DAÉN だえん

現代美術の備忘録

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最近の記事

映像の未規定性が音楽に出会うとき――島袋道浩「音楽が聞こえてきた」について

執筆:石田裕己 本文 Ⅰ 島袋道浩さんの関東圏では15年ぶりとなる個展「音楽が聞こえてきた」が、2024年7月4日から9月23日まで、横浜の新高島駅にあるBankART Stationで開催されました。島袋さんは1990年代より世界的に活躍し評価され続けている作家であり、本展はここ20年近くのあいだに作られた作品のうち十数点を紹介するものでした。島袋さんの作品をまとまった数、しかもそのキャリアをざっと見通すようなかたちで鑑賞できるという国内では貴重な機会で、それだけでも重

    • 「獸(JYU)」に関する走り書的覚え書

      執筆:野村純平 備考:この小論は2024年4月27日〜5月6日にかけて行われた展覧会「獸(JYU)」の直後に私が覚書として書いたものである。備忘録としての有り様を損なわせぬため、少々の加筆修正を施しているものの、論旨全体の大枠はそのままの形でここに提出される。また文章内の写真は私自身の撮影による[編者註:画像は後日追加]。  1993年7月号のユリイカ「特集 アンゼルム・キーファー」誌上で行われた多木浩二、浅田彰、岡﨑乾二郎による鼎談の中で岡﨑が発した会話内容の一部である

      • 次の「セーブポイント」はどこに?――「舞踏会」評

        執筆:青木識至 「キャラクターアート」なるものを展覧する「舞踏会」が、武蔵小金井のアートスペース「小金井アートスポット シャトー2F」で開催された。本展は2022年の展覧会「お泊り会」の続編として、neko、 石田裕己、 村治けい、渡辺俊夫らによって企画されたグループ展である(註1)。出品作家は26名、会期は2024年7月6日から14日まで。三連休の中日ということもあってか、最終日の会場は驚くほどの盛況ぶりであった。 特筆すべきは、典型的なアンデパンダン展を思わせる奔放な

        • 経験することと制作することのあいだで――松橋萌《欧州・散歩・ケアをめぐる報告(旅で出会った人々と共に移動した話をする)》について

          執筆:石田裕己 「OPEN STUDIO 24」(東京藝術大学 横浜校地 元町中華街校舎, 2024年7月26日 – 28日)は、東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻に所属する大学院生たちが、授業での制作物や修了作品の中間報告を展示する場です。そして《欧州・散歩・ケアをめぐる報告(旅で出会った人々と共に移動した話をする)》は、修士二年の松橋萌さんが中間報告として発表した作品です。 同作はダイアローグの形式を採る作品で、各開催日に2回ずつ上演されました。松橋さんは1

          【西部・多摩編】東京のアートギャラリー&アートスペース紹介(3)

          東京で現代美術の展示が見れるアートギャラリーやアートスペースを紹介します。本記事では、ファッションや文化施設が多く、居住環境も充実している、⑴表参道・青山、⑵渋谷・代々木、⑶新宿・初台・四ツ谷、⑷中野・杉並・世田谷、⑸恵比寿・代官山・中目黒、⑹天王洲・品川・蒲田、⑺武蔵野・多摩を中心にまとめました。 日本には収蔵品の展示を中心に行う美術館や博物館だけでなく、作家の作品を販売するために展示するアートギャラリーや、同時代の作家やキュレーターが企画を行うアートスペースが数多く存在

          【西部・多摩編】東京のアートギャラリー&アートスペース紹介(3)

          【東部編】東京のアートギャラリー&アートスペース紹介(2)

          東京で現代美術の展示が見れるアートギャラリーやアートスペースを紹介します。本記事では、歴史的な観光地や伝統的な町並みが残る地域で、下町の雰囲気が楽しめる、⑴上野・谷中、⑵墨田・浅草、⑶浅草橋・馬喰町、⑷清澄白河・両国、⑸北千住・葛西、⑹池袋・駒込を中心にまとめました。 日本には収蔵品の展示を中心に行う美術館や博物館だけでなく、作家の作品を販売するために展示するアートギャラリーや、同時代の作家やキュレーターが企画を行うアートスペースが数多く存在します。しかし、比較的情報の入手

          【東部編】東京のアートギャラリー&アートスペース紹介(2)

          【都心部編】東京のアートギャラリー&アートスペース紹介(1)

          東京で現代美術の展示が見れるアートギャラリーやアートスペースを紹介します。本記事では、商業とビジネスの中心地で、オフィス街や高級商業施設が集まる、⑴銀座・丸の内、⑵京橋・日本橋、⑶六本木・乃木坂、⑷麻布台・虎ノ門、 ⑸九段下・水道橋、⑹市ヶ谷・神楽坂を中心にまとめました。 日本には収蔵品の展示を中心に行う美術館や博物館だけでなく、作家の作品を販売するために展示するアートギャラリーや、同時代の作家やキュレーターが企画を行うアートスペースが数多く存在します。しかし、比較的情報の

          【都心部編】東京のアートギャラリー&アートスペース紹介(1)

          「だえん」について

          私たち「だえん」は、現代美術の記録を目的としたリサーチと出版のプロジェクトです。   本プロジェクトは、同時代(=同世代)の核心的な芸術表現を、未来に継承するための実現可能な方法について、いま一度、真剣に考えてみたいという思いからはじまりました。私たちの目的は、過ぎ去っていく日々の新しい出来事を目撃し、それらをいつでも、いつまでも閲覧できる公共的な記録物として蓄積していくことです。とりわけ、これまでの批評言説や美術メディアでは積極的に扱われてこなかった、周縁的な実践や挑戦的な

          「だえん」について