羅針盤で切り拓く七つの海路【ふるよに】
前書き
こんにちは。櫂を信じる信頼アンチ、いつも隣にミオビキ航路。四国の地でウルトラライトにふるよにを遊んでおります、弓川と申します。
本記事は、BakaFire Partyによる二人用ボードゲー厶『桜降る代に決闘を』(ふるよに)に関する内容を記述したものとなっております。ふるよにのルールやカードプールがある程度身についており、櫂の風向きに関する仕様を最低限承知しているミコト向けの記事です。
【勧誘】
もしふるよにについてご存知でない方がこの文章をお読みでしたら今すぐ始めましょう。本ゲームは確かに非電源なボードゲームですが、半公式で無料で上質なオンラインシミュレーターがあるので、まずはそこから始めることも出来ます。お願いしますチュートリアルさせてくださいなんなら入門セットも送りつけますから!
また、本記事はへくとぱ雑文投棄所さんの『ふるよに Advent Calendar』という企画に影響されて執筆しておりますことを明記いたします。
無実績で経験も浅い自分が百戦錬磨の名立たるミコトの方々と並ぶのはあまりに畏れ多いので、あくまで影響を受けただけの野良記事と思ってお読みいただければ幸いです。
注1:本記事はPCから閲覧されることを前提に改行等を行っております。その為、スマホ等から閲覧した場合多少読みづらいおそれがあります。
注2:本記事は「ふるよにコモンズ/BakaFire,TOKIAME」に則って執筆しております。以下は公式サイトのルールガイドへのリンクです。
本題
そういうわけで本題です。自分が一番好きなカードについて好き勝手に書いてみよう的なアレです。皆様はこちらのカードをご存知でしょうか。
そう、我らがハツミ様の6枚目のカードである『羅針盤』でございます。なんか知りませんが、私はこのカードがもう本当に大好きでして。絶対に勝ちたい!みたいな特別な理由が無い試合で櫂を宿した際には、(刺さる機会がほとんど無いと分かっている場合でも)なにかと理由をつけて採用を検討するようにしています。
本記事では、そのように勝敗の航路を乱している一介のミコトが「羅針盤で取れる7つの戦術!」というノリで、『羅針盤』というカードについて紹介していきたいと思います。
適正距離のあれこれ
このカードについて話す上で、間合の追加や削除、距離拡大に縮小のタイミングについて、前提知識として把握しておく必要があります。
こちらは公式の総合ルールからの引用となります。
なんだか難しそうですが、要するにこういうことを書いています。
要せてるかこれ?距離拡大/縮小ではない距離増減効果が曲者ですが、平たく言うと「羅針盤で自分の《攻撃》に適正距離5が増えた後に、間合の削除や距離の伸び縮みが発生する」ということです。
この順番さえ把握しておけば、適正距離はわりと書いてある通りに変化します。公式の質問箱に羅針盤関連の質問がたくさん来ていますので、迷うようであればそちらを参照するのもよいでしょう。
例題を出しましょう。適正距離3である『一閃』に、『羅針盤』によって適正距離5が追加されたとします。どういうわけかそれに距離拡大(近1)と距離拡大(遠1)がかかると、その《攻撃》は2-3,5-6の適正距離を持つことになります。そこに相手が『虚偽』を対応すると、最終的な適正距離としては3,5-6となります。
『虚偽』と『羅針盤』の関係についても知っておいて損はないでしょう。『羅針盤』が開いている状態で適正距離5-6である『強酸』を間合5で振ると、相手は『虚偽』で対応してきました。この時、『強酸』は当たるでしょうか?外れるでしょうか?
正解は外れです。上記の順番の通りに適正距離は修正されますので、まず『羅針盤』によって適正距離5が『強酸』の適正距離5-6へと(意味は無いですが)追加されます。そこから『虚偽』の距離縮小(近1)が適用されますので、『強酸』による3/1は適正距離6となり現在の間合が5であるため外れます。
羅針盤で出来る七つのこと
そろそろメインコンテンツに入っていきましょう。ただ、『天ツ水道七標』になぞらえて七つと書いたはいいものの、いうてそんなに伸びません。
このカードが出来ることは「適正距離5の追加」「適正距離5の削除」「納め3」「1纏い」の四つくらいで、それを刻み刃にかけて細かく七項目にしています。それでもよろしければどうぞ。
1.適正距離5を追加できる
『羅針盤』の効果として最もメジャーな要素です。適正距離5を持っている《攻撃》は多いようで少なく、一部の行動札や付与札からも発生しうることを考えると意外なシナジーを発揮するカードがあります。
本当はここで「それらをこの記事に書いているとキリがないので、S8-2の全カードの中から『羅針盤』が有効になる組み合わせを書いた一覧表PDFを作りました!!」ってやりたかったんですが、この記事の投稿がゲムマに間に合わず某弓のメガミ様が襲来するので諦めました。
代わりにその一覧表に載せる予定だった内容から一部抜粋して紹介しますので、何卒ご容赦ください。
結構有名なヤツです。本来ならば至近間合でしか振れないこれらの切札は、『羅針盤』が開いている場合に限り間合5でも振ることが出来ます。ゆらりびはちゃんと傘を開いてないとフレア5の0/0が飛びます。
『クリムゾンゼロ』について特記しましょう。本来の銃櫂に『羅針盤』とかいうクッソヌルいカードを入れる余地はどこにもありませんが、櫂寄せの構築をした場合は羅針盤クリゼロが選択肢に入らなくもないです。
当たるかどうかは別ですが、順風時に間合5でオーラが2点消し飛ぶと後は櫂の火力で押し切れます。銃櫂の最大打点がバクドラオヨギビ3/3だと思っている相手に、月より綺麗なバクドライサナ4/4を当てて勝ち確です。
嘘です。そんなにフレアがある状態で対応握られずに順風かつ中距離で返って来ることはありませんし、そもそもそんなにフレアが貯まりません。
さっきの通常札版です。羅針盤が関わるコンボは「手札から(なんの打点にもならない付与札を)1枚使っている」という時点で、手札の要求が激しい場合は決まりづらいです。上の4枚も例外ではないですが、単純にカードパワーが高いですし、フレアの要求が厳しい場合は当然通常札を使うことになりますので覚えておきましょう。
『乱打』というか古刀は『柄打ち』も間合5で振れるので、決死を達成していれば櫂のカードで刻んだ後に2/1から対応不可3/3が飛びます。『Shield Charge』は燃焼する全力水流ですが、こちらは全力宣言が要らないので連撃に組み込めます。ちなみに『Waving Edge』も間合5で振れます。
……『風雷撃』?『紅刃』?強いですよね。現場からは以上です。
(爪と櫂は間合が絶望的に合いませんが、『ミオビキ航路』は再使用することで帯電するので意外とデッキとして機能します。私は回せません}
(櫂剣に関しては「それマジで信剣でよくないか?」という声が聞こえてきそうですが、櫂には『イサナ海域』があるので1ターン中の総合打点の理論値は櫂剣の方が上です。本当ですって!)
ちなみに切札の方にも言えることですが、この手の羅針盤コンボのメリットの一つに『虚偽が効かなくなる』というものがあります。適正距離が至近であったり単間合であったりするカードは、往々にして「じゃあローシェでw」って言われがちですが、羅針盤はその後ろに単間合を生やすのでステップ対応が無ければ当たります。単芝を許すな。
3ターン目の再構成前に、鋼糸と影菱を伏せつつ間合5に行きます。相手が間合2を踏みたそうだったり前ステ握ってたりするなら間合6でもいいですが、間合5の方がこちらの裏目が少ないです。
んでとりあえず『壬蔓』『強酸』『オヨギビ砲火』って言って、ライフを取りつつダストを生んで羅針盤を開いてターンエンドします。すると相手はこちらに返すターンの風向きと間合にすごく困ることになります。
そのまま間合5で返せば鋼糸か影菱が飛んでくる。間合3-4だといつも通り鋼糸だし、設置忍歩があるかもしれない。というかそもそもオヨギビが開いているので2前進自体が怪しい。なら間合6まで下がって返すのかというと、普通に櫂の間合なので逆風にしたい。そうなると適正距離の広い《攻撃》が必要だけど……って具合です。
忍は3年前から更新が止まっている公式の「組み合わせ構築論」のページでも紹介されているほど櫂と相性がいい1柱です。いわゆるみかギビコンボにより、特定のデッキに対しては無類の強さを誇ります。
そんな忍櫂で羅針盤を採用してなにが強いかと言いますと、「間合5でも設置『鋼糸』や『影菱』から『斬撃乱舞』が飛ぶ」ってところです。知らないと斬乱の方を食らいますし、知ってても鋼糸がライフに入ります。
まあ現実は間合2に行かれて影菱1点だけで済まされて順風で返されたり、各種対応で綺麗に受けられてタダで3前進されたりするんですけどね。まずは『羅針盤』が入ってない公式レシピを組んでみると良いと思われます。
対みかギビデッキに関する知見ですが、無理やりライフを取られてフレアが溜まって壬蔓のサイクルを崩されるのが一番嫌です。そのフレアを吐くためにイサナ(※場合によっては熊介や鳶影)を入れるのですが、個人的にはミオビキを入れて順風にする機会を作りたいので悩ましいところ。
『守護霊式』は羅針盤下で振ると最速で『突撃霊式』が撃てるという、旗櫂デッキの強さの中核を成すカードです。S8更新で(鎌共々)バフを受けた現在の旗はなんかよく分からん風に強く、最速突霊や突霊自体との相性もあることから、現状の櫂が組みたいメガミの筆頭といえます。
『嘘突き』はカードパワーこそ②で挙げた連中に届きませんが、衣のミコトが「間合5で『これは嘘突きです』って言えるのが強いんですよお」って言ってたのでここに入れました。流石に偽証してると思います。
櫂衣はいわゆる信衣で良いって言われるヤツなので全然触ってないんですが、都度打ちや玄塗りってカードがありますし上手くやればちゃんと勝てる2柱なのではと思ってます。巫女神楽もあるし。
ひとまずこんなところでしょうか。この「適正距離5を追加する」にはまだまだ魅力がたくさんありますが、後々の項目でちょいちょい触れているのでそちらも参考にして頂ければと思います。
2.適正距離5を削除できる
適正距離5が追加されるということは、適正距離5が削除されるということです。A=not A。こちらも有効になるカードのピックアップをします。露骨にここに書いてないことは後の項目で触れていると思われます。
櫂は『羅針盤』や『ミオビキ航路』の存在から、このあたりの中距離赤札メガミに対して有利を取ることが出来ます。逆風にされ続けて殴り負けるんじゃないかと思ってましたが、やってみると結構戦えます。
もちろん薙は堅いし毒は痛いし橇は凍るし棹は生えるしで完全に有利とは一概に言えませんが、ハツミ様は「レンジロック耐性が皆無な近距離ビート」と「レンジロックして殴る中距離ビート」のどちらとも渡り合うことが出来るお方なのです。
銃は序盤で赤札を振り切って打点を出し切ることが多く、試合が進んで間合が前に行くとダメージを出しづらくなります。レッドバレットを開けようとしたら間合5が遠くて開かないって誰しも通ると思うんです?
シュートは間合4で振れるのでいいとして、その後をどうするか。間合5まで踏めればなんとかなるぞというところに『羅針盤』。もう1後退お願いしますって言ってあげましょう。
でもこの横にある円月っていうカード、なんか知らん間に間合4でも振れるようになってたんですよね。なんなん?
この2枚は(奏は条件付き、突霊は2開花後ですが)完全対応不可を持っており、好き勝手振られながらガンガン差を付けられていくカードです。しかし羅針盤が開いている間のこの2枚は「適正距離:なし」となり、そもそも振ることが出来なくなります。もう突霊なんて怖くない!
『奏流し』はもう随分見ていない気がするのでアレですが、なんか公式がこないだ「琵琶笛リワークします!」みたいなことを言ってた気がするので、また刺さる機会が来るかもしれません。
櫂は誰が一番苦手か。諸説あると思われますが、私はこのちびっこがめちゃくちゃ苦手です。軽量攻撃切札などでこちらを一生逆風に出来る選択肢を持つメガミさんも大の苦手ではあるのですが、ここはそれ以前の問題です。やっぱこう、こっちは海なのに対してあちらは陸かなんかなので相性が悪いんでしょうか。知らんけど。
そんな対鎚ですが「間合5で返せないしオーラ5まで纏えないから羅針盤張って間合3で返して3後退出来ないことをお祈りする」ということをやるシーンが出てきます。たまに上手くいきます。
「適正距離5の削除」という括りでは一旦ここまでとします。この後すぐにも関連する話を続けるのですが、実はそっちの方が本題だったりします。
3.攻撃対応を無力化出来る
櫂を宿している時に結構驚かれるのがこの要素です。当然といえば当然なのですが、攻撃対応は攻撃カードであるが故に適正距離を持っています。代表的な攻撃対応というと、上に貼りました『浦波嵐』や『音無砕氷』に『久遠の花』あたりがそうです。
完全な対応不可カードでさえなければ、これらのカードは非常に有意な働きをします。切札対応かつ0-10の適正距離により、フレアさえあればいつ如何なる時にも応じることができるカードと思われがちです。
『羅針盤』はそんな慢心を波濤で呑み込むカードです。実はこのカードには「【展開中】現在の間合が5であれば、自分の《攻撃》は『対応不可(攻撃札)』を得る」という隠されたテキストがあるのです。
相手の攻撃対応の適正距離から間合5が失われるので、羅針盤が開いている状態で間合5にさえいれば、自分の振る全ての《攻撃》に対して相手は攻撃対応で返すことが一切出来ません。これは櫂の攻撃札に限った話ではなく、最初の項目で挙げました『風雷撃』や『ゆらりび』等にも有効です。
櫂は全力宣言をして『水流』に通常札対応不可をつける以外にそういった手段が無い一柱です。海はそういう理不尽を悪意を持って押し付けることはなく、航海に挑む者を拒みはしないのです。素敵!!
それはそれとして、対応というと行動対応の方がもちろん一般的ですし、そちらの方が気軽に振れるでしょう。強力な攻撃対応は逆に「ここぞ」という時に振る機会が多いですが、その「ここぞ」で無類の強さを発揮するのがこの『羅針盤』というカードです。以下は使用例です。
4.射程の広い全力攻撃札を躱せる
急な全力宣言、怖いですよね。そのターンはカードを1枚しか使えなくなる代わりに、1枚で2,3枚分の働きをしつつリソースを温存できる全力カードが飛んできますから。
『居合』に『熊介』に『底力』など、「用意せずに食らえば致命傷か即死だし、そもそも当たる間合にいてはいけない」カードというのはいつも思考の裏にあるものです。そんなあなたに『羅針盤』がよく効きます!
上に挙げた3枚は間合5を持ってないので無関係なのがアレですが、一部の全力攻撃札に対してはコレ1枚をポンと置いて間合5に行くだけで安心してターンを返せます。まるで小◯製薬。
具体的には『詭弁』とか『Steam Cannon(全力化)』とか、『義旗共振』やら『徹底抗戦』やら、行動札ですが『天雷召喚陣』に対しても有効です。
あと毒の『暗器(全力化)』にも使えるようになりました。0-3間合でしか振れなかった首切りくんはもういない!
これらの全力札は総じて「適正距離がとても広い」という特徴を持っています。それ故に「振れない距離まで移動する」という対策がどうにもしづらくステップ対応も難しいので、食らう前提で動くか高級な対応札で打ち消すのが主な応答となります。
そんな当たるしかないから当たっていいように準備しなければならないカード群に、羅針盤ならなんとこのお値d……どうやって間合5に行くんだって?HAHAHA、それが簡単に出来れば櫂は今頃God Tierですよ。
他にカバー出来る全力攻撃としては、心の『神座渡』や銃の『フルバースト』、経典の『全知経典』などがあります。この辺りは間合5で振られてどうこうする機会自体が少ないですが、やることねえし振れるし振っとくかというノリを先読みするとたまーに刺さります。
櫂や信頼は『カラハリ灯台』によって全力行動札や全力付与札を縛れることもあり、「とりあえず〇〇」という安直で安全な安定択など航海には無いことを心優しいハツミ様は教えてくださるのです。
あとは……『羅針盤』が開いている状態とは、裏を返すと「間合5であればあらゆる全力攻撃札が使える」状態と言えます。最初の項目で挙げた通り、自分の全ての《攻撃》に適正距離5が増えていますから。
この項目の冒頭で『居合』や『熊介』に『底力』を挙げましたが、これらは(特殊な場合を除けば)間合5に行けば当たることはありません。櫂を宿していると麻痺しがちですが、本来間合5とは主戦場から遠い比較的安全な場所なのです。薙?毒?まあ、そう。
それでも相手は、間合5で返せば本来ならば警戒する必要のない上記3枚や、『つきさし』やら『鏡の悪魔』やら『四剣乱刃(全力化)』やらに注意を払わなければならないのです。そう、『羅針盤』があればね。
で、そうなると何が起こるかというと「ほな食らってもええように準備するわ」か「ほな間合2まで行くわ」になるんですね。前者ならともかく後者だと櫂は息が出来なくなります。ただでさえ羅針盤で1枚消費した分が無駄になりますし。
5.ステップ対応への耐性と強化
刀櫂で『斬』を振るとしましょう。そのまま振れば3-4間合の3/1攻撃ですので、よくある話として『一閃』の裏択があったり、順風なら『水雷球』や『水流』の裏目があったりします。
しかしこの『斬』というカード、間合4で振ると『詩舞』のような後ろステップに、間合3で振ると『誘導』のような前ステップ対応によって回避されてしまう可能性があります。
こういう場合は対面を見て間合3で振るか間合4で振るかを定めるものですが、櫂を宿す以上は出来れば間合5に近い間合で振りたいものです。そこで『羅針盤』の出番ってわけよ!!(大声)
『羅針盤』が開いている状態の間合4で振る『斬』は、前に行かれても後ろに行かれても当たる3-5間合の3/1攻撃となります。ワーツヨーイ
そういう《攻撃》に打ち消し以外の対応を返しても仕方ないので、特別な理由が無い限りステップ対応は振らないのが当然です。
それでも対応されてのオーラ受けされるというレアケースを仮定すると、前なら『一閃』が、後ろなら『水流』が当たります。なのでやはりなにも対応されることなく、いつも通りライフ受けしてくれます。あれ?
そういう感じで、3-5間合の3/1攻撃を振るために手札を2枚使ってまでやりたいことなのかというのはちゃんと考えねばなりません。しかし選択肢の一つとして、そういう応用が効くことを頭の片隅に安置しておきましょう。
続いてのお話。羅針盤でステップ対応耐性がつくカードを、今度は逆に相手が使ってきたパターンです。この場合は『羅針盤』が開いていれば、逆にこちらのステップ対応は強化されます。
相手の《攻撃》すべてから間合5を取り除く。それ即ち、間合4では後ろステップ対応が、間合6では前ステップ対応が、(対応可能であれば)それぞれ必ず有効になるということです。ただし『仕掛け番傘』を除く。
間合6で前ステ対応をするという機会はそう訪れるものではないですが、間合4で「後ステ対応…振れはするけど振っても躱せねえ」というのは結構あり得るシチュエーションではないでしょうか。
信頼にはありませんが、櫂には『海嘯』があります。個人的には『魚吊り』とのカードパワーの差に涙を呑んでいるのでバフが待たれるところですが、ハツミ様にとっては貴重なリアクション芸です。これで『梳流し』あたりに「いや海嘯握っとるわー!」と対応してやりましょう。
でも「羅針盤!間合4でターンエンド!俺の手札には海嘯があるかもしれないぜ?フフフ、怖いか?」って言うのは実際はすごく弱いんですけどね。
まあなんにせよ、間合4で気軽に赤札を振れなくなるという状態は(特に中距離ビート系からすると)気分の良いものではありません。
ちなみにハンドに『海嘯』がある状態で『羅針盤』を開けたのであれば、間合は4ではなく5で返しましょう。相手はリソースを使ってそこから動かないことには《攻撃》が振れませんし、どのみち前に行かれますし。
6.納3ができる
実はこのカード、付与札なのでダストやオーラから結晶を3つ乗っける事ができます。それはそう。
だからどうしたという話ではありますが、実はハツミ様には「遠い間合を詰める手段が存在しない」という隠れた弱点があります。後ろで戦うメガミなんだから別にいいんじゃない?と思うかもしれませんが、櫂は5間合周辺でしか戦えないデッキでして。これが結構重いんです。
ライフ差をつけられていてこちらのオーラが埋まっているタイミングを想定します。相手がいざ間合7〜8あたりまで下がってターンを返してきました。これに対して櫂は、自分が普段近距離ビートデッキにやらせているように、ライフを取るために必要なカードを苦い顔をしながら伏せて、宿し前進だけしてターンエンドしなくてはならないのです。
逆風時の『水雷球』は前後に2移動を選べるアルティメット風走りですが、風走りと違って攻撃カードなので3-5間合でしか振れません。酷い話ですが、これが「櫂は間合5周辺でしか戦えない」ということです。
毎度お馴染み、そこでこちらの『羅針盤』です。オーラから納めることで容易に前進が可能となり、これまで書いた通りのパワーを発揮してくれるので安心して間合5で戦うことができるのです。ほんまか?
相方のメガミがレンジロック耐性を持っていれば大丈夫なのですが、持っていたとしてもわざわざデッキ枠を1つ消費して前進札を入れるのかという話になりますし、相方に頼れないこともあるのでいざという時に知っておいて損はない活用方法です。
7.破棄時に1纏いできる
実はこのカード、破棄時効果まで持ってるんです。破棄された時になんとダストから自分のオーラへ結晶が1つ移動します。わぁ、纏い!
本当は単なる1リソース保証なのですが、この破棄時効果が解決されるのはほとんどが『羅針盤』をプレイした次の次の相手ターン開始フェイズです。納3ですからそれはそう。
さて。櫂というカードプールは、平素はリソース面から相手のプレイ方針に圧をかけながら打点を刻んでハツミ様のようにドヤ顔することに長けていますが、有事の際は緊急回避ボタンがないのでハツミ様のようにわたわたするしかないという特徴を持っています。
『羅針盤』を展開している最中は大きく動きたいため、破棄時のタイミングは逆にリソースが枯渇しており無防備になりがちです。そんな危険なタイミングで、なんか知らんけどオーラが1つ回復する。この1オーラがそういうシーンでは身に沁み渡るのです。
また、この纏い効果は正確には矢印効果によるオーラの獲得です。矢印効果が関わる相方というと恐怖や仮面が該当しますが、そのあたりと多少のシナジーを生んでくれます。櫂面はデッキにならないのですが、恐櫂については『準備万端』や『波呼び』に『ミオビキ航路』のおかげで中々にニコニコ出来るデッキに仕上がります。ツヨイカナー?
『阿吽』とかいうこの世の終わりみたいなカードに引っかからないのも一応長所と言えます。纏っただけなのに2/1が飛んでくるのは何故なのか。
終わりに
如何だったでしょうか。『羅針盤』というカードのグレイトな魅力、そしてそれを擁するハツミ様の圧倒的威光に、大なり小なり眩んでいただけたのならば書いた甲斐があるというものです。櫂だけに。
……。
――真面目な話をしましょう。欠点の話です。
『羅針盤』は相方次第では書いてある事がただのインクの無駄遣いと化しますし、刺さらない相手にはとことん意味を為しません。
また、ハツミ様の攻撃札は全て適正距離5を持っていますので、そういう意味では櫂のプール単体では性能を活かしきれません。攻撃対応や全力攻撃に対するメタ効果も、そもそも刺さるカードを有しているメガミ様が少ないのでピンポイントメタの側面が強いです。
納3の話からも派生しまして、対面次第ではダストを枯らされて気軽に使えなくなるというシーンも少なくありません。このカードを開けてから赤札を振りたいのに、相手オーラを吐かせてダストを作ってからじゃないと開けられない……とか。
そして、重大な問題点である「このカード単体では直接的なアドバンテージをなにひとつ産まない」という要素を無視してはいけません。これまでたくさんこのカードの魅力を語ってきましたが、それらは全て「羅針盤+なにか」や「羅針盤による相手への制限」によって発揮されるものです。
ただ置いただけではタイムラグがある1纏いにしかなりませんし、置いたとしても相手に「敵は手札を1枚切って羅針盤を開けた」という情報アドを与えた上で、そこから手札なりなんなりを使ってしっかりとバリューを出さなければならないのです。
途中で羅針盤間合4海嘯が弱いと書きましたが、アレは「間合4で振られる《攻撃》であれば、実質的に手札2枚を使って無力化できる」という劣化版『桜花のお守り』のような手段なのです。相手からしてみれば「それやったら今お前が強い間合5から離れる為に前進するわ」になりがちです。
そういったことが起きうるカードに貴重な7枠の1つを割くのか、3-5間合の『斬』よろしく本当にそれはカードを2枚使ってでもやりたいことなのかなど、採用には充分な検討が必要なカードだと私は思います。
それでも、それでもです。採用した試合で、順風間合2や逆風間合5でターンを返されて「やることねえなー?」となった時、こう宣言しましょう。
「 † 全力羅針盤 † ターンエンド 」
適切なしゃがみタイミングであったのならば、きっと翌ターンには勝利へと続く航路が指し示されているはずでs……こう、もっと適切なしゃがみ方があるんじゃないかな?
この記事を読んで「うおおお羅針盤最強!!櫂宿すわ!」となるような方がもしいましたら、たぶんその人は櫂の適性があります。そうはならんように書いたつもりではあるのですが……。
そういう感じでひとつ。拙い文章でしたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。