1週間で覚えるメディカルハーブ30種 その6
おはようございます。アロマテラピーと手しごとのカノワです。
フィトオーセンティックプロダクトの仕事をしながらアロマやハーブの記事を書いたり、アロマクラフトの提案をしたりしています。
こちらのnoteでは、「香りのある暮らしをもっと楽しく」をテーマに、暮らしに取り入れやすいアロマ・ハーブクラフトや石けん作りなど、様々なアイデアを提案していきます。
さて、本日もハーバルセラピストで学ぶ、30種類のメディカルハーブをご紹介していきたいと思います。
本日6つのハーブをご紹介して、ついに、全30種類となります!
【 ホーソン / Crataegus oxyacantha 】心臓を守るハーブ
本日の1つ目は
「ホーソン」になります。
ホーソンはバラ科の植物で
学名は
Crataegus monogyna(クラタエグス・モノギナ)
Crataegus oxyacantha(クラタエグス・オクシアカンタ)
和名はセイヨウサンザシ
となります。
使用部位は葉部、花部、果実です。
Crataegusはギリシア語の棘(とげ)を意味するkrataigosを語源としています。
また種小名のoxyacanthaはギリシア語のすっぱいの意のoxys、棘の意のakantaの合成語を語源としています。
英語での表記は、hawthornとなりますが、こちらは棘のある植物で多くが垣根に用いられたことから来ています
ホーソンは、優れた強心作用をもつ心臓のためのハーブであるため、世界各地の伝統医学で「心臓を守るハーブ」として知られています。
心臓をとりまく様々な症状に有効なことから高血圧、低血圧、動悸、息切れ、不整脈、心臓の痛みなど心臓をとりまくさまざまな症状に用いられてきました。
また、ホーソンはハーブの中でも、特に作用が穏やかで長期に渡って使用できることで、お年寄りなどにも安心して用いることができます。
代表的なフラボノイドハーブでオリゴメリックプロアントシアニジン(OPC)などの成分による強い抗酸化力があり、肌のアンチエイジングケアとしても使用できます。
おさらいになります。
ホーソンはバラ科の植物で
学名は
Crataegus monogyna(クラタエグス・モノギナ)
Crataegus oxyacantha(クラタエグス・オクシアカンタ)
和名はセイヨウサンザシ
使用部位は葉部、花部、果実です。
主要な成分は、
フラボノイド配糖体(ピペロシド、ビテキシン)
オリゴメリックプロアントシアニジン(OPC)
カテキン
作用については、
心筋の収縮力の増強(陽性変力作用)、心筋の血行促進
適用症は、動悸、息切れ
となります。
安全性はクラス1、相互作用はクラスAとなります。
ホーソンのキーワードをおさえておきます。
心臓の筋肉をやわらかく、しなやかに「心臓を守るハーブ」作用が穏やかで安心ハーブ。オリゴメリックプロアントシアニジン(OPC)による強い抗酸化力でアンチエイジングにも。
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【 ラズベリーリーフ / Rubus Ideaeus 】安産のハーブ
本日の2つ目は
「ラズベリーリーフ」になります。
ラズベリーリーフはバラ科の植物で
学名は
Rubus Ideaeus(ルブス・イダエウス)
和名は、ヨーロッパキイチゴで、使用部位は葉部です。
属名のRubusは、ラテン語で赤い、を意味するRuber(ルベル)からきています。なんとなくルビーっぽいので覚えやすいかなと思います、
種小名の Ideaeusは、地名の「クレタ島のイダ山の」の意のIdaeusが語源となっています。
ちなみにこのイダ山というのは、小アジアの北西部にある山で、ゼウス神が赤ん坊のときにかくまわれて育てられたとか、ギリシャの神々がその頂上からトロイ戦争を見物したなどど伝えられているそうです。
ラズベリーリーフはユーラシア大陸から北米にかけて生育します。
赤い果実はさまざまに料理されますが、ほのかにフランボワーズの香りのする葉のハーブティは、なんとなく紅茶のようなタンニンの渋みが感じられます。
古くから、分娩、産後の回復や母乳分泌のためによい効果があるとされており、現在でも、助産師やハーバリストの間で「安産のお茶」として知られています。
また、子宮や骨盤の周囲の筋肉を調整する働きを持つことから、月経痛や月経前症候群(PMS)の予防や緩和を目的に用いられています。
産後に飲むと母乳の分泌を促し、母体の回復を助ける効果もあります。
また、イライラした気持ちを穏やかに鎮める鎮静作用もあります。タンニンを含むので、その収れん作用により、軽い下痢や歯肉炎、扁桃炎、のどの痛みなどにも使われます。
おさらいになります。
ラズベリーリーフはバラ科の植物で
学名は
Rubus Ideaeus(ルブス・イダエウス)
和名は、ヨーロッパキイチゴ
使用部位は、葉部です。
主要な成分は、
フラボノイド配糖体(フラガリン)
タンニン(没食子酸、エラグ酸)
ビタミンC
作用については、
鎮静、鎮痙、収れん
適用症は、月経痛、月経前症候群(PMS)、出産準備、下痢
となります。
安全性はクラス1、相互作用はクラスA。
ラズベリーリーフのキーワードをおさえておきます。
婦人科ハーブ。「安産のお茶」。妊娠中は後期以降がおすすめ。産後も継続的に飲むことで母乳の分泌促進。タンニン(没食子酸、エラグ酸)による収れん、エラグ酸による美白、
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【 ローズヒップ / Rosa canina 】ビタミンCの爆弾
本日の3つ目は
「ローズヒップ」になります。
ローズヒップはバラ科の植物で
学名は
Rosa canina(ロサ・カニナ)
和名は、ドッグローズ
使用部位は偽果です。
属名のRosaは、そのままイメージしやすいと思いますが、ラテン語のバラの意のRosaが語源です。
種小名は、ラテン語の犬を意味する「Canis」が語源と言われています。
和名のドッグローズ、そのままですね。ローマ時代に狂犬病の犬に噛まれたときに使われたという説もあります。
さて、そんなローズヒップですが、なんといっても注目されるのは
ビタミンCの含有量です。ローズヒップには、天然のビタミンCがレモンの20~40倍ほど含まれ、その見た目がラグビーボールに似ていることから、「ビタミンCの爆弾」と呼ばれているのですね。
このため、ローズヒップは感染や炎症などビタミンCの消耗時に用いられます。
また、一緒に含まれるフラボノイドはビタミンCの働きを増強し相乗効果を発揮します。ローズヒップの薬効はストレスの多い人、タバコやアルコールを飲む人、、緩下作用によって便秘を改善するとともに美容にも用いられます。
おさらいになります。
ローズヒップはバラ科の植物で
学名は
Rosa canina(ロサ・カニナ)
和名は、ヨーロッパキイチゴ
使用部位は、葉部です。
主要な成分は、
ビタミンC
ペクチン→水溶性せんい
植物酸
カロテノイド(リコペン、β-カロテン)
フラボノイド
作用については、
ビタミンCの補給
緩下
適用症は、ビタミンC消耗時の補給
インフルエンザなどの予防
便秘
発熱、ストレス、日焼け
となります。
安全性はクラス1、相互作用はクラスA。
ローズヒップのキーワードをおさえておきます。
「ビタミンCの爆弾」
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【 マテ/ Ilex paraguayensis】ミネラル豊富な飲むサラダ
本日の4つ目は
「マテ」になります。
マテはモチノキ科の植物で
学名は
Ilex paraguayensis(イレクス・パラグアリエンシス)
となります。
使用部位は葉部です。
属名のIlex (イレクス)は、ラテン語のセイヨウヒイラギやカシの意の「ilex」より
種小名のparaguayensis(パラグアリエンシス)は国名のパラグアイからきています。
ということで、マテはまさに、
パラグアイ・ブラジル・アルゼンチンの南米3か国に生育するカフェイン含有ハーブです。
西洋のコーヒー、東洋の茶とならんで世界の3大ティーに数えられています。茶葉には、グリーンとローストしたものがあります。
マテは脳の働きを活性化して、活力を高め、利尿作用をもたらします。
また、マテは、ビタミンや鉄分、カルシウムなどミネラルを豊富に含むことから、「飲むサラダ」と呼ばれています。
パラグアイではマテを水出ししたものを「テレレ」といい、一般的に飲まれています。また、牛乳を加えたものも広く飲まれていて「コシード」といいます。
ビタミン・ミネラル豊富なハーブ。飲むサラダ。
おさらいになります。
マテはモチノキ科の植物で
学名は
Ilex paraguayensis(イレクス・パラグアリエンシス)
となります。
使用部位は葉部です。
主要な成分は、
アルカロイド(カフェイン・テオブロミン・テオフィリン)
カフェ酸
クロロゲン酸
フラボノイドのクエルセチン・ケンフェロール
フラボノイド配糖体のルチン
ビタミンB2,B6,C
ミネラル(鉄、カルシウム、カリウム)
作用については、
興奮、利尿
適用症は、精神疲労、肉体疲労
となります。
安全性はクラス1、相互作用はクラスCで、気管支拡張薬またはアドレナリン薬を含む他のCNS刺激薬とカフェインとの併用は神経過敏、いらいら、不眠、痙攣や不整脈といった過度の中枢神経刺激を引き起こす可能性がある、となっています。
マテのキーワードをおさえておきます。
ミネラル豊富な「飲むサラダ」。カフェイン含有。脳の働きを活性化。
相互作用はクラスCで、気管支拡張薬またはアドレナリン薬を含む他のCNS刺激薬とカフェインとの併用で中枢神経刺激を引き起こす可能性がある、となっています。
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【 ソウパルメット / Serenoa repens 】泌尿器系ハーブ
本日の5つ目は
「ソウパルメット」になります。
ソウパルメットはヤシ科の植物で
学名はSerenoa repens(セレノア・レペンス)
となります。
和名は、ノコギリヤシで
使用部位は果実です。
属名のSerenoaは、アメリカの植物学者Serenoa Watsonさんのお名前からきています。ワトソンくん、っていいそうになりますが、どちらかというと覚えておきたいのは、セレノアさんのお名前ですね。19世紀の植物学者さんです。
種子名のほうですが、こちらはラテン語のrepo(這う)からきてrepensとなっています。匍匐(ほふく)性の植物であることからだそうです。
北米大陸の先住民が、前立腺炎や前立腺肥大・去痰薬・防腐剤として用いてきたハーブ。
「植物のカテーテル(導尿管)」といわれる。
壮年期の男性に起こりがちな、夜中に何度もトイレに起きたり、尿の出が悪く、残尿感に悩まされるといった症状を改善。主に男性のみに用いられる珍しいハーブ。カプセル系で使用。
ミルクシスルと構成が似ている
男性の泌尿器ハーブ
おさらいになります。
ソウパルメットはヤシ科の植物で
学名はerenoa repens(セレノア・レペンス)
となります。
和名は、ノコギリヤシで
使用部位は果実です。
主要な成分は、
フィトステロール(β-シトステロール、スティグマロール)
脂肪酸(オレイン酸、リノレン酸)
精油
フラボノイド
作用については、
酵素阻害、消炎、利尿
適用症は、良性前立腺肥大
排尿障害
となります。
安全性はクラス1、相互作用はクラスAです。
ソウパルメットのキーワードをおさえておきます。
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【 エルダーフラワー / Sambucus nigra 】 フラボノイドハーブ。インフルエンザの特効薬
本日の6つ目は
「エルダーフラワー」になります。
エルダーフラワーはレンプクソウ科(スイカズラ科)の植物で
Sambucus nigra(サンブクス・二グラ)
となります。
和名は、セイヨウニワトコで
使用部位は花部です。
属名のSambucus (サンブクス)は、sambyke(サンビュケー)という楽器、
これは非常に鋭い音のでる四弦の三角形の楽器なのだそうですが、この楽器がエルダーの木で作られたことに由来するそうです。ご興味あるかたは「sambyke」または「sambuca」で調べていただくと、ネックがぐいっと曲がった楽器の写真や絵がみらえると思います。
種小名のnigra(二グラ)はラテン語の「nigerus」の黒い、の意でしたね。
エルダーはですね、北欧諸民族の神話、伝説に
elderにまつわるものが多いといわれています。
古いゲルマン神話には、全ての妖精は「Oak」や「Elder」の根元に住んでいるとされていたそうです。全草が薬効に富み、あらゆる治療に使用され、庶民には欠かせないハーブであったことから「庶民の薬箱」「万能の薬箱」「田舎の薬箱」と呼ばれていたようです。
エルダーフラワーは、フラボノイドを豊富に含むハーブの代表。
発汗、利尿作用をもたらす
抗アレルギー作用をもち、カタル症状を鎮めるため、欧米では、「インフルエンザの特効薬」と呼ばれ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった花粉症の症状にも用いられます。英国ではコーディアルと呼ばれる伝統的な自然飲料として楽しまれています。
おさらいになります。
エルダーフラワーはレンプクソウ科(スイカズラ科)の植物で
Sambucus nigra()
となります。
和名は、セイヨウニワトコで
使用部位は花部です。
主要な成分は、
フラボノイド配糖体(ルチン、クエルシトリン)
クロロゲン酸
粘液質(多糖類)
ミネラル(特にカリウム)
精油
フラボノイドを豊富に含むハーブの代表。
作用については、
発汗、利尿、抗アレルギー
適用症は、
風邪、インフルエンザ、花粉症
となります。
安全性はクラス1、相互作用はクラスAです。
エルダーフラワーのキーワードをおさえておきます。
発汗、利尿、抗アレルギーのフラボノイドハーブ。インフルエンザの特効薬。
以上となります。
本日までで30種類をご紹介しました。
みなさまのお役に立てましたら幸いです。
参考文献
ハーバルセラピストテキスト(JAMHA)
ハーバルセラピスト認定試験 対策問題集(BABジャパン)
ハーブ学名語源辞典(東京等出版)
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