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「本と香りをめぐる対談集」Vol.7「こびん」~文学アロマフェア~

2021/12/6(月)~12(日)文学アロマフェア~大切な誰かに贈る1冊の香り~@BOOKSHOPTRAVELLER

BOOKSHOP TRAVELLERは、約100人のひと箱店主たちが棚を借りてつくる下北沢の本屋。そこに集う個性豊かなひと箱店主たちと、“言葉×香りのアロマセラピー「読むアロマ」”のアロマ書房のコラボレーション企画のレポートnote「本と香りをめぐる対談集」を連載していきます。第七回目は「まるいっこ」の小田智子さんです。

文学アロマフェアの詳細はこちら


ひと箱店主:まるいっこ おだともこ

【プロフィール】
いつかどこかに、誰もがしょっているものをおろしてただの‘‘丸1個‘になって、ゆっくりできる場所を作りたい。お茶が飲めて、本や雑貨があって・・・と、妄想中。
BOOKSHOP TRAVELLERで間借り店主やりながら緩くやってます。


【選書した本】
こびん(松田奈那子、風濤社)

【作品概要】
少女に手紙を託されたこびんが海を漂い旅をします。長い時間をかけ、いろいろな場所や人に出会い、最後にある海辺にたどり着きます。そこでこびんが出会ったのは…?美しい色彩と優しいタッチで描かれた絵とシンプルな言葉が沁みる絵本です。


「本と香りをめぐる対談集」Vol.7


アロマ書房:こんにちは。今回、「大切な誰かに贈る1冊」ということで『こびん』を選ばれましたが、選書の理由を教えてください。

まるいっこ おだともこ(以下、おだ):この絵本に出会ったとき、胸がいっぱいになったのを覚えています。ガラス瓶、海や川、季節、ひとり旅、手紙など、私が好きなものがたくさん、絵や文章に散りばめられていたから。大切な人に贈る本、ということだったので、贈った相手にも、この絵本の世界に一緒に浸ってほしいと思い、選びました。こびんと一緒に旅していろいろことを想像してほしいな、と思います。

アロマ書房:ありがとうございます!「こびん」の旅の情景が目に浮かんでくるようです。お好きなものとしてあげていただいた、「ガラス瓶」「海や川」「季節」「ひとり旅」「手紙」などに惹かれる理由はなんだと思いますか?

おだ:「ガラス瓶」は、瓶に限らすガラス製品は好きです。透明でキラキラしているところ。大切に扱わないと割れてしまう、というところにも魅力を感じます。
「川や海」は、水の流れを見ていると落ち着きます。つつみこまれるような、自然の大きさを感じられるからかな、と思います。
「季節」は、花が咲いたり、葉の色がかわったり。季節の移り変わりの中に自然の力を感じられるからです。その季節でしか感じられない美しさを楽しみにもしています。
「ひとり旅」は、自分ひとりでプランを決め、途中で寄り道するなどのプラン変更も簡単。何かトラブルがあったら自分一人でなんとかしなくては、ですが、それもまたよい思い出になったります。
「手紙」は、何を書こう?どんな紙を使おう?とか、相手を思う時間が楽しいし、手紙をもらうとプレゼントをもらったみたいにうれしいです。

アロマ書房:なるほど~!それぞれの好きな理由をあらためてお聞きすると、おださんのお人柄も感じられてうれしくなります(笑)
キーワードの「旅」がもたらすものはなんでしょう?何か浮かんでくるイメージはありますか?

おだ:日常を離れて新たな体験をすること。非日常、とか、脱日常とか。新たな場所、人、物との出会いとか。それによって自分も新しくなっていく。そんな感じです。

アロマ書房:ありがとうございます!「自分も新しくなっていく」、大切なフレーズですね。
では次に、香りを作る参考にさせていただきたいのですが、作品の世界観を色に例えるなら何色でしょうか?

おだ:海の色

アロマ書房:作品の空気感を表すとしたらどんな言葉になるでしょう?
※ 選択方式でお答えしていただいています

おだ:あたたかい、やさしい、明るい

アロマ書房:作品にちりばめられた「大好きなもの」で、その世界観を香りで表現できたらと思います。どうもありがとうございました!


以上のお話から、わたしが作った『こびん』の香りがこちらです。

『こびん』ブレンドについて

【ブレンドレシピ】
ベルガモット グレープフルーツ カルダモン
ラベンダー サイプレス イランイラン 

「ガラス瓶」「海や川」「季節」「ひとり旅」「手紙」。それらがもたらしてくれるあたたかなものをテーマに香りをつくりました。香りのテイストは、作品の空気感から「あたたかい、やさしい、明るい」です。

ブレンドした香りをひとつずつ解説していきます。


大切に扱わないと割れてしまうもの、繊細でキラキラしているガラス瓶は「こころ」「ハート」につなげて。「ハートチャクラ」の精油のベルガモットを。

気ままなひとり旅の気楽さ、楽しさをあらわすグレープフルーツは、学名に「楽園」の意味を持つ。その香りは明るい気持ちを連れてきてくれる。

手紙は、相手を思いあう楽しくて、大切なツール。それをあらわすのは、コミュニケーションをつかさどる水星の精油、ラベンダー

サイプレスは、水の流れを。心や身体のつまりをゆるめ、流れを促す。地中海沿岸の風景、紺碧の海を背景にしたイメージも。

イランイランは、東南アジアなどの熱い地域に咲く花。そのエキゾチックな香りは、「旅」のキーワードにぴったり。考え過ぎる頭をリセットし、開放感を生む。

種から精油が抽出されるカルダモン。物事の始まり、スタートの可能性がいっぱい。イランイランとともに「新しくなる」ことを。


種(カルダモン)から花(イランイラン)を咲かせ、実(ベルガモット、グレープフルーツ)をつける植物の姿をうつし、美しい季節の変化へのリスペクトを込めたブレンドができあがりました。


こびんの香りの感想

アロマ書房:完成した香りを嗅いでみていかがでしたか?

おだ:絵本『こびん』の香りお願いすることにしたのですが、実は難しいのでは?と思っていました。こびんは長い時間をかけ旅をし、いろいろな人からいろいろなものを受け取ります。それは様々な色や言葉で表されていて、一つの香りでそれを表現できるのかなと。

香りが届いての第一印象は「こうきたかー!」でした。うん、好きな香り!
イメージと近い感じではありました。でも、それよりもいろいろな広がりを感じさせてくれました。落ち着くのだけれど、ちょっと高揚感があって気持ちが上を向く、そんな香り。

せっかくなので、香りのサンプルを小瓶に詰めて、『こびん』を読みながら、ページの中でこびんが開けられるタイミングでこびんのふたを開けて、香りを嗅いでみました。すると、それぞれのシーンに合わせてそれに合った香りを感じることができました!
例えば、
笑い声の場面では明るい華やかな香りが、
美味しいにおいするの場面では柑橘系のスパイシーな香りが
花の香りの場面では甘い香りが
と、いうように。
同じ香りのはずなのに。その時のシチュエーションで香りの感じ方が違うなんて、驚きました。とても豊かな体験をさせていただきました。
 
本多さん、私の棚にある本、読まれましたか?
読まれたなら、『こびん』の世界観がよく表現されているなぁ、と思います。お読みになってないなら、私のイメージをよくくみ取っていただけたと思います。大満足です!

松田奈那子さんの色鮮やかな絵と心に響く物語、それをさらに豊かにする香り。誰かに届くことを願っています。

アロマ書房:もう、胸がいっぱいです。こんな風に香りを受け取って、感じていただけるなんて、読むアロマ案内人冥利につきます!
私はまだ「こびん」は読んでいなくて、おださんの感想から「おださんのこびんの香り」を創らせていただきました。
「あなたのための、あなただけの香り」をぜひみなさまにもご体験していただければと思います。どうもありがとうございました!


「文学アロマフェア~大切な誰かに贈る1冊の香り~@BOOKSHOPTRAVELLER」開催詳細

開催期間:12月6日(月)~12月12日(日)
会場:BOOKSHOP TRAVELLER(〒155-0031 東京都世田谷区北沢2丁目30−11北沢ビル3F)
営業時間:12時~19時
定休日:水・木


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