屋宗達、江戸琳派の鈴木其一に似ていますが、昭和初期に独自の作風を確立、晩年は小村雪岱や熊谷守一、ゴーギャンのような作品も描いています。
琳派の装飾性が根底にありながら、さまざまな装飾的な表現に挑戦していたのでしょう。
初の評伝集・文集
内容
さて本書は、周辺の絵師や評論家・コレクターによる評伝〈人〉篇と、福田自身の文集〈言葉〉篇の分冊になっております。
作家自身の言葉や同時代の人からの評価といった一次資料は研究者にとって重要なものですが、大元の手紙や日記・雑誌・新聞記事などにあたるのは(とくに学生さんは)大変です。
本書の刊行により、福田平八郎の研究を志す人が増えたり、研究が進んだりすると嬉しいですね!
デザイン
重要文化財《漣》(1932)をイメージしたグレーのライン、箱の内側に作品画像配したデザインが粋ですね。ニス引き無しの白い本なので、汚れ注意です。
平八郎の由来
一般的には「平八郎」と言えば、大塩平八郎もしくは東郷平八郎ですが、本書の索引にも「大塩平八郎」がありました。
何か関係があるのだろうかと思ったら、大塩平八郎にちなんで「平八郎」にしたのかも〜というくらいの話でした。