奄美大島ソロ旅行① 〜おっちゃんとの二人飲み〜
少し前に奄美大島へソロ旅行をした。素敵な思い出ができたので、少し書かせていただく。
奄美大島は、沖縄より少し北西の、鹿児島県内の島。亜熱帯気候で、異国感を味わえる場所である。奄美大島について気になっていた時に4連休が取れたので、ソロ旅行を決心した。
奄美大島では、海の綺麗さに感動し、亜熱帯気候の植生に感動し、青いカラスの青さに感動した。私の出身は関西なので、どこを切り取っても別世界である。
旅行の夜は一人で居酒屋に入った。
店は、奄美大島一の繁華街である屋仁川通り沿いの、こぢんまりしたお店で、郷土料理が楽しめ、店員さんが優しい素敵な居酒屋であった。私は料理を少し頼み、ビールを飲みながら店員さんと時々話しながら、のんびりしていた。
「お兄さんの素敵な旅行に乾杯!」
隣の方がいきなりグラスを合わせてきた。笑うと目尻の皺がくっきり見える、優しそうな、現地民のおっちゃんである。隣で私の話を聞いており、関西弁だったので旅行客とわかったようだった。
おっちゃんは気さくで、たくさん話してくれた。おっちゃんが経営している農園の話、奄美大島には出戻りの人が多い話、昔はマングースが大繁殖していた話など、現地でしか聞けない話ばかりであった。楽しいなあと思っていた。
「じゃ、二軒目行こか」おっちゃんは言った。
私は、酔いが覚め、臨戦態勢に入った。
観光客としては嬉しい一言だが、大阪で育った私には頷き難いのも事実である。大阪であれば危険なことこの上ない状況だ。薄暗いお店に連れて行かれ、何万もするワインを開けさせられたのち、支払いを拒否するとゴッツゴツのお兄さんが出てくる光景が容易に浮かぶ。
何よりこちらは一人である。
しかしここは、楽園奄美大島。大阪の常識で物を測るなど烏滸の沙汰である。そして、たとえ何十万の支払いが発生したとしても、土産話という戦果として持って帰ることができる。
「お願いします!」
気付けば二軒目へと歩き始めていた。
心臓はパンクバンドのドラムのように速く、高く鳴り響く。
〜続〜
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