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諏訪大社 上社前宮
大きな蛇がいる。
そんなことを諏訪に感じることがあった。
縄文神だといわれることがあるミシャグジやソソウ。
そういった存在を蛇と感じたのか、または別の存在を感じ取ったのか、正直なところよく分からない。
どちらでもいいと思った。
なんて名前なのか、どんな存在なのかはわからないけど、ただ蛇を感じた。
でも、こうやって文字にしてエネルギーを感じてみると、
蛇なんだけど、蛇とはまた少し違う感じがする。
蛇のようなはっきりとした輪郭を持って存在するわけではなく、もっと曖昧というかぼやけたような感じ。
圧倒的なエネルギーではあるけれど、全体的にもっと柔らかい。
穏やかでいて強いというのだろうか。
諏訪には以前から訪れたいと思っていた。
諏訪大社に行ってみたい。
そんな思いを抱きながら何年も経っていた。
諏訪で行きたい場所は諏訪大社と神長官守矢史料館の2つ。
ミシャグジに関係する場所に行ってみたかった。
他にも調べれば関係する場所はあるのだろうけれど、その時は行きたいと思ったのがこの2つだけだった。
神道や仏教とは違うエネルギーをもった自然神たち。
忘れられた縄文神へのロマンを、ミシャグジやソソウといった存在たちに投影していたのかもしれない。
諏訪大社に行くと決めてから、諏訪大社が4社あることを知った。
自分が行きたい場所がどこなのか、4社全てなのかネットで調べてみたところ、私が反応したのは上社前宮だけだった。
上社前宮と守矢史料館。
この2つをゆっくりまわろう。
理由は自分でもわからない。
ただそこのエネルギーに触れたいと思った。
いにしえの神のエネルギー。
場所さえ分かればいい。
事前情報はネットから何も仕入れず、ただ目的地へと向かった。
少し汗ばむ陽気だった。
境内に入り、ゆるやかな坂道を上る。
境内のそばには山から湧き出た水が流れていた。
古くから神事を行ってきたという場所では、いけにえとなった動物が供えられていたのだろうか。そこに残っていた神事の厳かなエネルギーと獣のような何かのエネルギーを感じた。
人が混じっていなければいいけれど。
少し重ためというか、質量のあるエネルギーの中に人を感じ取ったわけではないが、ふとそんなことを思った。
その神事のエネルギーとは対照的に、とても軽やかですべてを浄化してくれるエネルギーを放っているのが、境内のそばを流れている水だった。
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お社の裏にある山から流れてきているのだという。
信仰という人が創った厳かなエネルギーよりも、すべてを包み込んでくれるような自然のエネルギーの方が私は好きだ。
どうやら私が感じた蛇のようなエネルギーは山の方にあるようだった。
流れてくる水にもその存在を感じる。
山まで登ろうか。
そう思って少し歩いてみたけれど、帰りの時間などを考えたら現実的ではなない。
これ以上は近づけない分、山から降りてくる柔らかくて強いエネルギーを少しでも感じようと、その場で目を閉じて身を委ねていた。
この地に来たかった。
ただそう思った。