【現役銀行員×中小企業診断士ゆーき】事業計画書サマリーの書き方~経営者の想いを1枚に込める~
今回は、ゆーきさんから寄稿いただいた8つ目の記事をご紹介します。
私の自己紹介記事も、ぜひあわせてチェックしていただけると嬉しいです。
「100ページの事業計画ができたけど、どこを見たらいいのかわからない。何を伝えるのか情報量が多すぎる…そんな経験はありませんか?」
分厚い計画書を目の前にため息をつく経営者の姿を、私は何度も見てきました。結局、計画書は机の奥底に…
こんにちは。中小企業診断士×現役銀行員のゆーきです。
前回から、事業計画をテーマに記事を書いています。基本的には事業計画の構成に基づいて、記事を展開していきます。前回記事を見ていない方は、是非前回記事からご覧ください。今回は、事業計画の最初のページ「0.サマリー」です。
Xでも、私の考えを発信しています。
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なぜサマリーが必要なのか?
まずは、なぜサマリーが必要なのかを見ていきましょう。
リマインダーとして
事業計画書は作って終わりではありません。毎月確認をしながら、立てた事業計画と何が見込みと違うのか?を知ることに大きな意味があります。
その為にも、作った事業計画の内容を、覚えていることが必要です。しかし、事業計画はページが多く、毎回読むのが辛くなります。事業計画書をパッと見て思い出せるような一覧を作成しておくことで、毎回長い事業計画書を読まずに済みます。
これにより、毎月の実績確認の際に経営幹部や従業員と素早く共有でき、金融機関や取引先とのコミュニケーションのツールとして使えます。
サマリーはどこまで書けば良い?
「事業計画書のサマリーって、どこまで書けばいいんだろう…」
私が支援している経営者の方々から、よくこんな質問を受けます。確かに、分厚い事業計画書のエッセンスを1-2ページにまとめるのは、簡単なことではありません。
ある会社の社長との会話が今でも印象に残っています。その社長は、銀行への提出期限まであと2日という時期に、私の元へ相談に来られました。
「うちの会社の計画書は完成したんだけど…でも、これじゃ誰も読んでくれないんじゃないかって…分厚過ぎない??この計画書がうちの未来を決めてしまうと思うと不安で仕方ない…」
その計画書を見せていただくと、確かに詳細な分析や戦略が綿密に書かれていました。しかし、一目で会社の将来像や具体的な施策が分かるサマリーがなく、読み手にとって理解しづらい内容でした。また、社長自身内容を完全に理解しておらず、説明ができない状況でした。
そこで今回は、誰もが理解できる魅力的なサマリーの作り方をお伝えしていきます。
サマリーに必要な5つの要素
サマリーには、以下の5つの要素を盛り込む必要があります。
事業概要・変遷
会社の業績推移
外部環境の変化(機会・脅威)
自社の強み・弱み
経営方針・具体的な施策
数値計画(5年程度)
「でも、この6つを1-2ページにまとめるのは難しそう…」
確かにその通りです。
サマリーは「詳しく書く」のではなく、「的確に伝える」ことが目的なのです。
サマリー作成の3つのステップ
では、具体的な作成手順をお伝えします。
Step1:読み手を想定する
「誰に」「何を」伝えたいのかを明確にします。
■銀行:返済原資と将来性
■取引先:取引継続の確実性
■従業員:会社の方向性と自身の将来
Step2:ストーリーを組み立てる
次に、ストーリーを組み立てます。
最後の数値計画に繋がるように、それぞれの項目のポイントとなる点を抽出し、列挙しましょう。
Step3:数値で裏付ける
具体的な数字を使って、計画の実現可能性を示します。
■市場規模:「〇〇市場は年率15%成長」
■自社実績:「売上高は毎年○○%上昇」
■投資計画:「今後システム投資2,000万円で生産性30%向上し、○○%売り上げを伸ばす」
相談に来られた社長の分厚過ぎる事業計画書では、説明の論点がズレ、銀行の担当者とうまくコミュニケーションが取れませんでした。しかし、のこのサマリーを作成した後、驚くべき変化が起きました。銀行の担当者が「初めて御社の戦略が明確に理解できました」と言って、追加の融資を検討してくれたのです。さらに、従業員からも「会社の方向性が見えてきた」という前向きな声が聞かれるようになりました。
銀行の担当者もけして、社長の敵になりたいわけではありません。なんなら味方でいたいし、支援したいと熱い気持ちを持った職員もいます。その職員が上司や本部に説明しやすい資料を提供してあげるのが、コミュニケーションが良くなるポイントにもなります。このような「銀行にとって分かりやすい資料」は銀行いる、銀行にいた人間だからこそわかる視点ではないかと思います。
サマリー作成時の注意点
1.文章は簡潔に
・1文は30文字程度
・箇条書きを効果的に使用
2.数字は印象的に
・成長率や改善率を強調
・グラフや表を効果的に活用
3.ビジュアルで伝える
・重要なポイントは太字や下線
・図解を使って流れを可視化
ここで、私の経験で最も伝えたい、サマリー成功の『たった1つの秘密』があります…
成功のカギ:定期的な見直し
サマリーは「生きた文書」です。3ヶ月に1回程度の見直しをお勧めします。
■計画と実績の差異を確認
■新たな環境変化への対応
■具体的な成果の反映
先ほどの会社は、毎月差異を確認して、半年ごとに見直しを行い、更新しています。その度に、社内外のコミュニケーションが活発になっていきました。
【これを読んだあなたへ】
今夜、机の奥に眠っている事業計画書を取り出し、サマリーを作る最初の1行を書き始めてみてください。あなたの会社の未来が、その1行から始まるのです。
Powerpointのサマリーのフォーマットも付録でつけておきます。
ぜひ、ご活用ください。
次回は、「1.企業概要」について、具体的な作成方法をお伝えしていきます。お楽しみに。
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