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ギヴ・ミー・シラス!
私はシラスが好きだ。今何が食べたいと聞かれたらここ1週間くらいトップテンに躍り出てくるのはシラスだ。中でも釜揚げシラスが特に好きだ。
スーパーで冷凍されていないパックのシラスを見るとテンションが上がるし、パックに紛れ込んだ小さいエビやカニを見つけてほくそ笑むこともある。
炊き立ての白いご飯にそっと乗せて頂くのもよし
納豆との相性もとてもよく、ご飯と納豆とシラスが朝ごはんなんて最高だ。
大根おろしとポン酢で頂くのも趣がある。夏に副菜に最適だ。
シラスピザやシラスパスタも捨てがたい。シラスはオリーブオイルとの相性だって良い。
キングオブをあえてつけるならば、シラスが主役の海鮮丼だろうか。他の海鮮ものの邪魔をしない奥ゆかしいシラスを、生卵を載せできるだけいい醤油といい米で勢いよくたべたい。
私が今こんなにもシラスについて熱く語るには理由がある。
私は2年以上日本におらず、スーパーでシラスを見つけることも、レストランでシラスを見つけることもできない、いわばシラス難民だからである。
「シラス食べたい」という発作は今のところ四半期に1回くらいの頻度で私を襲う。Amazonで探しても梨の礫
「ヨーロッパでシラスは食べれますか」
「ドイツでシラスは食べれますか」
「ドイツでシラスが売っているところはありますか」
とAIに質問してみても彼らの回答はいつも私を余計困惑させる。
「アジア系のスーパーでは取り扱っているかも」
「ヨーロッパで見つけるのは難しいかも」
「シラスのレシピが知りたい?」
思いつきで喋っちゃったかな?というくらいフワッとしている。一人はもう話すら聞いていない。シラスのレシピの話がしたくなってしまっている。私の母ばりに話を聞いていない。
AIに文句を言っても仕方ないのだが、今のところアジア系のスーパーでシラスは見たことがないし、もちろんレストランでもない。
同僚に聞いたところ、ドイツでは魚の稚魚を食べる習慣がないとのこと。
「スペインに行けばあるかもよ、海近いし?」
と今度は人間からもフワッとした回答を得たわけだがスペインの皆さんどうですか、シラス、ありますか。
Googlemapでも「シラス」「Shirasu」「Whitebait」など検索はしているが一向に見つからない。
イギリスで1件引っかかったが出てきたのはFish and Chipsの画像だ。
違う違う、白身魚ならいいよね!というテンションでFish and Chipsを勧めないで欲しい。頼むから人の話を聞いてくれ。
もう、本当にこんな感じでシラスが全然見つからない。
シラスを食べることを食習慣にしていた人はヨーロッパではどうしているのだろう、諦めるしかないのだろうか。
私はすでに諦めムードで、12月の一時帰国時にシラス丼をどこで食べるのかなど日本でシラスを食べる方向にシフトしている。
フランス留学中、ヨーロッパでの就職を目標にしていた時も、期限切れまでに仕事が見つからなければ日本に帰ってシラス全国巡りを半年以上かけてしようと決めていた。
フランスでもシラスは見つからなかった。
結局運良く仕事が見つかりシラス全国巡りはしていないわけだが、今もクビになったらシラス全国巡りをまずするし、その間に次何するか決めればいいしと心から思っている。
私にはシラスがある。
日本にいた時は、平日の仕事帰りにも休日にも、いつだって好きな時に会える存在だったのだ。
いなくなって初めて、その貴重さや大切さがわかる。
人に対しての表現だろうが私は今シラスに対して思っている。
語弊がないように一言添えるが私は人付き合いも大事にしている。