「AIC アグリイノベーション大学校埼玉農場での日々」

皆様こんにちは。
2020年10月にアグリイノベーション大学校(以下AIC)へ入学しました、吉田と申します。1994年生まれの現在27歳、会社員(営業)、ベンチプレスは100㎏上がりました(6年前)。
第二回目となる今回は、実習農場である「埼玉農場」でのユニークな日々をお伝えしたいと思います。AICへのご入学を検討されている方がもし見ていれば、ご参考になればと思います。

1. 埼玉農場の概要
全部で5拠点あるAIC実習農場の中で最もフリーダムであり、農業とはただ野菜を作るだけではないと教えてくれるのが、我らが埼玉農場です。
AICに入学した去年の10月、初めて埼玉農場に一人で足を運びました。(実習が始まるのは3月)
埼玉農場にはAICを卒業されたOBも数名週末おりまして、「OB区画」(卒業生が個別に先生から畑をお借りして、自分たちの好きなものを植えている区画をこう呼んでいます)にて自分たちで栽培に取り組まれております。そうしたOB達にご指導という名の可愛がりをいただきまして毎週土曜日は必ず一日農場にいました。(最近サボりがち)
最初に訪れた日から約9か月が経った今だからこそ思いますが、実際、新規就農にあたり、新しい土地へ入っていくときに重要なことを学んでいると思います。
自分が何者なのかをしっかりと伝え、何度も何度も足を運んで、存在に違和感がなくなれば、迎え入れていただけると学びました。今はOB区画の一部をお借りしてメロンを育てております。(苗もOBからいただきましたし、最近農場に行けておらず、OBが面倒を見てくれておりますので次行くのが楽しみかつ怖いです)

また、埼玉農場がフリーダムな点は「学びたいという意思があれば、挑戦を受け入れてくれる」ところです。(なんでもかんでもこいやではないですよ)
何かを育てたい、こんなやり方をしてみたいと相談すれば非常に親身に考えてくれます。
次章では、実際に自分と同じ時期に入学した動機だけで一畝で野菜を育てた話と、農業ってこんなこともするんだ・・という話を書こうと思います。

2. 秋入学生で一畝自由に育ててみた
20/12、実習区画の一畝を秋入学生だけで好きなものを育てるチャンスをいただきました。トラクタで耕うん(ハンドル握ってるだけ)、畝たてを終えまして何を育てようとチームで話し合い、カブとスイスチャード、小松菜を植えました。

マルチングの後、ビニール資材でカバーをしました。おそらく、他の農場では入学して2か月の新米にこんな学びの場はなかなかくれないのではと思います。
(一番左が我々の畝!)

画像1

これから理由は書きますが、最初は全くうまくいきませんでした。ここで言いたいのは、やはり自分たちでやってみて気づき、学ぶことが一番大事という点です。
下の写真を見てください。ビニールがビリビリに破け、寒さで苗が全滅した様子です。

画像2

この季節、埼玉農場には我々の畝から奥の畝の方向へ強い風が吹き、風の力でビニールが破れ、そこから入り込んだ風による寒さでほとんどの苗が全滅しました。風の方向なんて、全く頭にありませんでした。ただ、やはり農業というのはいかに知恵を出すか(加えて、先輩方の知恵をいかに借りることができるかともいえます)が重要でして、ビニールをつなぎ合わせ、畝の前に土壁(高さ20cm程度)で風よけを作り、破れて使えないビニールも風よけに使うなど策を講じました。
最終的に、リーフレタスやカブ等を植えなおしまして、5月に無事収穫が出来ました。想定しなかった障害と、そこから今あるリソースでどうリカバリーするか。資材・お金を出していないので簡単に書いてますが、いざ自分で新規就農したときも、この策の練り方次第で人生が大きく変わるんだろうなと考えた経験でした。今回は農場長やOB、チームの皆様に助けられた結果でした。

3. これも農業だ!
さて、皆さん農業と聞くと何を思い浮かべますか?
おそらく、種を植え、水をやって、収穫するという野菜やお米の栽培作業を想像される方がほとんどだと思います。
自分もそう思っておりましたが、「作物はもちろん、畑の管理も農業の重要な要素」であると感じました。
具体的には、「雑草管理」と「必要な物は作ってしまえ」です。
まずは、雑草について。
埼玉農場は無農薬・無化学肥料なので、雑草はどうしても生えますし、虫も多いです。雑草が多いと、風通しが悪くなって野菜の病気を招いたり、野菜がとるべき栄養を奪ってしまったりと何かと面倒です。手作業(鎌で刈り取ったり)や刈り取り機で除去しますが、しんどいしキリがありません。ある落花生農家さんでは、「仕事の8割は雑草取り」という方もいらっしゃいました。そんな雑草取りですが、最近勉強が進む中で学びもありました。一つは、生えている雑草によって土の診断に繋がること。酸性土壌で生えやすい、痩せている土で生えやすい雑草など、状況分析に使えるようです。(雑草という草はないということですねー)
もう一つは、畑の管理が出来ていると周辺の方に分かってもらえること。新規就農時、やはり周辺の地域の方々から「ちゃんとやっているか」と好奇の目で見られたと先輩農家さんはほぼ全員言ってました。そこで重要なのが、「綺麗に畑を使っているか」だそうで、そこの指標が「雑草のない畑」とのこと。ただ野菜を作ってるだけではダメってことですね。
埼玉農場に来るまで、雑草取りは重要な業務であるなんて頭にもありませんでしたので、非常に勉強になりました。

次に、「必要な物は作ってしまえ」です。
とにかく、農業は効率化(いかに楽して良い結果を得るか)を突き詰める仕事だとひしひしと感じます。体が資本ですし、自然相手なので限られた時間でやることをしないと手遅れになります。それには、「道具」がかかせません。
私のような土曜日に学校がなかった世代にとっては、「作る」という発想はあまりなく、ないなら買うか諦めるの二択では?と思います(決めつけです)
畑のスペースがないのであれば、雑草を取って土を掘って新しく畑にする。
小屋がないのであれば資材を買って組み立てる。
お金がないなら、知恵と体と時間を使えということですね。改めて、新規就農時に必要な根本の考え方と感じます。
ちなみに、埼玉農場のOBは最近、カルガモ用の小屋を一から作ってました。
埼玉農場は、栽培について学ぶことはもちろんですが、実際に農業を始めた時の暮らし
をイメージさせてくれる場所だと感じております。
もちろん実習以外の自由時間ですが、近隣の農家の作業を手伝ったり、
竹を切ったり、先生が企画するイベントにスタッフとしてお手伝いしたりと、
「こういうことも実際あるんだろうなー」と感じさせてくれます。どうしても、
夢を追いかけがちですが、しっかり現実を見せてくれるという意味でも、いつも暖かく接してくれる皆様に本当に感謝ということで今回は終わりにしたいと
思います。ありがとうございました。



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