~読むアロマ~「宇宙樹」竹村真一
物語の世界観を香り(精油)で表現する「読むアロマ」。「読むアロマ」は、思わず手に取ってしまう美しい装丁のように、イメージを香りでデザインしたもの。物語と、精油が持つ香りや働き、様々なエピソードをつなげて、オリジナルのアロマブレンドを作ります。
新旧、ジャンル問わず、好きな物語、気になる話をランダムにピックアップして、作った香りのご紹介です。
(宇宙樹/竹村真一著/慶應義塾大学出版会)
いつの頃からか、森に惹かれます。
特に森が近くの場所で育ったわけでもなく、これと言って思い出すエピソードもないのですが、アロマアナリーゼでイメージするのは海よりも圧倒的に森の風景。
もう20年も精油にふれる日々を過ごしているからでしょうか。
かさねて、このコロナ禍の日々で、季節のめぐりや植物たちが刻む変わらぬリズムに安らぎを感じています。
そんななか、手にとったこの作品は、「植物という存在」「植物と人間の相互奉仕(フィトセラピー)」「精油とは」「五感を使った情報収集」「アロマセラピストの存在意義」などについて、想像と創造を刺激するヒントが満載!
森への憧れがより一層深まりました。
人間自身の生きかたと精神的な成長をナビゲートする「鏡」
種を落とし、根をはやした場所から一生動くことのない植物ですが、それゆえ環境や状況の変化につぶさに対応し、天(太陽)と地(土)と連動している姿はむしろダイナミックな「動」であり、外の世界に開いていると著者は言います。
たしかに、私たちの身体も、睡眠、消化、気分の浮き沈み、汗、体温など、一日のサイクル、季節のスパンで太陽(光)の大きな影響を受けています。
日が沈んでからもトップギアで活動したり、身体のリズムでは寝ているはずの時間に、食べたり飲んだりしていることが体調不良、ストレスを呼び込んでいることはすでにさんざん言われていますよね。
もともと、「目=芽、歯=葉、鼻=花、身=実」にみられるように、私たち日本人は植物を自分の一部になぞらえ、敬う文化があります。
「自分」とは“自然のなかの分”という意味である
「なるほど!」と思うのもDNAが反応しているからなのかも。
そしてなにより、植物から抽出される「精油」を扱うものとして、心構え、向き合いかたについての学びをたくさん得ました。
「植物から分けていただく」
「こちらの都合(ルール)ではなく、あちら側にある」
アーユルヴェーダの名医、染織家、宮大工の棟梁が、それぞれの立場で口をそろえておっしゃっていることです。
これらの本当の意味を、薬や色、木材などの素材や資源としてだけでなく、シャーマンが儀式で使う太鼓作りを通しても語られ、木、植物の見方を変えるのに十分な説得力を持ちます。
宇宙の生命力を身にまとう
「精油」って、自分の想像をはるかに超えて、もっともっとすごいものなんじゃないか?と、畏怖のようなものを感じて鳥肌に。
その恵みをいただくものとしてグッとと肚に呼吸を入れました。
<読むアロマ「宇宙樹」ブレンド>
・スプルースブラック
・サイプレス
・クスノキ
・クロモジ
・青森ヒバ
「樹はすべて本質的に宇宙樹である」
古今東西で「依り代(よりしろ)」となり、人間の歴史を見守り、自らも変化し続けた「樹」をテーマにブレンドを作ってみました。
思えば、全種類「木」だけのブレンドははじめてでしたが、香りを嗅いだ瞬間、「どこかの森」にワープ!
イメージがどんどん出てきて勝手にアロマアナリーゼ状態です(笑)
スプルースブラックは、別名クロトウヒ。寒さの樹木限界線に生きる姿は静かで強く、その香りにはほのかな温かみがある。
ヒノキ科のサイプレスは和名がイトスギ。古くから宗教儀式に使われ、寺院などに植えられた「死と再生」のシンボル。
クスノキは古来日本で御神木とされた樹。その寿命は数千年と長く、クスノキから得られる「樟脳(しょうのう)」は様々なシーンで活用されてきた。
名前の由来が諸説あるクロモジ(黒文字)。木の鎮静作用とほのかな甘さがある香りが不安をやわらげてくれる。「楊枝」として使われることでも有名。
そして青森ヒバ。秋田スギ、木曽ヒノキとともに「日本三大美林」のひとつ。ひと嗅ぎすれば、誰しもが「なつかしい」記憶を思い起こす香り。抗菌力、防虫に優れる。
「木」から抽出される精油だけのブレンドなのに、その表情はとても豊か。
たくさんの生命を育む森のように、懐の深さを感じます。
この本では「パートナーとしての樹」との出会いについても多く触れていてるのですが、「わたしの木」を見つけに森に行きたくなりました!
なぜ森に惹かれるのか
その答えを探しに森を訪ねたくなる、そんなブレンドになりました。
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