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最新のお仕事|『美術手帖』2024年10月号(写真新人賞「夜明け前」の鼎談記事)

『美術手帖』にて、今年から始まった新しい写真新人賞「夜明け前」の鼎談記事を書かせていただきました!(鼎談の録音からテープ起こし&記事作成しました)

写真賞というと、有名な「木村伊兵衛写真賞」、また「1_WALL」「写真新世紀」(ともに終了)「JPS展」などが思い浮かびます。もしくは、アマチュア写真愛好家を対象とした「土門拳賞」でしょうか。観光や商品のPR目的で開催されるフォトコンテストもありますね。

「夜明け前」は、新人写真家の登竜門となる場所が失われつつあることを危惧し、2024年に新たに設立された写真展です。

国籍年齢、テーマ、手法、サイズ、分量などは問わず。
つまり、新人からベテランまで、フィルムからデジタルデータまで、一眼レフカメラからチェキ・写ルンです・スマートフォンまで、男女混合・無差別級・異種格闘技戦的な写真賞なのです。

もちろん作品が良くないと受賞は望めませんが、あまりにもハードルが低く間口が広いので、記事を書きながら「私も応募してみようかな」という気になりました。
応募締切は2024年9月30日まで!


特集は「AIと創造性」。AIアーティストや研究者、AIと著作権といったトピックスを紹介するほか、「技術、人物、アート年表」では、18世紀のチェスの対戦相手をする人形やジャガード織機、人間的な知性を判断するチューリング・テスト、近年の出来事では囲碁の対局相手となるAlphaGo、DeepfakeやChatGPTも取り上げられています。

マンガのページだけ読んでも特集の意図はわかるので、まずそこから読んで年表に進むと、良い導入になると思います!

↓ここから筆者の長い独り言だよ↓

AIを巡っては「仕事を取られるんじゃないか」「いつか人間に対して反乱を起こすのではないか」という心配や「他人のイラストを許可なく学習させてイラストを生成する輩がいる」問題など、ネガティブなイメージが大きいですよね。

私個人の意見としては、AIは道具であり、その是非は利用者のモラルや使い方次第ではないでしょうか。

日本科学未来館のYoutubeで研究者のお話を聞いていると、何か問題や予測不能な事態が起きれば、その原因を突き止め、プログラミングによって制御するなど対処をすれば良い。ですので、AIによって人間が危険に晒される可能性は少ないと言えそうです。「ロボット三原則」然り、未来に必要になるだろうAIやロボットに関する法律整備も検討されています(宇宙利用に関する法律も研究者の間で検討されているそう)。
画像生成AIについても、他人の権利を侵害せず公序良俗に反しない使い方、誤解を与えない使い方(例:デジタル加工した画像で美容効果を宣伝する)をしなければ、AIとも良いお付き合いができそうです。

また、私はAIによってアーティストのクリエイティビティが失われる心配もしていません

写真の登場以来、画家は写真の代用ではない絵のあり方、絵画というメディアの特性を意識した表現を模索してきました。一方で、絵画などを参考に芸術的な表現ができないかと試行錯誤してきた写真の歴史もあります。
メディアアートの分野では、テクノロジーの可能性を追求して、素材・技術の特性を生かした表現を発明してきました。ある意味、メディアアートの制作は科学実験であり、作品は実験の成果なのです。

そうした歴史を踏まえ、私はアーティストの創造性を信じています。

AIの特性を生かした表現(キメラ的な画像という意味ではない)またはAIを利用する意味のある表現でなければ、「AIを使って〇〇風の画像を生成する」という模倣から脱却していなければ、その人(生成者)をAIアーティスト・AIイラストレーターとは呼べないのではないでしょうか。
(むしろプログラマーの方が立ち位置的に近いのでは)


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