英中銀はマイナス金利導入の検討を開始

■ 英中銀は現行政策を据え置いたが、マイナス金利導入の検討を開始

■ 欧州連合(EU)離脱が合意なきものとなれば、ポンドの減価は避けられない

 英中銀(BOE)は9月17日の金融政策委員会(MPC)で政策金利を0.1%に、資産買い入れプログラムの規模を7450億ポンドに据え置いた。声明では「足元の経済指標は8月時点の予測よりも強いが、リスクを踏まえれば、今後の景気にどの程度有益なのか不透明」、「委員会は引き続き、状況を注意深く監視し、権限に応じ金融政策を調整する用意がある」と指摘。議事要旨では、中立金利が低い期間のある時点で、インフレ率と国内総生産の見通しがマイナス金利導入を正当化する場合、どのように効果的に実施されるのか、MPCは説明を受けたと指摘。さらに、BOEと英健全性規制機構(PRA)が、10-12月期に構造的な取組を開始することが明らかにされた。

 ポンド急落のきっかけは、英政府が欧州連合(EU)と昨年結んだ離脱合意を一方的に変更しようとしたため。英ジョンソン首相は、10月15日の欧州理事会までにEUが自由貿易協定で合意しなければ交渉を打ち切るとした。これに対し、EUは変更撤回を要求したが、英国側は拒否。離脱移行期間の終了は年末に迫っており、法的拘束力のある合意を放棄すれば、通商交渉や今後の関係に悪影響を及ぼす。こうしたなか、英政府の雇用維持制度は10月末に終了する予定で、雇用悪化は避けられない情勢。英国が合意なき離脱に陥れば、関税と輸入割当が導入される可能性もある。7-9月期以降(四半期ベース)はプラス成長に戻っても、景気回復ペースが鈍化すれば、次回11月もしくは12月のMPCで資産買い入れプログラムの拡充に加え、マイナス金利の導入が現実味を帯びる。

 昨日のポンド相場は、フォンデアライエン欧州委員長が、「英国との合意はまだ可能だと確信している」と発言し、対ドルは1.28ドル台後半から1.30ドルちょうど近く、対円は134円台半ばから136円台前半まで巻き戻されたが、ポンド安の基調は当面続くと予想。対ドルは9月11日安値1.2761ドル、対円は昨日安値134円54銭を下抜ければ、足元から年末に向けて心理的節目とされる1.20-1.25ドルや130円割れを意識する展開へ向かうとみている。

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