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【現役銀行員×中小企業診断士ゆーき】羅針盤のない船出~あなたの会社に本当に必要なもの~

今回は、ゆーきさんから寄稿いただいた6つ目の記事をご紹介します。
私の自己紹介記事も、ぜひあわせてチェックしていただけると嬉しいです。


こんにちは。中小企業診断士×現役銀行員のゆーきです。
今回から、事業計画をテーマに記事を書いていきます。事業再生、経営改善の現場で働いている経験を元に、社長・支援機関・従業員・金融機関など様々な視点から書いていきたいと思います。
今回は、「そもそも、なぜ事業計画書が必要なのか?」です。

「このままで会社は大丈夫だろうか…」

真夜中、決算書を眺めながら、そんな不安に押しつぶされそうになったことはありませんか?

ここからは「なぜ事業計画が必要なのか?」を私が支援している先の製造業のリアルなストーリーでお届けします。

Xでも、私の考えを発信しています。
https://x.com/yuuki_sanbou


私の支援先のリアルストーリー

私の支援先のリアルストーリー

工場移転から2年目。大きな投資を決断して、順調に売り上げを伸ばしてきた会社でしたが、大きな岐路に立たたされていました。

主要取引先からの受注が大幅に減少

米中の貿易摩擦を発端に、新型コロナウイルスのまん延…主要取引先からの受注が大幅に減少しました。

工場移転という大きな投資をした後で返済額が多く、資金繰りは大丈夫なのか。いつまで耐えれば、業況は回復するのか。今の経営状態で追加の融資は通るのか。社長は大きな不安と戦っていました。

私がした「ある提案」

同じように支援者である私が不安になっても仕方がないので、冷静に、俯瞰してみるように心がけていました。そして、ある提案をしました。

「社長!資金繰り表を作りました。このままでは、どんどん現預金が減っていきます。一度、返済を止めましょう。金融機関への調整は私も手伝います。その為に、まず、社長の頭の中を整理して、見えるようにしていきましょう。今のままでは、羅針盤もなしに大海原に船を出すようなものです。今は、嵐の中です。方角も分からずに航海していくのは危険です。」

なぜ、事業計画なのか

なぜ、事業計画なのか

こんなことを考えていませんか?

「日々の業務に追われているのに、計画を立てている暇なんてない」
「これまでだって計画なしでやってこられた」
「経営環境は日々変化するのに、計画なんて意味があるのか」

実は、私も同じことを思っていた時期があります。しかし、多くの事業再生、経営改善の現場に立ち会うと、その考え方は間違っていたことに気付きました。

“ 変化の激しい時代だからこそ、計画が必要。計画があるからこそ、変化への対応も的確にできる。それに、計画を立てる過程そのものに大きな価値がある。 ”

今はそう考えています。

よくある疑問と本当の答え

よくある疑問と本当の答え

事業計画について、社長の皆さんからよく聞かれる質問があります。おそらくあなたも同じような疑問を持っているのではないでしょうか?

Q1:「計画を立てる時間がない」

最初の計画は、1ヵ月程度で作成可能です。
完璧を求めすぎないことが重要になります。

Q2:「専門家に依頼すべき?」

最初は自分で作ることをお勧めします。その過程で気づきが生まれ、後で専門家に相談する際も建設的な議論ができます。まずは、分からないことを分かるような状態にしておくことが必要です。

Q3:「どのくらいの期間の計画を立てればいい?」

まずは、3年計画で十分です。
その中で特に最初の1年は四半期ごと、もしくは月次で具体的な行動計画に落とし込みます。

Q4:「計画通りにいかないなら立てる意味がある?」

計画があるからこそ、ズレが生じた時の原因分析と軌道修正が可能になります。これこそが計画の本質的な価値です。
計画を立てないと、そのズレにすら気付くことができず、そのズレの大きさによって修正方法が異なりますので、的確な処置ができないのです。

事業計画が持つ3つの力

事業計画が持つ3つの力

事業計画には、会社の未来を根本から変える3つの力があります。この力を理解することで、あなたの経営判断は劇的に変わるでしょう。

事業計画とは、単なる数字の羅列ではありません。それは、以下の3つの重要な役割を持つ、企業の未来を照らす光なのです。

1.明確なビジョンの提示

  • 会社が向かうべき方向性の明確化

  • 具体的な数値目標の設定

  • 実現までのタイムライン

2.社内外の信頼構築ツール

  • 従業員との目標共有

  • 取引先への信頼アピール

  • 資金調達の武器

3.経営判断の基準点

  • 日々の意思決定の指針

  • 進捗管理のものさし

  • 軌道修正の判断材料

実例:転機となった計画書

実例:転機となった計画書

私が支援している製造業のストーリーに話を戻します。

「夜も眠れないほどの不安がありました。従業員の家族のことを考えると、胃が締め付けられる思いでした。」と、当時の心境を社長は語ります。賞与が払えず、辞めていく従業員もいました。この時の社長の心境は想像を絶します。

業況の悪化を機に、金融機関への返済額を止めるために、初めて本格的な事業計画を策定することになりました。

「正直、最初は面倒くさいと思いました」と社長。

「でも、計画を立てる過程で、自社の強みと弱み、市場環境、そして将来の可能性が明確になっていきました。特に気づきだったのは、自社の一貫体制が生み出す納期の柔軟性の高さです。当たり前すぎて気づいていなかったのですが、計画策定の過程で、自分自身が得意なこと、会社の強みが分かったんです」

その計画書は、まず金融機関との金融調整に活用。さらに、計画策定過程で明確になった問題点を克服するために、営業を採用し新たな顧客開拓に成功。1社偏重だった受注構成が分散され、今では、当時の売上高の1.5倍と成長し、利益計上もできています。

「どん底だった会社を救ってくれたのは、事業計画。自分も冷静になれ、従業員も一丸となって目標に向かって進めました。銀行との交渉も、具体的な数字があったからこそ、スムーズに進んだんです」と社長は振り返ります。

計画策定で陥りやすい3つの罠

計画策定で陥りやすい3つの罠

事業計画を作る際に罠がいくつかありますので、ご紹介しておきます。

1.完璧を求めすぎる

【解決策】
まずは80点の計画を2週間で作る
実践しながら改善していく

2.数字だけにとらわれる

【解決策】
定性的な戦略の検討を十分に行う
社員の意見も積極的に取り入れる

3.計画を固定的に考える

【解決策】
四半期ごとの見直しを設定
環境変化に応じて柔軟に修正

明日からできる、第一歩

明日からできる、第一歩

事業計画の策定は、決して難しいものではありません。事業計画を構成する用を下記に挙げておきます。まずは、できるところから、簡単な計画から始めてみましょう:

現状分析:自社の強み弱みを書き出す

  • 技術力・サービス力の評価

  • 人材・組織体制の分析

  • 財務状況の把握

市場調査:競合と市場動向を整理する

  • 主要競合の特定と分析

  • 市場規模・成長性の調査

  • 顧客ニーズの把握

数値目標:3年後のありたい姿を設定する

  • 売上・利益目標の設定

  • 必要な投資規模の算出

  • 人員計画の策定

アクションプラン:具体的な施策を時系列で整理する

  • 重要施策の優先順位付け

  • 実施スケジュールの作成

  • 必要なリソースの見積もり

まとめ

まとめ

なぜ事業計画は必要なのか?を一言でまとめると…

“ 事業計画とは、嵐の中でも確かな方角を指し示す羅針盤であり、社長の頭の中にある想いを「見える化」することで、全社員と共に同じ方向を向いて進むための、かけがえのない道標 ”

私が支援している製造業は、事業計画を策定したことで、どん底の時期を乗り越え、今は安定した利益計上をしています。計画書のたたき台の完成までに1ヵ月。そのあとブラッシュアップをし4ヵ月で完成しました。その後も毎月の進捗確認と毎年見直しを行っています。

その結果、以前は社長のみが経営を行っていましたが、経営幹部も毎月の進捗会議に参加し、会社の方向性や数字、アクションの確認ができるようになっています。その為、受注や設備投資の判断、人材採用の意思決定など、迅速かつ的確に行うことができました。

あなたの会社も、同じような岐路に立つ日が必ずやってきます。そのとき、あなたの判断を支える「羅針盤」はありますか?

あなたの手元には、この記事という「最初の羅針盤」があります。今すぐ、スマートフォンのカレンダーを開いて、明日から、毎日の計画作成時間を設定してください。その小さな一歩が、あなたの会社の確かな未来を作り始めます。

これから、事業計画の具体的な作成方法を深堀していきますので、お楽しみしていてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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資金調達が出来た際の成功報酬は基本的に頂いておりません
理由としては・・・
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・長いお付き合いをすることで、お互いの信頼関係を築くと共に、今後の資金繰りについて責任を果たすためです。
ですので、契約先とは最低でも毎月1回は定例でコミュニケーションを取らせて頂き、その都度、資金調達のタイミングや事業方針などについても議論をしております。

社長の望む調達金額を受けられる決算書の作成を得意とします。

銀行融資にはいくつかポイントがあります。
粉飾などによらず、目指す決算書にたどり着くよう、決算月の約半年前からすり合わせを行います。
このすり合わせとは、紙面による数字との睨み合いに留まりません。企業における営業活動など、包括的に関わっております。
これは、税理士や一般的なコンサルタントでは分からない分野です。

お客様によりますが、御社での私の名刺を作ってもらい、銀行対応全般をお任せ頂いております。
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