マダガスカル産バニラビーンズアコードの作り方【調香実習】

aromablendbar調香師の和崎です。
実は皆さんも良く知っているバニラの香りはとても奥深い。


一般的には皆が思うバニラの香りの正体はバニリンと言う香料です。
バニリンも色々な合成の仕方がありますが食品香料などにも使われる物はクローブから抽出したオイゲノールバニリンというものになります。
バニリンはパウンドケーキ、アイスクリーム、クッキーなどありとあらゆるものに香料として配合されており小さい頃から特に日本人は馴染みのある香料、多くの方のバニラの香りの認識となっているものです。

一般的に販売されているバニラ系の香水もほとんどがこのバニリンという成分にクマリンやエチルマルトールと言ったアコードで甘い要素が作られていることがほとんどです。

ですがバニリンではなく、本格的にバニラビーンズを多く使用したスイーツを味わった事のある方は知っているかもしれませんがあのとても独特な味わいをご存知でしょうか?

あの黒い粒々がその香りの正体です。
先日東京ミッドタウンにオープンしたバニラスイーツ専門店Hugh Morganに行ってきました。

ここでは一般的なバニラの香りのイメージとは大きく異なりアブソリュートで抽出した様な本格的なバルサミックなバニラの香りと魅力を体験する事が出来ます

このケーキはまさに食べるバニラアブソリュートでした。

実はこのバニラアブソリュートというバニラの天然香料は物凄く皆さんの思うバニラの香りのイメージと異なります。

蒸留方法の異なるco2とアブソリュートではまた香り方が異なりますが共通して言える事は"バルサミック、ウッディ、スモーキーの中にほのかなバニラの甘さ"があるという事です。
後少しのフルーティーなお酒の様なニュアンスがあります。

また、それを香水にそのまま入れても一般的なイメージである"バニラの香水"になる事はかなり難しいです。さらにバニラの天然香料は1kg300万円を超えるものがほとんどなので大量に配合する事は実際には不可能です。

そこで調香師は自分達が理想とするバニラビーンズのアコードをオリジナルで作り、ブレンドに使用していく事となります。

今回はそんなバニラビーンズのアコードの作り方をご紹介していきたいと思います。

まずどの様なバニラのニュアンスを出したいかによって変わってきます。マダガスカル産とタヒチ産がありタヒチの方はアニスの様なスパイシーさと独特な甘さがあります。
今回は甘さとフルーティーさを感じられるマダガスカル産バニラアブソリュートの香りを作っていきたいと思います。
バルサミックさに加えて少しラムの様なニュアンス、そしてグルマン香水にも使いやすいアコードを作りましょう。

ちなみにこの様なアコードを作りながら実際に僕と調香をサロンで行いオリジナル香水を作る事のできるプロフェッショナルコースというメニューがありますので興味のある方はぜひこちらもオススメです。




では作っていきましょう。
Vanilla beans accord

Benzyl Benzoate

バルサミックでありフローラルさもある香り。ほのかな甘さも。精油だとイランイランやシナモン、ベンゾインに含まれています。
ifra規制の精油の代用にもなり、様々なアコード作りのキーとなる香料なので非常に多くの香水に使われています。今回はこちらをベースに組み立てていきます。

Vanillin
バニラアブソリュートの香りを作る際にも主要成分であるため必要不可欠。アブソリュート自体には非常に多くのバニリンが含まれており微量で含まれるその他の成分によりあの独特さが生まれていると言うことになります。


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