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写真NFTは天下をとれるか?
リスボンで来春行われるNFTのフェスティバル
Non Fungible Conferenceで、日本アンバサダーを務めます楠です。
NFT factoryで行われた初のカンファレンスに行ってきました♡
テーマは「Paris Photo 2030にはNFT写真が100%になっているか?」
タイトルだけでも興味深いですよね!?
Paris Photoって何ですか?
まず、Paris Photoを知らない人は、わけがわからないと思うので
これ、解説しますね。
Paris Photoとは、アート写真に特化した国際展示会です。
今年25周年を迎え、世界29か国から134のギャラリーが集まり
写真作品の展示・販売と、講演会、サイン会などの交流が行われます。
キュレーターによる特別展示や、優秀な作品への賞などもあって
写真関係者・愛好家にとって、狂乱の4日間となるんです。
私も昔、日本のギャラリーの通訳として参加しましたが
個人コレクターや、美術館などが作品を探しにくる
とてもエネルギッシュな場所でした。
写真家にとっては、仕事に繋がるチャンスでもあります。
専門家たちが作品を購入しにくるわけですからね。
そして、単純に「世界の写真の今」を見るために
学生さんや愛好家が来て展示を見る、という楽しみ方もあります。
どんな作品が「いい作品」とされているのか
会場をめぐるだけで把握できます!
従来の国際アート展示会におけるNFTの可能性は?
フランスには写真ではなくて、現代アートの国際展示会もあり
この展示会の期間に大小様々なアートイベントが行われます。
先日行われたParis+ Art Basel やAsia Nowも「芸術の秋」を彩りました。
Paris+ Art Basel では、Tezosのブースが盛況で
現代アートの大展示会でNFTアートの存在感を主張できたことがスゴい。
日本が誇るTeam LabもここでNFTを販売しましたね。
Asia Nowでは、『アジアにおけるNFTアートの未来』というタイトルの
カンファレンスがありました。
韓国人の友人がモデレーターとなり、韓国・中国・シンガポールの
NFTアートの現状を知ることができましたよ。
(ここに日本人がいないことが残念でしたし、パリ在住日本人NFTファンとしての力不足も感じました。。。)
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Paris PhotoでもNFT写真の存在を示せるか!?
NFT factoryで行われたカンファレンスは
世界中からアート写真の関係者が集まる大きなイベントParis Photoで
今後NFT写真がどのように受容されていくのか、という可能性について
写真家、ギャラリスト、コレクターが意見するという
とても有意義なものとなりました。
ちなみに、Paris Photoの会場でのNFT率は現在0.5%くらい?
まだまだ存在感はありませんが
では何年後にNFT写真がメジャーになっていくか?という話でした。
あなたはどう思いますか?
知っておきたい写真の歴史
この日のカンファレンスでも
NFT写真の前に写真とは?って話があったので
ちらっと歴史をおさらいしてみましょう。
①写真 VS 絵画
写真の誕生とは
ここでは「レンズを通して見える画像を定着する」こととしますね。
19世紀の初めに、この技術が発明されます。
世界最古の写真は1825年のフランス人写真家ニエプスによるもの。
1839年にダゲレオタイプ(銀板写真)がフランス学士院(芸術&科学のカテゴリー)で発表されました。
(だからフランスは写真に対する思い入れが強い!と私は思う)
この技術が生まれたとき、アーティストたちは大混乱でした。
絵画が「目の前の事象を再現すること」という任務を担っていたのに
もっと早く、もっと正確に再現できる写真が生まれてしまったのですから!ここから、絵画は「リアル(再現)を求めない」方向に舵を取るんですね。
②フィルムカメラ VS デジタルカメラ
2回目の大激震は、1980年代でしょうか。
デジタルカメラの誕生(普及)です。
これは記憶している人も多いのでは?
写真家たちは、従来のカメラを使うか、新しいデジカメを使うかで
究極の選択を迫られたかもしれません。
少し後に、フィルムを現像するのか
データを印刷するのかという選択も加わります。
カメラのメーカーは、次々とフィルムカメラの製造中止を発表しました。
昔はカメラ屋さん(コンビニ)でフィルムを預けて
現像してもらいましたよね。焼き増しを頼んだり(懐)。
今ではそのようなサービスも減ってきているのではないでしょうか。
③従来の写真 VS NFT写真
そして今、写真史上3回目の大激震の波が来ているとか、来ていないとか。
まだまださざ波で、津波になるかどうかはわかりません。
それがNFT写真の誕生ですね。
個人的には、写真が一番NFT化しやすいかなと思っています。
今や誰もがスマホで写真を撮っています。
NFT写真って、スマホの写真、いつもの写真と「見た目」はほぼ一緒。
写真のマーケットも存在していて
写真作品を買うのも特別なことではないですよね。
そして、唯一性を主張でき、かつ所有者は印刷して飾ることもできます。
アート写真を買おうと思ったとき
それがフィジカルな写真でもNFT写真でも
あんまりギャップがないので普及しやすいかなと思うんです。
NFT写真への抵抗
ところが、やっぱり抵抗する人はものすごい多いそうです。
問題点は「フィジカル」が欲しい、という点。
これは「写真とはこういうもの」という固定概念が強すぎて
NFT写真としてデジタル情報のやりとりという本質的なところに
拒否反応が生まれてしまうらしいのです。
例え「所有して好きなように出力して飾ればいいじゃん」が可能でも
フィジカルが好きな写真家も、ギャラリストも、コレクターも
二の足を踏んでしまうんですって。
他に、購入までの手続き(仮想通貨口座開設、ウォレット設置など)の
煩雑さなどもかなりの障害となっているでしょうね。
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NFT写真は可能性を秘めている!?
今回登壇したのは、NFT写真を仕事にしている
写真家、ギャラリスト、コレクターです。
写真家は、これまで従来の写真家として30年ほど活動してきたけど
NFTに足を突っ込んでみたら、コレクターさんと直接繋がったりできて
新しい世界だった、とのこと。
NFT写真とはいえ、使っている機材は変わらないし
写真として光やコントラストや構図などの評価基準も変わらない。
なので、まだ機が熟していないだけでは?と話していました。
ギャラリストは、NFTが唯一性を証明できるとても便利な技術。
でもお客さんは「フィジカル」があればNFTはいらない、という人が多い。そうなると、セカンダリーで別の人に所有権が渡った時に
「フィジカル」は郵送しないよね、と。
また、売買に関して、メタマスクを作るなどハードルが高いのが難点。
今のところは「証明書」としてのNFTの機能が一番のメリットかな、と。
コレクターは最初、従来の写真をコレクションしていたところ、
エディションやサインが結構適当だったことに失望したそうです。
それで、唯一性が保証できるNFTがすごい!とNFT写真コレクターに転向。
いい作品はいっぱいあるけれど、従来写真家とNFT写真家のコミュニティがまったく分断しているのが残念なところ。
7割のコレクターがすでにWeb3プレイヤーで、一般のコレクターは少ないのだそうです。(ちなみに彼もLedgerの重役)
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まだ早すぎるのかもね
NFT写真は従来の写真とあまり変わらないのに
問題となっていた唯一性の部分が保証されるので
アート作品としての価値が担保されるスゴイ技術だと思います。
まだまだタイミングが早すぎて
従来の写真マーケットの人たちが様子見をしているため
普及までは時間がかかりそうです。
ただ、フィジカルな写真がNFT写真にとって変わられることはなく
共存していくという写真家のことばには納得。
ネットが発達しても、新聞や本は存在しているように
MP3の音楽を聴くようになっても、レコード人気は健在なように
NFT写真の認知度が上がっても、フィジカル写真は続くと思います。
今後、どんどん若いジェネレーションに普及していくと
コレクターも美術館も変わっていくでしょうね!
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実際、NFT 写真の展示が美しかった話
今回、NFT写真だけの展示に変わっていたNFT factory。
これまでもNFT写真はopenseaやTwitter上で見ていましたが
展示となると、本当に美しくてNFT写真欲しいなーって思いましたよ!
モニターの解像度や大きさによるとは思うのですが
紙に出力した写真に比べて、明るさや細部の精巧さが際立っています。
もちろん、紙の質感がいい!という写真もあるので、甲乙つけがたいですが
少なくともPCやスマホなんかに比べたら雲泥の差。
NFT写真のギャラリーがあちこちにできれば
そのよさが浸透するかなーと思いました。
自宅にもいいモニターを置けば、作品鑑賞できますよね。
紙の写真とちがって、経年劣化しないのも嬉しいところ。
作品自体のモチーフや構図、色などは
写真家のもつアート性になるので、好きな写真家を見つけたい!
気に入った作品があったら、場所もとらないし
買ってみたいなと思いました。
みなさんもぜひ、NFT写真、チェックしてみてください♡